多くの研究者が「クレーターだらけの退屈な氷の塊」っと思っていた冥王星。
でも、NASAの探査機“ニューホライズンズ”の観測により、そのイメージは変わることになりました。
実際の冥王星はハート模様やクジラのような模様、氷河や氷の火山などが見られ、驚くほど多様な物質や地形に彩られていたんですねー
今回は2006年まで太陽系の第9惑星で、現在は準惑星に分類されている冥王星誕生のお話し。
冥王星の観測データと、探査機“ロゼッタ”で得られた彗星の化学組成のデータから分かってきたことは、冥王星はたくさんの彗星が集積して形成された天体だということでした。
2つの探査機の観測データから得られた理論
アメリカ・サウスウエスト研究所のチームが、2つの観測データを組み合わせて新しい理論を構築しました。
用いられたのはNASAの探査機“ニューホライズンズ”による冥王星の観測データと、ヨーロッパ宇宙機関の探査機“ロゼッタ”による“チュリュモフ・ゲラシメンコ彗星”の観測データ。
そして、分かってきたのが冥王星がどのように形成されたのかを説明する新しい理論でした。
研究チームはこの新しい冥王星形成モデルを“巨大彗星・宇宙化学モデル”と呼んでいる。
今回の研究で中心になったのは、冥王星の“スプートニク平原”にある窒素の豊富な氷でした。
“スプートニク平原”は大きな氷床で、
“トンボー領域”という明るいハート型地形の左半分を形作っている。
研究チームは、“チュリュモフ・ゲラシメンコ彗星”に似た化学組成を持つ彗星や別種のカイパーベルト天体がおよそ10憶個ほど集積して、冥王星が作られたと仮定。
すると、冥王星に存在するであろう窒素の量は、実際に“ニューホライズンズ”で観測された“スプートニク平原”の窒素の量とほぼ同じになる っという興味深い結果が得られたんですねー
さらに、彗星が集まって冥王星ができたというモデルに加えて、
太陽に近い化学組成を持つ低温の氷が集積してできたというモデルについても
同様に調査している。
冥王星にもあった豊かな歴史
今回のモデルを作る上で研究チームが進めたのは、現在の冥王星の大気や氷床に存在する窒素の量の把握でした。
それだけでなく、冥王星ができてから現在までの数十億年にわたって、どれくらい窒素が大気から宇宙空間に逃げたのかについても見積もっているんですねー
さらに、より完全なモデルにするために必要だったのが、窒素に対する一酸化炭素の比率についてもモデルと観測値とを合わせることでした。
ただ、このモデルによる予測では、現在の冥王星に存在する一酸化炭素の量が実際よりも多くなってしまうことに…
これについては、一酸化炭素の氷の中に埋もれているか、あるいは液体の水の作用で分解されてしまったと考えることもできます。
冥王星の元々の化学組成は、冥王星を形作った彗星の組成を引き継ぐことになり、のちに液体の水によって科学的に変えられた。
っということが今回の研究から示唆されたことになります。
もしかすると、冥王星の地下海の水によって変化したという可能性もあります。
今回の研究は“ニューホライズンズ”や“ロゼッタ”ミッションの成果を基にして、冥王星の起源や進化に関する理解をさらに広げるものとなりました。
そして新たに分かってきたことは、今日の冥王星に見られる特徴は、遠い昔から現在までの冥王星の形成過程に由来していたことでした。
冥王星は退屈な氷の塊ではなかったんですね。
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でも、NASAの探査機“ニューホライズンズ”の観測により、そのイメージは変わることになりました。
実際の冥王星はハート模様やクジラのような模様、氷河や氷の火山などが見られ、驚くほど多様な物質や地形に彩られていたんですねー
今回は2006年まで太陽系の第9惑星で、現在は準惑星に分類されている冥王星誕生のお話し。
冥王星の観測データと、探査機“ロゼッタ”で得られた彗星の化学組成のデータから分かってきたことは、冥王星はたくさんの彗星が集積して形成された天体だということでした。
2つの探査機の観測データから得られた理論
アメリカ・サウスウエスト研究所のチームが、2つの観測データを組み合わせて新しい理論を構築しました。
用いられたのはNASAの探査機“ニューホライズンズ”による冥王星の観測データと、ヨーロッパ宇宙機関の探査機“ロゼッタ”による“チュリュモフ・ゲラシメンコ彗星”の観測データ。
そして、分かってきたのが冥王星がどのように形成されたのかを説明する新しい理論でした。
研究チームはこの新しい冥王星形成モデルを“巨大彗星・宇宙化学モデル”と呼んでいる。
“ニューホライズンズ“が撮影した巨大な氷床“スプートニク平原”は、 冥王星表面にあるハート模様の左半分を占めている。 |
“スプートニク平原”は大きな氷床で、
“トンボー領域”という明るいハート型地形の左半分を形作っている。
研究チームは、“チュリュモフ・ゲラシメンコ彗星”に似た化学組成を持つ彗星や別種のカイパーベルト天体がおよそ10憶個ほど集積して、冥王星が作られたと仮定。
すると、冥王星に存在するであろう窒素の量は、実際に“ニューホライズンズ”で観測された“スプートニク平原”の窒素の量とほぼ同じになる っという興味深い結果が得られたんですねー
さらに、彗星が集まって冥王星ができたというモデルに加えて、
太陽に近い化学組成を持つ低温の氷が集積してできたというモデルについても
同様に調査している。
冥王星にもあった豊かな歴史
今回のモデルを作る上で研究チームが進めたのは、現在の冥王星の大気や氷床に存在する窒素の量の把握でした。
それだけでなく、冥王星ができてから現在までの数十億年にわたって、どれくらい窒素が大気から宇宙空間に逃げたのかについても見積もっているんですねー
さらに、より完全なモデルにするために必要だったのが、窒素に対する一酸化炭素の比率についてもモデルと観測値とを合わせることでした。
ただ、このモデルによる予測では、現在の冥王星に存在する一酸化炭素の量が実際よりも多くなってしまうことに…
これについては、一酸化炭素の氷の中に埋もれているか、あるいは液体の水の作用で分解されてしまったと考えることもできます。
冥王星の元々の化学組成は、冥王星を形作った彗星の組成を引き継ぐことになり、のちに液体の水によって科学的に変えられた。
っということが今回の研究から示唆されたことになります。
もしかすると、冥王星の地下海の水によって変化したという可能性もあります。
今回の研究は“ニューホライズンズ”や“ロゼッタ”ミッションの成果を基にして、冥王星の起源や進化に関する理解をさらに広げるものとなりました。
そして新たに分かってきたことは、今日の冥王星に見られる特徴は、遠い昔から現在までの冥王星の形成過程に由来していたことでした。
冥王星は退屈な氷の塊ではなかったんですね。
“ニューホライズンズ”の可視光・赤外線撮像分光装置“Ralph”がとらえた冥王星の表面の組成。 左上から時計回りに、メタン(CH4)、窒素(N2)、一酸化炭素(CO)、 水(H2O)が豊富な領域を表していて、“スプートニク平原”に窒素が多いことが分かる。 |
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