宇宙のはなしと、ときどきツーリング

モバライダー mobarider

トルコの新衛星は、“みちびき”、“ひまわり”と兄弟機

2014年01月26日 | 宇宙 space
三菱電機が製造したトルコの通信衛星“Turksat 4A”が、カザフスタンのバイコヌール宇宙基地に到着し、2月の打ち上げに向けて準備中だそうです。
“Turksat 4A”衛星は、トルコの国営衛星通信会社Turksat社から、三菱電機が2011年に製造を受注した2機の通信衛星のうちの1機です。

海外の通信会社から三菱電機が衛星の製造を受託した例としては、2008年のシンガポール通信衛星“ST-2”があり、今回の“Turksat 4A/4B”は2例目になるんですねー

打ち上げ重量は4850キロで、C帯、Ku帯、Ka帯のトランスポンダを搭載し、東経42度の静止軌道上でトルコやヨーロッパ、中東、中央アジア、アフリカ向けに通信と放送のサービスを行う予定です。

Turksat社は、過去5機の衛星を全て欧州メーカーから調達していて、当プロジェクトでも欧米メーカーとの厳しい国際競争になるのですが、三菱電機製“DS2000”の高い信頼性と、軌道上実績が評価され衛星の受注につながります。

“DS2000”は、JAXAの技術試験衛星“ETS-VIII”などをベースに、三菱電機が開発した衛星標準バスで、
準天頂衛星初号機“みちびき”や“ひまわり(7号・8号・9号)”などの衛星にも採用された実績があったんですねー

トルコの“Turksat 4A/4B”で、累計9機目/10機目の“DS2000”採用となります。

インターナショナル・ローンチ・サービスによる、
三菱電機製人工衛星の打ち上げは今回が初めてになり、
現在、“Turksat 4A”はバイコヌール宇宙基地の施設で、“プロトンM・ブリーズMロケット”上段への取り付けや点検が行われていて、打ち上げは2月初旬になるようです。

インターナショナル・ローンチ・サービスは、1995年にアメリカ・ロシア共同で設立された、プロトンロケットの商用打ち上げを行う企業です。

ただ、今回のプロジェクトは、衛星の納入だけでなく、打ち上げサービスと打ち上げ保険調達も含む、三菱電機としては初のフルターンキー契約になっています。
なので、衛星は軌道上で引き渡されることになるんですねー

“宇宙のクモの巣”を始めて観測

2014年01月25日 | 宇宙 space
理論上で全宇宙を結び付ける“宇宙のクモの巣”。
これを形成する存在とされてきたガスのフィラメント(糸状)構造を、初めて実際に観測したとの研究が発表されたんですねー

この研究はカリフォルニア大学のチームによるもので、宇宙で最も明るい天体であるクエーサー(恒星状天体)が発する、強力なエネルギー放射を利用してこの観測を行っています。
○○○
クエーサー“HE0109-3518”(画像中央)周辺の星空
超大質量ブラックホールによって生み出されるこのエネルギーは、巨大なフィラメント構造の一部を照らす、いわば「宇宙の懐中電灯」として機能しているんですねー

そして、宇宙論では、銀河間に存在する物質は、“宇宙のクモの巣”としてしられるフィラメント構造を形成して、分布していると考えられています。

宇宙にある原子の大部分は、ビッグバン後に残された水素として、この網目構造内に存在していると考えられていて、銀河は網の結び目に当たる部分に形成されたそうです。


ハワイのケック天文台で行われた観測では、フィラメントの交差部分にある深宇宙の巨大ガス雲を対象にしています。

クエーサーは銀河中心にある超大質量ブラックホールに、宇宙物質が落下することで生成されるエネルギーを放射しているので、
研究チームでは、コンピュータの光フィルターを用いることで、この放射で明るく照らされたガス雲の研究を可能にしたんですねー

さらに、今回の研究でラッキーだったのが、
懐中電灯の光が、宇宙のクモの巣の方を向いていて、ガスの一部を輝かせていたことだそうです。

彗星探査機 “ロゼッタ” 冬眠から復帰

2014年01月24日 | 彗星探査 ロゼッタ/フィラエ
今年の夏にチュリモフ・ゲラシメンコ彗星に接近し、史上初の着陸探査を目指すヨーロッパ宇宙機関の彗星探査機“ロゼッタ”が、
20日に冬眠モードから目覚めました。

冬眠中は、機体の温度を保つヒーターなど、必要最低限の機器以外をオフにしていた“ロゼッタ”は、20日の午後7時ころにセルフタイマーで起床。

方向を知るためのスタートラッカーの軌道や、姿勢の制御など、一連の復帰動作を自動で実行した後に、8億キロ以上離れた地球に向けてシグナルを送信したんですねー
シグナルは21日の午前4時18分に、ゴールドストーンとキャンベラにあるNASA深宇宙ネットワークのアンテナで受信され、“ロゼッタ”が無事目覚めたことを知ることになります。

