*高層ビル開発が著しい東京駅界隈で垣間見た明治、大正、昭和の面影
■日本工業倶楽部
旧日本工業倶楽部会館は大正9年に竣工。
特徴ある外観と優れた内装に対する評価が高いゴシック建築ビルで、近代建築史上たいへん貴重な重要文化財のひとつ。
80年以上の年月による老朽化、耐震性、機能更新の必要性などの問題を解決するべく、平成12年に隣接する永楽ビルディングと共同立て替え。
その歴史性を継承し、建物の一部保存と外観、内装の復元が行われました(竣工は平成15年2月)。
正式名称は、日本工業倶楽部会館・三菱信託銀行本店ビル。
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旧日本工業倶楽部会館の景観を保存・再現したためこんな不思議な建物に。
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正面屋上には坑夫と織女の彫像(戦前の日本経済を支えた石炭と紡績を象徴)が当時のまま残っています。
*日本工業倶楽部
大正6年、日本工業の発展を目的として、工業界の企業家たちによって結成された倶楽部組織。
(ちなみに初代理事長は三井の団琢磨氏)
http://www.kogyoclub.or.jp/about.html
*建て替え前の内部(撮影はNGのはずなのだが…)の画像が見られるサイトを見つけました。
http://homepage2.nifty.com/mot3/arch/arch22.html
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■明治生命館
竣工は昭和9(1934)年。昭和に建てられた建物として初めて国の重要文化財に指定されています。
古典主義様式でまとめられた洋風建築で、5階まで貫くコリント式の柱が建ち並んでいる外観は圧巻。
戦時中は館内の金属の多くが供出、戦後はGHQ(連合国軍最高司令官総司令部)による接収が行われました。
昭和31(1956)年にアメリカ軍から返還されるまで、対日理事会が会議室(現存)で行われていた(マッカーサーがGHQ本部を置いたのは第一生命館)ことでも知られています。
平成13(2001)年からのリニューアル工事により、隣接する30階建ての明治安田生命ビル(2004年に完成)と共に「丸の内マイプラザ」として生まれ変わりました。
明治生命は安田生命と合併して名前が変わったけれど、建物の名称は明治安田生命館ではなくもとのまま「明治生命館」。
ちなみにこのレトロビルは月イチで見学出来ます。日曜日の11時から17時まで入場無料。
(詳しくはHPでご確認を↓)
http://www.meijiyasuda.co.jp/profile/etc/open/#header
*見学された方が画像をUPしているページです。私も行ってみようかなぁ。
http://www.tansei.net/kindai/meijiseimei/main.htm
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■法務省赤レンガ棟
一般に公開されている史料展示室もあり、クラシカルな内観も一部見学できます。
外観は、威厳に満ちた雰囲気。
日本政府に招かれた2人のドイツ人建築家が手掛けた法務省赤レンガ棟は、改修と復元を経て今に至っています。
明治28年(1895)年に旧司法省庁舎として完成→昭和20(1945)年に東京大空襲によりレンガ壁を残し焼失→昭和26(1951)年に改修(屋根をスレート葺きから瓦葺きに)、法務省の本館として使用→平成6(1994)年に外観を創建時の姿に復元、法務総合研究所及び法務図書館として活用。
約20年後に造られた東京駅と同じく、赤レンガと白い石材のコントラストが美しい。この壮麗なる外観が都市の景観上貴重で歴史的価値が高いとされ、平成6(1994)年12月に重要文化財に指定されました。
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スクロール装飾
19世紀のドイツ建築を代表するネオ・バロック様式がそのまま導入され、中央屋根の部分にある小窓の左右にはスクロール装飾も見られます(暗いと全然分からんが)。
植物のツルのようにクルッと丸まったこの装飾は、アンティーク家具や額縁などに頻繁に使われるモチーフ。
□千代田区霞が関1-1-1
□ 03-3592-7911(法務史料展示室)
※法務史料展示室は、平日午前10:00~16:30まで公開されています(入室は午後16:00まで)。