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モバライダー mobarider

連星系が銀河の進化に与える影響は?

2012年08月01日 | 宇宙 space
非常に明るく大質量の恒星の多くが、パートナーの星を連れているという観測結果が発表されました。

オランダのアムステルダム大学らの国際研究チームが、
南米チリにあるパラナル天文台の超大型望遠鏡VLTなどを用いて、
太陽系近傍の6つの若い星団に含まれる71個の単独星や連星を調べました。

これらはスペクトルタイプがO型に分類される星で、非常に明るく大質量なんですねー
摂氏3万度以上という高温のため青白い光を放っています。

O型星は波乱万丈の短い一生をおくるのですが、銀河の進化に重要な役割を果たします。
数の割合では1%ほどなんですが、
強烈な恒星風や衝撃波を放ったり、超新星爆発やガンマ線バーストなど激しい現象を起こして周囲の宇宙空間に多大な影響を与えます。
銀河を進化させるメカニズムに大きく関わっているんですねー

このようなO型星を調査したところ、75%が連星系を成していることがわかりました。
このうち連星同士の合体が予想されるものは全体の20~30%で、小さな伴星が大きな星の表面物質を吸い取る っといった相互作用が起こっているものは40~50%もあるそうです。

これまで大質量の近傍連星は、X線連星や二重パルサー、ブラックホール連星といった「変わり種」を説明するための「例外的なもの」と考えられてきました。

でも、それでは宇宙を正しく解釈したことにはならないんですねー
こうした連星はありふれていて、単独星とは全く違った一生を送るということです。

たとえば、連星のうち小さく低質量の星(ヴァンパイア・スター)が、
もう一方の星から水素を奪い取ると、同じくらいの質量の単独星よりも長生きするんですねー
水素を奪い取られたもう一方は、単独星なら膨張した赤色巨星になるはずが、高温の青いコアがむき出しとなります。

結果、ヴァンパイア・スターの「被害者」も「加害者」も色が青くなり、見かけ上は実際よりも若くなります。




ヴァンパイア・スターの想像図
小さな星が、大きな星の表層の水素を剥ぎ取り、
両方とも本来より青く輝いている




こうした現象が起こる大質量星の連星の割合を把握することで、見誤りがちな遠方の銀河の年齢を正しく見積もることができるんですねー

遠方の銀河のことを知る手がかりは「光」だけです。
銀河の質量や年齢を正しく知るには、こうした光がどのように発せられているのかを把握することが重要となります。

恒星のほとんどが単独星という、よくある思い込みは誤った結論を導いてしまうんですねー
まぁー 今回の研究がいい教訓になるということです。

恒星間の相互作用がどのくらい大きく、銀河の進化にどう影響しているのか?
連星の理論モデルは複雑なので、解明されるまでにはしばらく時間がかかるようです。


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