宇宙のはなしと、ときどきツーリング

モバライダー mobarider

不運なロケットGSLV、3年ぶりに打ち上げ成功!

2014年01月07日 | 宇宙 space
インド宇宙機関が1月5日、
通信衛星GSAT-14を搭載した、GSLV-D5ロケットの打ち上げに成功しました。

実は、このGSLVロケットの打ち上げは2回連続で失敗していて、今回の打ち上げは3年ぶりになります。

GSLV-D5ロケットはサティシュ・ダワン宇宙センターから離昇、順調に飛行し約14分後に衛星を所定の静止トランスファー軌道に送り込み、打ち上げは成功に終っています。


実は今回の打ち上げは、もともと2013年の8月に予定されていたのですが、カウントダウン中に燃料漏れが見つかって中止、
いったんロケットは、組み立て棟に戻され部品の交換と再検査を行っているんですねー

ただ、このようなアクシデントはこれまでにもいくつかあり、GSLVは今日に至るまで苦難の道を歩んできたといえます。

2001年の1号機では、第3段が予定より早く停止し、計画より低い軌道に衛星を投入してしまい、
この後、2003年の2号機と2004年の3号機の打ち上げには成功するのですが、
2006年の4号機では、4基あるブースターのうち1基が離昇直後に故障し、ロケットは飛行経路を外れて爆発してしまいます。

そして、2007年に5号機の打ち上げに成功した後、大きな改良が加えられます。
第3段のロシア製KVD-1Mを、インドが自力で開発したCSと呼ばれるエンジンに換装したんですねー

CSはKVD-1Mと同じ液体酸素と液体水素を推進剤として使用していて、性能も瓜二つでした。
でも、これによりロシアへの依存から抜け出すことを見込んでいました。

CSエンジンを積んだGSLVはマーク2と呼ばれ、6号機で導入、2010年に試験飛行が行われます。
ただ、肝心の第3段エンジンCSが点火2.2秒後に故障、打ち上げは失敗に終ることに…

インド宇宙機関は、残っていた従来型のGSLVの打ち上げを続けつつ、マーク2の開発も続けるのですが、同じ年に打ち上げられた従来型のGSLV(7号機)は、離昇直後のブースター故障で53秒後に爆破されてしまいます。

今回、打ち上げに成功したGSLV-D5では、エンジンのターボ・ポンプや、第2段と第3段の段間部に改良が加えられ、エンジンの点火の手順も変更されています。
そして今後も、通信衛星や月探査機“チャンドラヤーン2”の打ち上げに使われる予定になっています。
さらに、インド宇宙機関では後継機マーク3の開発も進めています。
マーク3は、これまでのGSLVとは共通点がほとんど無い新ロケットで、いくつもの新技術が使われることになり、マーク2の開発でつまづくようでは、マーク3の未来も無くなることになります。

なので、今回の成功はインドの宇宙開発の未来にとって重要な意味を持つんですねー

シグナス補給船打ち上げへ

2014年01月06日 | 宇宙へ!(民間企業の挑戦)
12月11日に発生した、国際宇宙ステーションの熱制御用外部排熱システムの異常により、延期されていた補給船の打ち上げが決まりました。
打ち上げは日本時間だと1月8日、オービタル・サイエンシズ社の“シグナス補給船(ORB-1)”は、ワロップ飛行施設からアンタレスロケットで打ち上げられます。

“シグナス補給船”の打ち上げは、9月の初打ち上げに次いで2回目。
1回目の補給物質輸送は試験ミッションだったので、今回が国際宇宙ステーションへの補給船として本格運用になるんですねー

今回の補給ミッションでは、クルーが実施する科学実験用の機材と食料、予備の部品など、約1200キロの補給物資を運ぶことになります。


“シグナス補給船”は、NASAの商業宇宙輸送計画に基づいて、オービタル社が開発した無人補給船です。

国際宇宙ステーションへのランデブーとドッキングには、日本の無人補給船“こうのとり”と同じ、三菱電機が開発した誘導接近システムが使われています。

NASA TVでは、打ち上げ準備やミッション関連の映像を放送し、打ち上げの生中継も行うようですよ。

今年初めて見つかった小惑星は20時間の短命

2014年01月05日 | 宇宙 space
2014年1月1日に発見された“2014 AA”は、今年最初に発見された小惑星でした。
でも、発見から20時間ほど後に地球を直撃したようなんですねー