今後しばらくは、来るミッションに備えて機体と、搭載装置のチェックなどを行い、
5月に目標のチュリモフ・ゲラシメンコ彗星を、
200万キロ彼方から初めて撮影する予定です。

ちなみに、冬眠モードから目覚めた“ロゼッタ”が送ったシグナルは、45分かけて地球に届いたそうです。

ヨーロッパ宇宙機関の“ジオット”が、史上初めてハレー彗星の核を間近にとらえてから28年。
今度は同宇宙機関の“ロゼッタ”が、史上初の彗星への着陸機投下ミッション行うことになるんですねー

8月にチュリモフ・ゲラシメンコ彗星に到着した“ロゼッタ”は、彗星とともに並走飛行(ランデブー)を開始。
そばを通過するだけのフライバイ観測でなく、彗星をランデブー探査するのは始めてのことで、
最初の2か月間で彗星表面を観測し、質量や形状、コマ(ガスとチリの大気)の分析を行います。
そして、これらの観測データをもとに着陸地点が決定され、11月には重量100キロの着陸機“フィラエ”が投下されるんですねー
幅4キロの彗星核は重力が小さいので、地表にネジを差し込んで“フィラエ”を固定し、
地表の高解像度撮影のほか、表面をドリルで削って氷を分析するなど、幅広い科学観測が行われる予定です。

“ロゼッタ”と“フィラエ”の観測は、2015年8月に彗星が太陽に最接近するまで続き、
太陽に近づいて活発になっていく彗星活動のようすを1年以上、現地で克明にとらえるんですねー
なので、まだ知られていない彗星の姿が見れるかもしれませんね。

ドラゴン有人宇宙船、緊急脱出パラシュート試験を実施

2014年01月23日 | 宇宙へ!(民間企業の挑戦)
NASAとスペースX社は、ドラゴン有人宇宙船の緊急パラシュートの試験に成功したようです。

カリフォルニア州のモロー湾で実施された試験では、ドラゴン有人宇宙船の打ち上げ時に、緊急事態が起きた場合に使用するパラシュートシステム試験が行われています。

NASAには2017年以降、国際宇宙ステーションへの宇宙飛行士輸送を、民間に委託する計画“CCiCap”があります。

今回の試験とは、“CCiCap”のために契約企業が達成しなければならない、安全に関する目標を達成するものなんですねー

5400キロの試験機は、エアクレーンヘリコプターで海上2400メートルまで吊り上げられ投下。
2つの減速用ドローグパラシュート、3つのメインパラシュート共に展開し試験は成功しています。

ドラゴン有人宇宙船の通常の着陸の場合、パラシュートシステムは“スーパードラコ”エンジンが着陸の補助用に使用され、より安全に着陸できるようにするそうです。

スペースX社では、今回のパラシュートシステム試験の成功を受けて、
2014年後半には、ドラゴン有人宇宙船の打ち上げ時緊急脱出試験を、全体を通して実施するそうです。

火星・月・小惑星への探査に向けて、着陸機が飛行試験に成功

2014年01月22日 | 宇宙 space
NASAが惑星探査に向けて開発中の垂直離着陸機“モーフィウス”。
この“モーフィウス”の試験機が、1月16日に5回目の飛行試験を成功したんですねー

“モーフィウス”プロジェクトというのはは、NASAが開発する月、火星、小惑星などの惑星探査に使用するための、着陸機開発プロジェクトです。

ケネディー宇宙センターの試験施設で行われたフリーフライト試験で試験機は、垂直に57メートル上昇、47メートル移動し、予定していた着陸地点から28センチほどのところに着陸して、試験は成功しています。

推進剤に用いるのはメタンと液体酸素なので、毒性が無く、宇宙でも安全に貯蔵できんだとか。
また、地上では手に入りやすく低コストで開発が可能で、将来の宇宙探査では、酸素とメタンを現地で手に入る材料を使って製造することも考えられています。

惑星表面には岩石やクレーターや傾斜があって、着陸の障害となることがあります。
なので“モーフィウス試験機”では、着陸機が自律的に安全な場所を探す、“自律的着陸障害回避技術”と呼ばれる機能の実現を目指しているんですねー

開発はNASAのジョンソン宇宙センターが中心となっているのですが、
試験施設はケネディ宇宙センター、エンジンテストはステニス宇宙センター、エンジン開発はマーシャル宇宙飛行センター、飛行制御ソフトウェア開発はゴダード宇宙飛行センター、
そして“自律的着陸障害回避技術”にラングレー研究センターとジェット推進研究所が参加、まさにオールNASAともいえる協力体制で開発を進めています。

2012年8月に行ったフリーフライト試験では、燃料漏れのため試験機は離陸直後に落下して炎上する結果へ…
でも今回は、ケーブルで試験機を吊り下げた状態での試験を繰り返して、試験を成功させたようですよ。