間違っていないかどうか、三回繰り返して確かめた。
いつしか日が暮れ、夜が訪れようとしていた。
時折(ときおり)流しで、洗いかけの食器から滴(したた)り落ちる水の音が聞こえた。博士は傍(かたわ)らでじっと私を見守っていた。
「はい、できました」
220 : 1+2+4+5+10+11+20+22+44+55+110 = 284
220 = 142+71+4+2+1 : 284
「正解だ。
見てご覧(らん)、この素晴らしい一続きの数字の連なりを。
220の約数の和は284。
284の約数の和は220。
フェルマーだってデカルトだって、一組ずつしか見つけられなかった。
いつしか日が暮れ、夜が訪れようとしていた。
時折(ときおり)流しで、洗いかけの食器から滴(したた)り落ちる水の音が聞こえた。博士は傍(かたわ)らでじっと私を見守っていた。
「はい、できました」
220 : 1+2+4+5+10+11+20+22+44+55+110 = 284
220 = 142+71+4+2+1 : 284
「正解だ。
見てご覧(らん)、この素晴らしい一続きの数字の連なりを。
220の約数の和は284。
284の約数の和は220。
友愛数だ。滅多(めった)に存在しない組合わせだよ。
フェルマーだってデカルトだって、一組ずつしか見つけられなかった。
神の計らいを受けた絆(きずな)で結ばれ合った数字なんだ。
美しいと思わないかい?
(小川洋子著「博士の愛した数式」、新潮文庫、P.32から)
美しいと思わないかい?
(小川洋子著「博士の愛した数式」、新潮文庫、P.32から)