ただ、小惑星は直径2~3メートルと小型だったので、地上での被害はなかったようです。

小惑星“2014 AA”は、地球近傍天体の全天観測を行う“カタリナ・スカイサーベイ”に参加する、アリゾナ州レモン山天文台が1月1日に発見しました。

左の画像は“カタリナ・スカイサーベイ”が公開したもので、小惑星“2014 AA”を世界標準時1月1日6時18分から46分までの間とらえています。

小惑星“2014 AA”の正確な軌道は完全に分かっていないのですが、地球を直撃したと考えられています。

落下予想地域は、中央アメリカから大西洋、東アフリカまでの広い地域にわたっていて、1月2日の午前11頃アフリカ西海岸の上空に突入したと見られています。

小惑星の直径は2~3メートルと小さいので、たぶん大気圏で燃え尽きたようです。

地球を直撃する前に発見された小惑星には、2008年10月の“2008 TC3”の例があり、発見から19時間後にスーダン北部上空に飛来しています。

ただ、こちらも数メートルほどの小さなもので、上空で燃え尽きて地上への被害には至らなかったそうです。



土星と木星に大量のダイヤモンドがある?

2014年01月04日 | 宇宙 space
最新の研究によると、土星と木星には1000万トンものダイヤモンドが存在するそうです。

土星の嵐が炭素粒子を盛んに生成していることを示す観測データに加え、新たな実験とモデル によって、極限状況下における炭素の振る舞いを調べた結果から、土星と木星は、ダイヤモンドの生成にとって安定した環境になっているんですねー

固体ダイヤモンドの上限温度が判明し、それ以上の温度になると融解することや、
土星と木星内部のより正確な圧力と温度の構造も分かり、両惑星の広い鉛直領域上に固体ダイヤモンドが存在する可能性が出てきたということです。

これまでの説では、ダイヤモンドを形成している可能性がある太陽系の惑星は、地球以外には天王星と海王星だけだと考えられていました。
これらの惑星では、非常な高温と高圧によって、大気中のメタンガスがダイヤモンドに変えられ、惑星内部に降り注いでいる可能性があります。

それに比べて木星と土星は、はるかに低温でメタンも少ないと考えられるので、これまでダイヤモンドが形成されているとは考えられていませんでした。
大気中に含まれるメタンの割合も、土星が約0.5%、木星がわずか約0.2%なのに対して、天王星と海王星は、大気の15%近くがメタンなんですねー
土星探査機“カッシーニ”が、土星の上層雲に発生する巨大な嵐と雷の姿をとらえていて、木星でも同様の嵐が観測されています。
これらの現象が、ダイヤモンドの形成を引き起こす上で、重要な役割を果たしている可能性があるようです。

赤外線画像がとらえた暗い嵐の領域は、メタン分子が炭素に、おそらく“すす”の粒子に分解されている領域なんだとか…

今回の説では、分解されてできた非晶質炭素は、大気中を降下し圧力の上昇でグラファイトに変換されます。
グラファイトは土星大気のさらに深部へ降りていき、圧力と温度の上昇に伴って固体ダイヤモンドに変わることになります。

これにより、毎年約1000トンのダイヤモンドが形成され、厚さ3万キロのダイヤモンドを含む層には、このように形成されたダイヤモンドが約1000万トン存在するそうです。


一方、木星大気の最深部は、非常に極限的な環境なので、ダイヤモンドは固体でなく液体として海を形成している可能性が考えられています。

そして、ダイヤモンドが融解する層より下では、水素の原子化、イオン化によって大気が過酷になり、融解したダイヤモンドはおそらくまた別の物質に変換されることになります。

