宇宙のはなしと、ときどきツーリング

モバライダー mobarider

これまで観測された中で最も古い銀河

2014年01月12日 | 宇宙 space
これまで観測された中で最も古い、132億年前の銀河の画像が公開されました。
この画像は、最も初期の恒星が誕生した、当時の混沌とした宇宙を垣間見せてくれる興味深いものなんですねー

画像は、新たな観測プログラム“ザ・フロンティア・フィールズ”の最初の成果になります。

宇宙最初期の恒星について解明することは、
私たちの天の川銀河を含む銀河が、どのようにして形成され、
また、太陽のような恒星がどのようにして、銀河内に存在するようになったのかという疑問の解明につながります。

銀河団“エイベル2744” 銀河団をとらえた画像としては観測史上最深のものになる

宇宙の誕生は今から約137億年前になり、ハッブル宇宙望遠鏡は初期宇宙により近い時代の銀河を、1995年から観測しています。

その最初の成果が“ハッブル・ディープ・フィールド”の画像になります。
この画像は、北斗七星の方向を43時間にわたり観測して得られたもので、120億年以上前の銀河の姿がとらえられました。

そして今回、“ザ・フロンティア・フィールズ”で、さらに5億年ほど古い銀河の姿がとらえられたんですねー

このような初期の銀河は、明るく青色の塊で密集し、小さく、そして至るところに存在していました。

ハッブルとスピッツァーの両方で観測した、驚くほど明るい4つの初期の銀河では、質量が天の川銀河の約1%しかないのに、恒星を生み出す頻度は、現在の天の川銀河の約50倍もあったと考えられます。


アインシュタインが100年前に示したように、重力は光を屈折させます。
“ザ・フロンティア・フィールズ”初の画像は、数百個の銀河が小さく寄り集まっている銀河団“エイベル2744”の重力により、それより遠く古い銀河の光を屈折させています。

この屈折効果は、古い銀河の光を収束して、本来の10~20倍に増幅するんですねー
なので、この重力レンズを利用することで、ハッブルはより遠く古い銀河を観測することができるようになります。

でも、重力レンズ効果には、古い銀河の姿を歪めてしまうという欠点があるので、これだけを見ても銀河本来の姿にはならないんですねー

ただ、重力レンズがもたらす歪みの程度を推測し、遠方の銀河の姿を補正することは可能になっていて、これらの画像から見えてくる初期宇宙の姿は、宇宙誕生から最初の40億年間に、恒星が数多く形成され、銀河がどんどん大きく成長していったというものです。

また、初期の恒星を観測することに関して、氷山の一角がまるで氷山の底部のように見えるので注意が必要だとか…
それでも、初期の宇宙で何が起こったのかを知る、非常に良い手がかりになるそうですよ。

宇宙の加速膨張に迫る “バリオン音響振動分光サーベイ”

2014年01月11日 | 宇宙 space
観測プロジェクト“バリオン音響振動分光サーベイ”が、60億光年彼方の銀河までの距離を、
誤差1%の高精度で観測することに成功しました。

このことは、宇宙の膨張を加速させると考えられている、謎のダークエネルギーの正体解明につながると期待されているんですねー





バリオン音響振動の波紋
宇宙誕生まもない頃の密度のゆらぎ(左端:緑と赤の濃淡)が、数十億年後の銀河密度分布として表れる(右端)



これまで、これほどの高い精度で距離が測定できた天体は、天の川銀河の中にある太陽から数千光年以内の星々だけでした。

今回の測定は“バリオン音響振動”と呼ばれる、宇宙に存在する銀河の分布に周期的に現れる波紋を測定するという、新しい方法で行われています。

近傍(現代)から遠方(昔)まで、およそ120万個の銀河の位置を測定して、その密度分布から波紋の大きさ(みかけの角度)を観測すると、銀河までの正確な距離が分かります。

そして、宇宙の歴史における、各時代ごとの波紋の大きさを調べることにより、宇宙膨張が時間と共にどのように変化してきたのか? なぜ膨張が加速し始めたのか? の手掛かりを得ることができるんですねー

正体不明のエネルギー(ダークエネルギー)によると考えられている宇宙の加速膨張を、アインシュタインの重力理論の修正によって説明しようとする試みがあるのですが、今回測定された銀河地図を利用した別の研究成果で、この理論を検証しています。

