ATSUー歴女(おばさん?)のひとりごとー

見たこと・聞いたこと・ちょっと調べたこと,気ままに「My 日記」として書いています。

生駒哲郎『畜生・餓鬼・地獄の中世仏教史』

2018-05-28 15:11:42 | 日記 本
たまたま見つけた本。
今年2月に発行されたばかり。
なぜ図書館で借りたのかというと,
地獄はよく聞いても,(知っていても・・・とは言い難いけど。)
畜生や餓鬼はよく知らないからです。

読んでみると,
とても分かりやすかったです。
すっきり分かったような気がします。
でも,そんな気がするだけかもしれません。
読み違えていたら,すみません。



まず,仏の世界観
十界という思想がある。
それは,四聖(ししょう)と六道。
四聖は,4つの悟りの段階。
六道は6つの迷いの世界。
六道のうち,天・人・修羅道は三善道。
餓鬼・畜生・地獄は三悪道。
私たち人間は,人道の住人で,迷える衆生(しゅじょう:仏教で救いの対象となる者)。
人は臨終の時,できれば六道ではなく,往生して悟りの世界に行きたいと願う。

さて,殺生をする武士はみな地獄に落ちるのか?
宿縁・宿業・因果などと呼ばれる前世での因縁による行為で来世に地獄に落ちることがあったが,
たとえ堕ちても地蔵菩薩が救いの手を差し伸べることがある。
理不尽な殺生には因果は必ずめぐってくる。
しかし,現報(げんぽう:この世で受ける仏菩薩の仏罰)の場合は,
それがたとえ,実際は人の手による殺生であっても,仏教の罪業はない。
ちなみに,病で亡くなるより,人によって殺害された方がよいと考えられていた。
なぜなら,病は,悪霊であり,代々その家を祟ることもあるからだ。

地獄から抜けるにはどうすればいいか。
その者の信心のみでは抜け出せない。
現世に残った者の信心が必要。
追善供養の助力を得て,
地獄にいる時間を短縮し,さらなる来世に輪廻転生する。

(中世において,追善供養や出家が多いわけですね。
 殺生しても,出家して信心深くなって,六道から抜け,極楽に行こうと考えて。)

次に畜生
畜生は人よりも欲が勝り,衆生に対して慈悲の心に欠けると考えられていた。
ある母親は,娘との別れを嘆く。
親が子どもを盲愛し,子に執心すると,親は畜生道に落ちたと中世では考えられた。
親が子に執心するあまり,親は周囲が見えず他人に対する配慮が欠けることになり,
他人に対する慈悲の心も欠けるというのだ。
これは本当に意味で親の愛情ではない。
そうしたことを痴愛と言い,これも煩悩である。
このような親は畜生道に堕ち,
そうとも知らない子が親を食べるということすらある。
また,生きるための殺生と心のままに殺して食べる殺生がある。
欲望や快楽のために畜生を殺すことは理不尽な殺生である。
したがって,殺されたものが畜生であっても,
殺したものは現報を受け,畜生道に堕ちる。

そして,餓鬼道
餓鬼道は常に飢えと渇きに苦しむ世界である。
男性ならば,自分ばかり食べて,妻子に与えず,
女性ならば,夫,子どもに与えないことの報いで,餓鬼道に堕ちる。
『盂蘭盆経』に書かれた目連の話。
目連は亡き母の恩に報いようと,母が生まれ変わった場所を探す。
母は餓鬼道にいた。
母のところに行き,食べ物を与えようとするが,炎に変わってしまう。
目連は仏のもとに来て尋ね,言われた通り,
自分の罪を懺悔し,他の僧の訓戒を受けている僧に食べ物を与え,
残りを母のもとにもっていく。
すると,食べ物は炎にならず,
母は心のままに食べることができた。

三悪道は仏縁を結べない。
転生をすることで,極楽など四聖を目指すことができる。


最初に書きましたが,読み違えていたらすみません。

え?仏教って?
と正直思いましたが,
元々のインドも仏教とは,随分変化したものでしょう。
修羅道は善道だそうですが,どんなものかしら?
また,宗派の違いはないのでしょうか?
では,次,江戸時代になってくると?
と疑問は沸きます。