それに対し、天王星と海王星の内部は、はるかに低温で8000ケルビンに達することはないので、ダイヤモンドはおそらく融解することはないんですねー

なので、おそらく天王星と海王星にはダイヤモンドが永久に残り、木星と土星には残らないと考えられます。


ただ、「土星の嵐と雷によって発生する“すす”の量は、ダイヤモンドを形成するには少なすぎる」や、
「大気の深部へ降下するに従い、上昇する圧力と温度によって、“すす”はおそらく分解される」という、今回の説に懐疑的な意見も出ているんですねー

熱分解された炭素は、水素と一緒になって溶液を形成するだけで、凝固してダイヤモンドにはならないという考えです。

まぁー 遠い将来にはロボット探査によって、木星と土星の深部大気に存在するダイヤモンドが発見されるかもしれませんね。

太陽活動の低下、地球への影響は?

2014年01月03日 | 太陽の観測
最近の太陽表面は、驚くほど穏やかな状態が続いていて、
黒点の数が20世紀のどの時期よりも少なくなっています。

この現象に興味を持つ科学者は、
それがこの地球上で何を意味するのかに思いを巡らせているんですねー

太陽活動の周期


黒点の数は、
およそ11年周期の太陽活動周期にあわせて増減し、
1日で突発的に増加した後に急激に活動が弱まり、
その後にまた活発になったりします。

でも、第24太陽活動周期と呼ばれる現在の周期は、
あまりにも不活発なので、科学者らを驚かせているんですねー

第24太陽活動周期が始まったのが2008年。
これまでに出現した黒点の総数は、
過去250年間に観測された平均値を大きく下回っていて、
実際に半数にも満たない状態… 最弱のサイクルになっています。

ただ、黒点から放射される強烈な電磁エネルギーは、
太陽の紫外線放射、太陽嵐などに重大な影響を及ぼします。

その太陽嵐は、
地球上の通信網や電子ネットワークを遮断する恐れがあり、
黒点活動は地球の気候にも影響を及ぼす可能性があります。

ひとつ前の第23太陽活動周期は2000年頃に極大に達し、
その後、同周期の活動は徐々に弱まり2008年には極小へ。
そして、科学者らはこの時点を、現周期の始まりとしています。

第23太陽活動周期の終わりに太陽活動が極小になったことで、
第24太陽活動周期が低調になると予測されたんですが、
現実には予測をさらに下回ることになるんですねー

第24太陽活動周期の初年度には、太陽活動は上昇するはずでしたが、
黒点が1個も出現しない日が合計で266日も観測されることになります。


長期におよぶ太陽活動低下期の始まり

さらに、第24太陽活動周期は、
もう1つ驚くべき点で標準から外れています。

太陽磁場は、通常は各11年周期の最後のあたりで、
北極と南極の磁場の性質が同時に反転し極性が変化します。

磁場の強度は、極性反転が起きている間はゼロ近くまで低下し、
極性が逆になると再び高くなることに。

でも今回は、今までとは異なることが起きていて、
すでに北極では、数か月前に極性が反転してしまったので、
現在は南極と同じ極性になっています。

この現象について心配はないないようですが、
  第24太陽活動周期が異常な周期になるのかどうか、
  現在の太陽活動の低下が、次のサイクルにまで長引くのかどうか
を見極めるには、まだ3~4年はかかるようです。

ただ、この現象は、
長期にわたる太陽活動低下期の始まりかもしれないんですねー

前回、同様の現象が発生したのが“マウンダー極小期”です。
“マウンダー極小期”は、17世紀半ば頃から18世紀前半頃に発生していて、
この期間も、黒点がほとんど観測されませんでした。

この期間の地球上では気温が急激に低下し、
欧州と北米でいわゆる小氷期が起きています。

なので、黒点の数が少ない状況がさらに続くと、
地球の気候が再び影響を受ける可能が出てくることになります。

でも地球温暖化のおかげで、
再び氷河期に見舞われる可能性は低く、事態はまだ寒冷化に向かっていません…

ひょっとすると「それほど速やかに黒点の数が上昇していない」
だけなのかもしれませんね。


こちらの記事もどうぞ ⇒ 太陽風は南北で吹き方が違う、太陽活動の変化と関連