akikoの「活動」徒然記

活動弁士佐々木亜希子の身の周りの出来事やふと感じたこと

名古屋市中村文化小劇場公演

2009-01-18 | 活弁
昨年に続き、二回目の公演となりました、名古屋市中村文化小劇場【活動弁士~佐々木亜希子の無声映画の世界】。お招きいただき、またたくさんのお客様にいらしていただき、ありがとうございました。

今年は、昨年の『生れてはみたけれど』(昭7)に続き、小津安二郎監督のけれどシリーズ『大学は出たけれど』(昭4)『落第はしたけれど』(昭5)二本立て。FEBOの生演奏でよりライブ感のある無声映画上映会となりました。

御存じのように、昭和4年5年といえば世界的にたいへんな不況。現代と酷似した大量失業時代でした。小津監督は、「大学は出たけれど」就職できない若者と、「落第はしたけれど」、就職できない卒業生を尻目にモラトリアム大学生活を謳歌する若者を主人公に、時代を風刺しています。とくに『落第はしたけれど』はテンポよく、小津監督のちょっと毒のきいた笑いが満載で、とても好きな作品です。
人生、自分は死ぬほど落ち込んで悲劇だと思っていることが、俯瞰してみると喜劇だったり、「これですべて終わりだ」と思うほどの事も実は何かの始まりだったり、不幸と思った出来事が幸いに繋がっていたりします。そんな、人生を俯瞰で見る気持ちの余裕をくれる作品です。

『大学は出たけれど』は、大卒のプライドにとらわれ就職できぬまま呑気にしていた青年が、許婚の姿勢に自分を反省し、心を入れかえ就職を勝ち取る、いわば主人公の成長譚。昭和6年の小津作品『東京の合唱』も同じテーマといえます。辛い時こそ、自分が変われるチャンスだな、と思います。

中村文化小劇場の方々始め公演に携わったスタッフの皆様、いらして下さったお客様に、感謝しております。これからもどうぞよろしくお願いいたします。

※今日はマネージャーが開演前の会場を撮ってくれました
コメント (2)
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