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中国の『尚書(しょうしょ)』には「人心これ危(あや)うく、道心(どうしん)これ微(かすか)なり」とあります。人心つまり人間の心は大部分を利己心が占め、道心すなわち道徳心は、非常にかすかなものであるから、利己心を克服し道徳心を大いに発達させなければ、私たちの人生の末路(まつろ)は危ういというのです。
ここでいう道徳心とは、温かく、やわらかな、すべてのものを慈(いつく)しみはぐくむ心のことで、仏教の言葉では「慈悲心」ともいえましょう。また利己心とは、自分中心の利己的な心です。
つまり、私たちの心には常に両面のはたらきがあるわけです。意識しないでいると自分中心の心がはたらきやすいことをよく理解して「慈悲」を引き出すようにしたいものです。
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