太陽系から6光年の距離に位置する、2番目に近い恒星“バーナード星”の周りに、地球の3倍程度の質量を持つスーパーアースと見られる惑星候補が見つかりました。
“バーナード星”は、1960年代に惑星が発見されたと話題になり、のちに間違いだったことが分かったいわく付きの恒星。
50年ぶりの再発見で用いられたのは、ドップラーシフトという検出法でした。
惑星の重力により主星(恒星)が引っ張られる現象から惑星の存在を検出したそうです。
50年前にも発表されていた“バーナード星”の惑星発見
“バーナード星”は、バーナードループやバーナードの銀河などと同じく、アメリカの天文学者E.E.バーナードが1916年に発見しその名を残した天体です。
固有運動が最速の星としても知られていて、100年の間に満月の見掛けサイズの半分ほども天球上を動きます。
なんと、1万年後には太陽から約3.8光年の距離まで接近すると予想されているんですねー
固有運動とは天球上を1年間に移動する角度。
“バーナード星”は10.3秒で、夜空の中で最速に分類されている。
実は、“バーナード星”に惑星を発見したという発表は、今回が初めてではありません。
1960年代にアメリカの天文学者ピート・ファンデカンプは、“バーナード星”の固有運動にわずかなブレがあることに気付きます。
そして、“バーナード星”には木星ほどの大きさの惑星があるということ発表。
史上初の系外惑星、それも発見が6光年先という近い場所だったので、世界中の天文学者や天文ファンは沸き立ちます。
1970年代には、英国惑星協会が核融合のエネルギーで高速の12%まで加速し、
“バーナード星”まで50年で到達できる探査機“ダイダロス”計画を研究している。
ただ、その後の観測で惑星は見つからず…
今では、ファンデカンプが気付いたブレは観測時の誤差によるもので、惑星ではなかったとされています。
“バーナード星”は太陽系から2番目に近い恒星で、連星系ではない単独の星としては最も近い距離にあります。
ちなみに、太陽系から最も近い恒星は、4.2光年の距離にある“プロキシマ・ケンタウリ”。
ケンタウルス座に位置していて、0等級の“リギル・ケンタウルスA”、1等級の“リギル・ケンタウルスB”と共に、三重星の連星系を構成しています。
この“プロキシマ・ケンタウリ”にも系外惑星が見つかっているので、今回の発見は太陽系から2番目に近い系外惑星候補になります。
巨大地球型惑星“スーパーアース”
今回、スペイン・カタルーニャ宇宙研究所を中心とする国際チームは、赤色矮星を回る系外惑星の発見を目指した“Red Dots”と“CARMENES”というプロジェクトの中で、バーナード星に惑星が存在することを示す証拠を発見しています。
主星の周りを公転している惑星の重力で、主星が引っ張られ地球からわずかに遠ざかったり近づいたりします。
研究チーム使用したのは、この動きによる光の波長の変化“ゆらぎ”を読み取る“ドップラーシフト法”でした。
観測に用いられたのは、ヨーロッパ南天天文台ラシーヤ観測所の口径3.6メートル望遠鏡に付けられた系外惑星探査用の分光装置“HARPS”をはじめ、世界中にある7種類の観測装置。観測期間は20年にもわたり、観測は771回も行われています。
研究チームは、その膨大な観測データを分析して、スーパーアースと見られる系外惑星の候補を発見したそうです。
スーパーアースは地球の数倍程度の質量を持ち、
主成分が岩石や金属などの固体成分と推定された惑星。
場所は“バーナード星”。へびつかい座の方向約6光年の距離に位置する10等の恒星でした。
スーパーアースは、この恒星を公転していて、質量は地球の3.2倍以上あるようです。
質量が小さく暗い赤色矮星を回るスーパーアース
惑星が公転しているのは、“バーナード星”から6000万キロ(太陽~地球間の0.4倍)ほど離れた軌道。
1周するのに約233日かかるそうです。
“バーナード星”は、質量が小さく低温で暗い赤色矮星に分類されています。
表面温度は約2700度で太陽の表面温度約6000度と比べ半分以下、直径は太陽の約30%、質量は太陽の約16%、明るさは0.3%しかありません。
なので、惑星が“バーナード星”から得るエネルギーは少なく、地球が太陽から受けているエネルギーのわずか2%しかないんですねー
そのため、惑星の表面温度は摂氏マイナス170度ほどと推測されていて、少なくとも私たちが知る生命に適した環境ではなさそうです。
また、惑星が公転している場所は、“バーナード星”の水のスノーラインにあたります。
水の“スノーライン”は水が凍る・凍らないの境界線になります。
また、惑星が地球のような岩石惑星になるか、木星のように大きく重いガス惑星になるかの境界にもなると考えられています。
太陽系では小惑星帯(アステロイド・ベルト)の位置がスノーラインにあたり、
実際に、その内側には地球や火星といった岩石惑星、
外側には木星や土星といったガス惑星が形成されている。
それと、現在の理論で予測されているのが、スノーラインがスーパーアースのような惑星を形成するための理想的な場所だということ。
その点からも、今回発見された天体は惑星であり、なおかつスーパーアースである可能性を裏付けるものになるんですねー
現在ヨーロッパ南天天文台が計画意中の“欧州大型望遠鏡”や、NASAの“ジェームズ・ウェッブ宇宙望遠鏡”などの次世代の高性能望遠鏡が使えれば、大気の組成や生命の有無など、多くのことが分かってくるようですよ。
