古くからのお客様からの依頼で、婆が夜着に挑戦しました。
以前は、夜着の注文も結構ありました。最後に販売して20数年経ちます。夜着は叔母が主に作っていましたが、叔母も既に鬼籍に入ってしまい、販売を復活したいと思っていましたが、中々上手くいきませんでした。
夜着(掻い巻き)という寝具は、ある意味「歴史のある寝具」だと思います。寝具の歴史を大雑把に見てみると、寝具の出発点は着物だったと思います。
貴族の姫君たちは、イラストのような生活をしていたようです。
【余談】平安時代には、ほぼ「畳」に相当する物ができていたようで、官位によって「厚みと大きさ」が異なっていたようです。部屋に敷き詰められるようになったのは室町時代からとか…。書院作り/床の間の発祥といわれる大徳寺大仙院が創建されたのが1509年(永正6年)とか。
平安時代は畳(ゴザに近いものらしい)に、「褥-しとね」と総称される真綿などを入れた薄い敷物などを敷いて休んだようです。なお、「しとね」を訳すと cushion, mattress, bedding となるそうです。
正しい(?)掻い巻き(夜着)は、正に「綿入れの着物」ですね(下の写真の左)。これが製作できる(試験に合格する)と「厚生労働省認定一級寝具制作技能士 」と名乗れます。
おばあちゃんの作った掻い巻き/夜着(写真右)をもう一度着て寝たいと、お孫さん(といっても50歳代)からのご注文が、事の始まりでした。この夜着「植田のおばあちゃん流・直線裁ち夜着」(写真右)と、爺が勝手に命名しました。
先生の作った正しい夜着(左) 練習で作った夜着(右)
この夜着(植田のおばあちゃん流・直線裁ち夜着)を作ったのは、もしご存命であれば110歳ほどの、和裁の得意な方でした。お子様の一人は和裁の師範となられ、今でも松坂屋の呉服の仕立てもされていると、聞き及んでいます。
お孫さんから「夜着を何とか復刻して欲しい」という依頼があったのは年末でした。
もちろん婆(わが愚妻)は作ったことなどありません。4月に古い夜着を預かり、丁寧に総てを解体しました。綿を出し、全ての布を解き、そして型紙を作り、復刻させるという大プロジェクトをスタートさせたのです。それが5月のDW後からでした。短大時代にちょっぴり和裁をかじったことがある婆でしたが、袖口のところの綿の入れ方は全く分からず、一級寝具制作技能士である立入さんに師事して製作することとしました。
作り方を教えて戴いてから後は婆一人で1からの作業でした。その後も、婆一人で依頼された夜着の再現には、悪戦苦闘しましたが、ようやく納得できる出来栄えになりました。
正規の夜着
「直線断ち」と名づけた理由は、シンプルに実用的に仕立ててあるからです。正規の作り方に従うと、上の写真のようになります。襟の部分が伸び、途中で切れたようになります。実用的に考えるならば、その段差のような襟(赤の破線で囲んだ部分)は必要ありませんね。むしろ、爺は邪魔にさえ思えます。植田のおばあちゃん流・直線裁ち夜着は、段差的なものはありません。たいへん合理的な創りだと思います。
着た(寝た)場合
肌に当たる面
袖の部分の綿入れに四苦八苦しながら完成させました。最も苦労したのは「綿量を極力減らしたい」という事です。夜着は肌ふとんの代用品的な着方になるはずです。もちろん、正規な夜着のほうが格好良いですが、綿量が多すぎて、体へのフィット感がイマイチです。でも、綿量を減らし、格好良さではなく【植田のおばあちゃん流・直線裁ち夜着】のほうが、作る人にとっても、着る人にとっても(爺の偏見かもしれませんが)良い・実用的だと思っています。皆さんはどう思われますか?
こんな、【植田のおばあちゃん流・直線裁ち夜着】をご希望の方・・・承ります。但し、納期は期限なしでお願いします。たぶん来年(2019年)になります??? 生地はサテン生地・中綿は綿100%(綿50%も可能)です。価格は・・・未定です??? 思い入れのある生地で作りたい方、長身の方にはロング仕立てもご相談ください。
詳しいことはメール(futon3@watakei.com)で、まずはご相談ください。
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