木星と言えば、比較的小さい望遠鏡でも確認できる大赤班はあまりにも有名。
地球が2~3個すっぽり収まってしまうほど大規模な大気現象で、1665年に発見されて以来、今もその存在は健在です。
大赤班のような長期間にわたる気象現象は地球では全く考えられないものですが、さらに興味深い木星の大気現象に関する発表がありました。
木星の高高度では、“アンモニア水”と“水の氷の粒”が衝突して雷が発生し、アンモニア水を核にした“ひょう”が降っているようです。
雷は“アンモニア水の水滴”と“水の氷の粒”が衝突して発生している
地球のおよそ10倍の直径を持つ巨大ガス惑星の木星。
今回、NASAジェット推進研究所のグループが発表したのは、木星の高高度で観測された雷が、アンモニアや水を含む雲に由来することを示した研究成果でした。
木星の雷については、1979年に惑星探査機“ボイジャー”が観測して以来、地球と同じように水がその発生に関わっていると考えられていました。
これまで、雷が発生している嵐が位置していると見られていたのは、木星の雲頂から45~65キロの深さ(気温は水が氷る0度前後)。
でも、NASAの木星探査機“ジュノー”による接近観測では、これよりもずっと高い高度で発生する小さな雷もとらえられています。
研究グループでは“ジュノー”の観測データを分析。
すると、この高高度の雷には水だけでなくアンモニアが関わっている可能性が示されます。
研究グループが考えているのは以下の通り。
強い上昇気流によって水の雲から25キロ以上高いところまで吹き上げられた水の氷の粒が、水の融点を下げるアンモニアの作用によって溶けることで、アンモニアや水を含んだ雲を形成。
この雲から落下したアンモニア水の水滴が水の氷の粒と衝突することで、雲が帯電し高高度で雷が発生する。
アンモニアの雲は地球には存在しないので、驚きの気象現象ですよね。
アンモニア水が核となって成長した“ひょう(雹)”が降っているかも
また、アンモニア水は高高度における雷だけでなく、アンモニアの循環にも関わっていると見られています。
コートダジュール大学の研究グループが発表したのは、木星ではアンモニア水のシャーベット状の氷“スラッシュ”を核として成長した“ひょう”が降っているという研究成果でした。
地球で“ひょう”が成長するのと同じように、アンモニア水の“スラッシュ”が気流に乗って雲の中を上下に移動するうちに、表面がだんだんと水の氷に覆われていくことに。
上昇気流で支えきれない重さにまで成長した“ひょう”は、木星の深部へ向けて落下。
やがて、表面を覆う水の氷とアンモニア水の核が溶けて蒸発することで、水とアンモニアが木星大気の深部へもたらされると考えられています。
真冬の車に下りる霜は、フロントガラスにホコリが付いていない状態では気になるほどではありません。
でも、洗車を怠っていると、フロントガラスがホコリだらけになり、そのホコリを核にして霜がどんどん成長していきます。
水が氷るときの核として、ホコリが大きな役割を果たしたわけです。
このような、霜が成長するきっかけになるのが異質核生成という現象です。
ちなみに、異質核生成現象は都会の大気汚染環境において、ゲリラ豪雨の原因にもなっています。
都会とそうでない地域では、大気中に含まれるチリの密度に大きな違いがあります。
都会ではチリの密度が高いので、異質核生成による雨粒の成長頻度が極めて高く、その比率はチリがほとんどない地域と比べて1000倍以上にもなるそうです。
地球と木星では、降り注ぐものこそ違いますが、宇宙における異質核生成は共通のメカニズムでどこの星においても存在し、それぞれの星の環境に応じた気象現象の原因になっているようですよ。
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地球が2~3個すっぽり収まってしまうほど大規模な大気現象で、1665年に発見されて以来、今もその存在は健在です。
大赤班のような長期間にわたる気象現象は地球では全く考えられないものですが、さらに興味深い木星の大気現象に関する発表がありました。
木星の高高度では、“アンモニア水”と“水の氷の粒”が衝突して雷が発生し、アンモニア水を核にした“ひょう”が降っているようです。
雷は“アンモニア水の水滴”と“水の氷の粒”が衝突して発生している
地球のおよそ10倍の直径を持つ巨大ガス惑星の木星。
今回、NASAジェット推進研究所のグループが発表したのは、木星の高高度で観測された雷が、アンモニアや水を含む雲に由来することを示した研究成果でした。
木星の雷については、1979年に惑星探査機“ボイジャー”が観測して以来、地球と同じように水がその発生に関わっていると考えられていました。
これまで、雷が発生している嵐が位置していると見られていたのは、木星の雲頂から45~65キロの深さ(気温は水が氷る0度前後)。
でも、NASAの木星探査機“ジュノー”による接近観測では、これよりもずっと高い高度で発生する小さな雷もとらえられています。
今回の研究で用いられているのは、2011年8月5日に打ち上げられたNASAの木星探査機“ジュノー”による観測データ。天王星や海王星など、他の巨大ガス惑星における気象現象の考察にも役立つものとして注目されている。
木星の高高度の雲の中で発生した小さな雷(オレンジ色)のイメージ図。(Credit: NASA/JPL-Caltech/SwRI/MSSS/Gerald Eichstädt) |
すると、この高高度の雷には水だけでなくアンモニアが関わっている可能性が示されます。
研究グループが考えているのは以下の通り。
強い上昇気流によって水の雲から25キロ以上高いところまで吹き上げられた水の氷の粒が、水の融点を下げるアンモニアの作用によって溶けることで、アンモニアや水を含んだ雲を形成。
この雲から落下したアンモニア水の水滴が水の氷の粒と衝突することで、雲が帯電し高高度で雷が発生する。
アンモニアの雲は地球には存在しないので、驚きの気象現象ですよね。
アンモニア水が核となって成長した“ひょう(雹)”が降っているかも
また、アンモニア水は高高度における雷だけでなく、アンモニアの循環にも関わっていると見られています。
コートダジュール大学の研究グループが発表したのは、木星ではアンモニア水のシャーベット状の氷“スラッシュ”を核として成長した“ひょう”が降っているという研究成果でした。
地球で“ひょう”が成長するのと同じように、アンモニア水の“スラッシュ”が気流に乗って雲の中を上下に移動するうちに、表面がだんだんと水の氷に覆われていくことに。
上昇気流で支えきれない重さにまで成長した“ひょう”は、木星の深部へ向けて落下。
やがて、表面を覆う水の氷とアンモニア水の核が溶けて蒸発することで、水とアンモニアが木星大気の深部へもたらされると考えられています。
真冬の車に下りる霜は、フロントガラスにホコリが付いていない状態では気になるほどではありません。
でも、洗車を怠っていると、フロントガラスがホコリだらけになり、そのホコリを核にして霜がどんどん成長していきます。
水が氷るときの核として、ホコリが大きな役割を果たしたわけです。
このような、霜が成長するきっかけになるのが異質核生成という現象です。
ちなみに、異質核生成現象は都会の大気汚染環境において、ゲリラ豪雨の原因にもなっています。
都会とそうでない地域では、大気中に含まれるチリの密度に大きな違いがあります。
都会ではチリの密度が高いので、異質核生成による雨粒の成長頻度が極めて高く、その比率はチリがほとんどない地域と比べて1000倍以上にもなるそうです。
地球と木星では、降り注ぐものこそ違いますが、宇宙における異質核生成は共通のメカニズムでどこの星においても存在し、それぞれの星の環境に応じた気象現象の原因になっているようですよ。
木星の高高度で発生する稲妻。(Credit: NASA Visualization, feat. Music by Vangelis) |
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