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“バーナード星”は、1960年代に惑星が発見されたと話題になり、のちに間違いだったことが分かったいわく付きの恒星。
50年ぶりの再発見で用いられたのは、ドップラーシフトという検出法でした。
惑星の重力により主星(恒星)が引っ張られる現象から惑星の存在を検出したそうです。
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50年前にも発表されていた“バーナード星”の惑星発見
“バーナード星”は、バーナードループやバーナードの銀河などと同じく、アメリカの天文学者E.E.バーナードが1916年に発見しその名を残した天体です。
固有運動が最速の星としても知られていて、100年の間に満月の見掛けサイズの半分ほども天球上を動きます。
なんと、1万年後には太陽から約3.8光年の距離まで接近すると予想されているんですねー
固有運動とは天球上を1年間に移動する角度。
“バーナード星”は10.3秒で、夜空の中で最速に分類されている。
実は、“バーナード星”に惑星を発見したという発表は、今回が初めてではありません。
1960年代にアメリカの天文学者ピート・ファンデカンプは、“バーナード星”の固有運動にわずかなブレがあることに気付きます。
そして、“バーナード星”には木星ほどの大きさの惑星があるということ発表。
史上初の系外惑星、それも発見が6光年先という近い場所だったので、世界中の天文学者や天文ファンは沸き立ちます。
1970年代には、英国惑星協会が核融合のエネルギーで高速の12%まで加速し、
“バーナード星”まで50年で到達できる探査機“ダイダロス”計画を研究している。
ただ、その後の観測で惑星は見つからず…
今では、ファンデカンプが気付いたブレは観測時の誤差によるもので、惑星ではなかったとされています。
“バーナード星”は太陽系から2番目に近い恒星で、連星系ではない単独の星としては最も近い距離にあります。
ちなみに、太陽系から最も近い恒星は、4.2光年の距離にある“プロキシマ・ケンタウリ”。
ケンタウルス座に位置していて、0等級の“リギル・ケンタウルスA”、1等級の“リギル・ケンタウルスB”と共に、三重星の連星系を構成しています。
この“プロキシマ・ケンタウリ”にも系外惑星が見つかっているので、今回の発見は太陽系から2番目に近い系外惑星候補になります。
巨大地球型惑星“スーパーアース”
今回、スペイン・カタルーニャ宇宙研究所を中心とする国際チームは、赤色矮星を回る系外惑星の発見を目指した“Red Dots”と“CARMENES”というプロジェクトの中で、バーナード星に惑星が存在することを示す証拠を発見しています。
主星の周りを公転している惑星の重力で、主星が引っ張られ地球からわずかに遠ざかったり近づいたりします。
研究チーム使用したのは、この動きによる光の波長の変化“ゆらぎ”を読み取る“ドップラーシフト法”でした。
観測に用いられたのは、ヨーロッパ南天天文台ラシーヤ観測所の口径3.6メートル望遠鏡に付けられた系外惑星探査用の分光装置“HARPS”をはじめ、世界中にある7種類の観測装置。観測期間は20年にもわたり、観測は771回も行われています。
研究チームは、その膨大な観測データを分析して、スーパーアースと見られる系外惑星の候補を発見したそうです。
スーパーアースは地球の数倍程度の質量を持ち、
主成分が岩石や金属などの固体成分と推定された惑星。
場所は“バーナード星”。へびつかい座の方向約6光年の距離に位置する10等の恒星でした。
スーパーアースは、この恒星を公転していて、質量は地球の3.2倍以上あるようです。
質量が小さく暗い赤色矮星を回るスーパーアース
惑星が公転しているのは、“バーナード星”から6000万キロ(太陽~地球間の0.4倍)ほど離れた軌道。
1周するのに約233日かかるそうです。
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表面温度は約2700度で太陽の表面温度約6000度と比べ半分以下、直径は太陽の約30%、質量は太陽の約16%、明るさは0.3%しかありません。
なので、惑星が“バーナード星”から得るエネルギーは少なく、地球が太陽から受けているエネルギーのわずか2%しかないんですねー
そのため、惑星の表面温度は摂氏マイナス170度ほどと推測されていて、少なくとも私たちが知る生命に適した環境ではなさそうです。
また、惑星が公転している場所は、“バーナード星”の水のスノーラインにあたります。
水の“スノーライン”は水が凍る・凍らないの境界線になります。
また、惑星が地球のような岩石惑星になるか、木星のように大きく重いガス惑星になるかの境界にもなると考えられています。
太陽系では小惑星帯(アステロイド・ベルト)の位置がスノーラインにあたり、
実際に、その内側には地球や火星といった岩石惑星、
外側には木星や土星といったガス惑星が形成されている。
それと、現在の理論で予測されているのが、スノーラインがスーパーアースのような惑星を形成するための理想的な場所だということ。
その点からも、今回発見された天体は惑星であり、なおかつスーパーアースである可能性を裏付けるものになるんですねー
現在ヨーロッパ南天天文台が計画意中の“欧州大型望遠鏡”や、NASAの“ジェームズ・ウェッブ宇宙望遠鏡”などの次世代の高性能望遠鏡が使えれば、大気の組成や生命の有無など、多くのことが分かってくるようですよ。
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