県に提出した書類には「指導」に従って次のように記されている。綿桂の方針とはいうものの、実は国や県のこう有って欲しいという文言でもある。だが、一方では、保険による給付を抑えるように指導しているようです。ある意味矛盾している部分もあります。
「運営の方針」 (一部抜粋)
1.事業の実施にあたっては、利用者の意思及び人格を尊重し、常に利用者の立場に立ったサービスの提供に努めるものとする。
2.事業所の専門相談員は、利用者がその有する能力に応じ、自立した日常生活を営むことができるよう利用者の心身の状況・希望及びそのおかれている環境を踏まえた適切な福祉用具の選定援助・取り付け・調整等を行い、福祉用具を貸与販売することにより利用者の日常生活の便宜を図り、その機能訓練に資するとともに、利用者を介護する者の負担の軽減を図る。
3.事業の実施にあたっては、地域との結び付きを重視し、市町村・居宅介護支援事業者・在宅介護支援センター・地域包括支援センター・他の居宅サービス事業者・介護予防サービス事業者・保険医療サービスおよび福祉サービスを提供する者との連帯に努めるものとする。
介護保険が始まった時から県の指定を受けているが、9月末に初めての臨店監査指導を受けた。改善報告書を県と市に提出することになっていた。指摘された中に、「福祉用具選定の理由」を記載するように・・・という項目があった。いつも言うようになかなか書けない。理由を考える以前にケアマネさんが具体的に決めて連絡してくるからだ。
アルク 重量は11.8㎏
90歳のお婆ちゃん(要支援)です。屋内での移動には歩行器(車)を使用して、デイでも歩行訓練をしています。今回、ご家族様から車いすをレンタルしたいと言われました。お婆ちゃんには、心臓の持病もあり、少し「うつ」もあります。家族としては、長距離歩行が心配なので車いすをレンタルして通院や散歩にも連れ出したいとお考えでした。
地域包括の担当者の方は、規則に従って車いすのレンタルは出来ないからと、歩行車でありながら車いすの機能を持った「アルク」のレンタルをと提案された。通院先の医院には車いすは配置されていないため、自家用車に車いすを積んでの通院になります。包括の担当者から電話があり、ご家族の意向も伺ってましたので、「アルク」「軽7」「軽量自走車いす」の3点を持って伺いました。
「軽7」重量7.8㎏ 一般車いす最軽量でも8.9kg
ところが、包括の担当者は「車いすは要介護2以上」でなければという通達に従って、車いすのレンタルはできない、代わりに購入を提案されました。ご家族様は購入ではなく、レンタルを希望されました。医師からも「OK」を戴いた上での家族の申し出でしたが、地域包括の担当者は出来ないの一点張りでした。譲ったつもりで「要支援だから自走式でならと(これは通達を誤解していると思われる)・・・」 押し問答が続きました。
ご家族からは「世話をする家族が少しでも身体的負担を軽減するために福祉用具があるのではないのか。医師もOKしているのに、借りられないのはおかしい」と言われました。その通りです。一般の車いすは12~16kg程度あり、ご家族は主に介護するお嫁さんの体格を考えて、少しでも軽いものをということで「軽7」を希望されました。
「運営方針」と「通達」とは、ある意味どちらも厚生労働省からの意図ですが、「解釈」の違いか「思い」の違いか、残念な結果になりました。 担当者会議は「物別れ」的に終了しました。
改善報告書を高齢介護課に持参した時に、その点を尋ねました。高齢介護課の担当からはこう言われました。福祉用具の選定に当たっては、福祉用具専門相談員としてケアマネさんと対等な立場で話をして、進言して下さい、と。意外な言葉でしたが、当然と言えば当然の話です。とはいえ、聞く耳を持つケアマネさんが一体どれぐらいあるでしょうか?
一方、包括の担当者は、なんとかご家族の希望を叶えられないかと考えられたようです。「原則車いすは要介護2以上・・・」という原則の文字があるので、実質許可の判断をする高齢介護課と相談されました。結果は「OK」となりました。結果オーライ(All right)とはいえ釈然としません。お試し期間も1週間という時間を要したのに、何故前もって高齢介護課と話をされなかったのだろうか。隣り同士なのに・・・・。
包括の担当者は「役人」という立場から見れば、有能かもしれない。レンタルをすれば保険から月々5400円の支出だが、購入となれば、「0円」である。市の負担を少しでも減らす事を考えたのだろうか。だが、主人公である利用者と介護(世話)をする家族の事は二の次になった感である。
介護保険の収支も医療保険と同じようにヤバイ状態に向かっているようだ。4点杖など低額商品はレンタル品から外して購入品にという話もある。ベッドの時もそうだったが、制度の改正(改悪)で購入を余儀なくされた方も多かった。ベッドほどの金額ではないが、購入となればそれなりの出費である。高級(給)官僚からみれば「それぐらいの金額・・・」かもしれないが、年金のみの方にすれば一大事である。
包括の担当者とご家族様の関係はなんとなくギクシャクしてしまったことは言うまでも無い。
それでなくても、スマホは重い。電池を更に付けるなんて、そんな体力年寄りには無い!
要するに、年寄りにとっては、スマホでなくても良かったのかもしれない。単にカッコ付けただけなのかな…。