この重力理論の検証は、1億光年という大きなスケールで、重力的に銀河がどう集まっているのかを観測し、赤方偏移歪みと呼ばれる効果を精密に測定しておこなわれています。

残念ながら、今回の観測ではアインシュタインの重力理論に修正が必要な、積極的な証拠は見つかりませんでした。

赤方偏移歪みによる重力理論の検証は、宇宙加速膨張の謎に迫るうえで、“バリオン音響振動”による距離測定とは相補的な役割を果たすそうです。

今のところ“バリオン音響振動分光サーベイ”の測定結果では、ダークエネルギーの働きは宇宙誕生以来変化していないことを示唆しています。

現在の宇宙の姿や、大規模構造を説明する宇宙モデルは、さらに裏付けを得て強固なものになったようですよ。

“クラブツーリズム・スペースツアーズ”は宇宙専門の旅行会社

2014年01月10日 | 宇宙へ!(民間企業の挑戦)
民間宇宙旅行を専門に取扱う“クラブツーリズム・スペースツアーズ”が設立されました。

この会社は2001年から“宇宙旅行クラブ”を立ち上げ、宇宙旅行に関心を持つ人を対象とした講座や交流会を実施してきました。

2005年からは、イギリスのヴァージングループの宇宙旅行会社ヴァージンギャラクティックと、有人弾道宇宙旅行の日本国内での販売について提携。

そして公式代理店として国内で独占販売してきたんですねー

これまで、親会社の専任部署で宇宙旅行関連事業を進めてきたのですが、現実的な商業運航開始が近づいているので、今回専門会社が設立されたという訳です。

なので、新会社は業界に先駆け宇宙旅行を専門にした事業展開を、本格的に始動させることになります。

アメリカでは、関連法規の規定や、政府の認可制度などの環境整備が進んでいて、
複数の企業が、民間宇宙旅行用の宇宙船開発や、ニューメキシコ州をはじめとした複数の州で、宇宙港開発が進んでいます。

ヴァージンギャラクティックは、アメリカ連邦航空局の運転免許を取得後、2014年にも商業運航の開始を見込んでいます。

これにより「世界初の民間宇宙旅行」が実現できる見通しで、
ヴァージンギャラクティックでは、運航開始後10年間の取扱い宇宙旅行客数を、累計で3万人と予測しているんですねー

このうち日本からの参加者数は約900人と見積もられているとか…
日本にも宇宙観光ビジネスが根付くんですかねー


こちらの記事もどうぞ ⇒ 民間宇宙船“スペースシップ2” 2回目の超音速飛行に成功

超新星爆発による残骸の中心部を画像化。 星の進化解明に役立つかも…

2014年01月09日 | 宇宙 space
超新星爆発による残骸、この中心部に集まる大量のチリを、南米チリにあるアルマ電波望遠鏡で初めてとらえたんですねー

対象の天体は、地球から約16万光年先の大マゼラン雲にある、超新星“1987A”の残骸で、
小柴教授が、この爆発で生じた素粒子ニュートリノを観測して、ノーベル物理学賞を受賞しています。

超新星爆発は、星が寿命を終える時に起こす爆発です。

爆発後に残った酸素、炭素、ケイ素の原子は、冷えた残骸の中心部に大量に集まると考えられていました。

でも、従来の赤外線望遠鏡では温度が低いので、ほとんど把握できなかったんですねー


なので、この研究では、ごく弱い電波を解析して画像化しています。
中心の赤い部分がアルマ電波望遠鏡がとらえたチリで、周囲は爆発の衝撃波で外層のガスが広がる様子になっていて、緑がハッブル宇宙望遠鏡、青がチャンドラX線観測衛星がとらえたものです。

チリは、次の天体が生まれるのに重要な役割を果たすので、
今回の成果は、星の進化解明に役立つようです。

作成されたイメージ図

国際宇宙ステーションへの補給を担う2社が、衛星打ち上げでコラボ

2014年01月08日 | 宇宙へ!(民間企業の挑戦)
大型ロケット“ファルコン9”を運用するスペースX社が、昨年に続き2機目の静止通信衛星“Thaicom 6”を1月7日に打ち上げました。
“ファルコン9”による“Thaicom 6”打ち上げは、当初2013年12月に予定されていたのですが、2014年1月3日に延期… そして今回の打ち上げになっています。

“Thaicom 6”は、ブロードバンド衛星“IPSTAR”などを運用するタイの通信衛星大手タイコムの静止通信衛星。
電源供給能力は3.7キロワットで、C帯およびKu帯の電波中継器を踏査していて、打ち上げ重量は約3.3トンになります。

東経78.5度の軌道上で、タイ、ラオス、カンボジア、ミャンマーなど東南アジア向けのデジタル衛星放送や、東南アジアからアフリカまでの地域への通信サービスを行い、運用期間は15年の予定です。

“Thaicom 6”の衛星開発は、オービタル・サイエンシズ社が担当していて、“GEOStar-2”バスを採用しています。

打ち上げはスペースX社の“ファルコン9 v.1.1”ロケットで行われ、
2013年9月の“ファルコン9”ロケットによる静止衛星“SES 8”打ち上げ成功から2機目となるんですねー

オービタル・サイエンシズ社は“シグナス補給船”、スペースX社は“ドラゴン補給船”を、
NASAの商業宇宙輸送計画に基づき運用していて、国際宇宙ステーションへの補給物資輸送を担っています。

今回、この2社が商用静止衛星の開発・打ち上げで協力したということです。
ほんと、スペースシャトルが引退してからの商業打ち上げ分野の進歩は早いですねー