聖書のある場面で、
「蛇のようにさとく、鳩のようにすなおでありなさい」(新改訳)
と、訳されている箇所の、原意について興味深い話があった。
故にメモをば。
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イエスが12人の弟子を派遣したときに、・・・(中略)・・・
次に、何も持たずに行け、と命じます。金貨も銀貨も銅貨も持たずに。
「何も持たなくて何ができるのか」とふつうだったら思います。
さらにイエスはいいます。
ただ「蛇のように感性するどく、鳩のように率直に」(マタイ10章16節)、
それだけを自分の武器にしなさい。それは貧しく小さくされた者たちが共通して
持っている身を守る術なのです。「蛇のように賢く、鳩のように素直に」ではない。
蛇のように感性するどく。原語φρονιμοιには、賢いとか、頭がいいという
ニュアンスはない。感じとる敏感さのこと。蛇というのは腹ばいで動き、体全体を
触角にしていて敏感な生きものです。(下の下に注目↓)
鳩のように率直に。原語ακεραιοιは混ぜものをして薄めてしまいようなことが
ないという意味ですから、相手に合わせてしまう素直ということではなく、正しいと
思ったことをそのまま口に出す、飾り気のない率直ということでしょう。
(本田哲郎『釜ヶ崎と福音 -神は貧しく小さくされた者と共に-』,岩波書店)
前半部分に関して、やや似たようなこと(伝える者は、他の人々の痛みや必要にとても感受性がないとダメだということ)を「宣教師の資質」の「2.感受性(1)~3.感受性(2)」で読んだなぁ…とも思いつつ。(これはこれで、具体的によく考察されている)
でも、本当かなぁ・・・と確認したいときに、こういうものも活用できます。
■Greek New Testament(ヨーク大学)
ギリシャ語新約聖書の原文を読んだり、単語の検索することが可能。
原文の中の知りたい単語をダブルクリックすると、
文章中の変化形と元の形、(動詞なら)相voice,法mood,時称tense,数number,人称person…あたりまで
出てくる。
■Perseus The Greek New Testament
ペルセウス・プロジェクトによるギリシャ語新約聖書。簡単な原意も載っている。
(こちらは、まだまだ十分に活用できていないので、どなたか教えてください)
(後日追記05.01)
・・・と、こうしてメモを書くと、しばしばありがたいことが起こります(^^)
1.誤字脱字に関して、指摘をしていただける。
…ギリシャ語を入れるとき、いちいち、「アルファ、カッパ、エプシロン、ロー、イオ-タ、オミクロン、イオタ・・・」などと打ってから、変換しているのですが、それを間違えた時、ご覧になった方によっては、きちんと指摘してくださるのです。今回も同様(訂正済み)。助かります。
2.さらに、いろんな情報をいただける。
…最初に書いた、ある本からの引用のギリシャ語などでもどこかで聞いた話でも「ん?」と思ったとき、または、「なるほどなるほど」と思ったときでも、(時間があったら)それをうのみにせずに、「ほんとかな~?」と可能な範囲で確認するのですが、今回、上記の文章で、「原語φρονιμοιには、賢いとか、頭がいいというニュアンスはない。」というのは、断言できるのか??と確認してみると・・・。あれ、ん~~~~? と判断しにくいことも。(ちなみにακεραιοιのほうは、それでOKでした)
そんなつぶやきが伝わったのか、海外にいる、語学に堪能な方から、さらにこちらを紹介していただきました。
■φρόνιμοι (phronimoi)が新約聖書のどこの箇所に使われているか
■phronimosの意味、説明
・・・というわけで、「賢い」(wise, sensible)という意味のようです。
(それにしても、たとえ間違っていた内容だったとしても、こうして「ん?」って、一度立ち止まって考える機会をいただけるわけなので、ありがたいです(^^))
助かります。ありがとうございました