アンティマキのいいかげん田舎暮らし

アンティマキは、愛知県北東部の山里にある、草木染めと焼き菓子の工房です。スローライフの忙しい日々を綴ります。

映画「ダムネーション」

2015-02-01 14:58:26 | 映画とドラマと本と絵画
    前から気になっていた映画、「ダムネーション」を見に、名古屋に行ってきました。副題は、「役立たずのダムを取り壊せ」。「発電・灌漑・洪水防止」のいずれの役にも立っていないアメリカのいくつかのダムの撤去と、撤去に至るまでの環境活動家たちの行動を記録したドキュメンタリーです。

     灌漑や治水にダムは必要なものだろうと、長いこと疑問を持たずにいたのですが、数年前、「美味しんぼ」(103巻)で佐久間ダムの維持管理が全くうまくいっていないことを知り、遅ればせながら、ダム建設が、自然を破壊するだけでなく、かならずしも役に立っているとは言えない、ということを知りました。

     そして2年ほど前から、長い間保留になっていた、隣村の設楽町の設楽ダム建設が急に現実のものとなり、ダム予定地の住民たちが次々に移住を余儀なくされていることを身近に聞き、さらに気になるようになりました。

     映画のパンフには、次のように書かれています。

     「アメリカ全土に作られた7万5千基のダム。それらは、川を変貌させ、魚を絶滅させ、それにもかかわらず期待される発電・灌漑・洪水防止のいずれにおても低い価値しか提供していない。むしろダムの維持には高い経済的コストがかかっている。そんな「負」の面ばかりのダムを「撤去」する選択が、アメリカでは現実になってきた。

     だが、「ダム撤去」が当たり前に語られるようになるまでには、「クレイジー」といわれながらも川の自由を求め続けた人びとの挑戦があった。彼らのエネルギーにより「破壊」が起こるドキュメンタリー。」

     映画の冒頭は、1930年代、ニューディール政策によって、巨大ダム建設を始めたルーズベルト大統領のメッセージが流れます。大規模な土木事業が、自然を操作可能のものにし、人々の豊かな生活を約束するといった内容でした。

しかし、巨大なダム建設によって紅鮭の遡上をはばだある川では、その鮭によってもたらされる自然の恵みを糧として生きてきた、アメリカンネイティブの文化をも破壊しました。

     ダム工事が終わり、水を湛えた途端、決壊したダム、大洪水には耐えられなかったダムなどの映像は衝撃的。あっというまにものすごい勢いで水と土砂が流れていきます。ダム湖に貯めていた量が多いので、土石流よりずっとすごい。

     マイナス要因がかりにあっても、それを超える役割を果たしているダムはともかく、そうではないダム、つまり「ムダなダム」が全米には現在かなりあるのだそうですが、それでも、おどろいたことになかなか撤去に踏み切らない。ある陸軍工兵隊のひとりは、「調査を任され、撤去が妥当と報告したのにもみ消された」と告白しました。

      ダムが撤去された後の川には、鮭が戻り、他の生物もふえはじめます。川が元の姿に戻るということは、その周辺の生物も徐々に戻ってくるということです。そしてその川の恵みによって生活していた人々も、元の暮らしを少しずつ取り戻し始めます。ダムの貯水池の汚くよどんだ風景が、美しい川の流れに変わります。映像がどれも美しい。とりあえずお勉強にとおもって見に行った映画ですが、予想以上によくできていて、構成も映像もすばらしかった。

      さらに、この映画で最も感心したのは、ユーモア。環境活動家たちは、ダムにひび割れの絵を描いたり、切り取り線を描いたりします。命綱を使ってのかなり危険な仕事なのに、彼らは明るく行動しています。そして、彼らのダム撤去のメッセージを込めたジョークに対してのダム管理者も、ジョークで受けていました。最後の画面に登場したネイティブの、インタビュアーの質問に対する回答も、予想通りではありましたが、つい笑ってしまいました。その質問とは、こういうものです。

      「このあたりに、外来生物はいますか?」
      

           
     

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