でも,勉強になったように思います。
長々と失礼しました。





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6 コメント

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本の紹介,ありがとうございます。 (ATSU)
2018-06-27 14:03:03
YAPIさま,
本を探してくださり,また,紹介してくださってありがとうございます。
早速,『集中講義 大乗仏教』(NHK100分de名著ブックス)はネットで注文,『密教の遊歩道』は図書館で予約しました。

「みんなで翻刻」『ぢしんの辨』,見ました。本当だ!確かに陰陽で説明しています。なるほどです。

数冊の本を読んでいる途中なので,ずっと後になると思いますが,必ずブログに書きます。

ところで,『ぢしんの辨』に載っている地図を見ると,やっぱり我が播磨は,嘉永7年の地震で揺れ,津波もあったのだなあ,とも思いました。

地震についてはもう一つのコメントの方に書きます。
ありがとうございました。
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仏教と陰陽五行の本 (YAPI)
2018-06-27 06:44:48
ATSUさま

ご質問のお返事が遅くなりました。昔の本では、地震の原因を陰陽で説明していることが大部分です。
たとえば「みんなで翻刻」STAGE6の『ぢしんの辨』という瓦版に、「およそ 天地の間は陰陽の二気をもつて元とす。このニ気和順なる時は穏やかなり・・・」と地震の原因を説明しています。この「陰陽の二気」というのが分からないと、江戸時代の人々の思想の枠組みが分からないので、分かりやすい本を探しています。

江戸時代以前の人々は、「陰陽」説と「五行」説を現代人の科学のように、自然の根本原理として信じていたようです。「陰陽五行説」とも言いますが、これは陰陽説と五行説が組み合わさったものです。
仏教と儒教もまた、昔の人の考えに染み渡っていたことはご存知の通りです。さて、手ごろな読みやすい本で仏教と陰陽五行の本で探してみました。仏教は上座部仏教(小乗仏教とも)と大乗仏教に分かれていて、片方の見方に偏った本が多いのです。

手ごろな本で分かりやすい仏教の本では、花園大学教授の佐々木閑さんの『集中講義 大乗仏教』(NHK100分de名著ブックス)がオススメです。上座部仏教にも大乗仏教にも中立的な立場で分かりやすく説明されています。お値段も税抜き900円とお手頃です。

陰陽五行説についても分かりやすい本を探したのですが、これは中々見つかりません。まとまった本ではありませんが、宮坂宥洪『密教の遊歩道』(角川書店 1995)の第八章「陰陽五行説についての覚え書き」が割合に分かりやすかったです。著者が真言宗の僧侶の方ですので、説明が密教寄りになっているのを承知の上で読まれると良いかと。この本は図書館で見つかるかと思います。

分かりやすく手ごろな本ほど、よっぽど注意して選ばないとと思って、慎重になってしまいお返事が遅くなってすみません。
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陰陽の易の思想? (ATSU)
2018-05-31 14:13:58
YAPIさま,こんにちは!お久しぶりです。
歴史秘話ヒストリア,見ました。
とても分かりやすく説明されていて,おもしろかったです。「日本人はいいかげん(加減)にいいかげん」ってぴったりですね。
奈良国立博物館と春日大社に行ってみたくなりました。
歴史秘話ヒストリアのホームページから『神道・儒教・仏教 ―江戸思想史のなかの三教』(森 和也 ちくま新書)という参考文献をみつけました。
ぜひ読んでみたいです。

ところで,「安政地震の瓦版を見ていると、地震の原因に陰陽の易の思想で説明していることが多く、易経とか神仏思想や儒教を勉強すると時代背景を知る手がかりになりそうです。」のところ,もう少し教えていただけませんか?いい本があれば,紹介してください。(手ごろな読みやすい本でぜひ)
よろしくお願いします。

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神仏習合の江戸時代 (YAPI)
2018-05-30 23:30:27
お久しぶりです。歴史ヒストリアは途中から見ましたが、結構勉強になりました。神仏習合で神と仏が分かれていなかったんですね。江戸時代は。廃仏毀釈については、海老沢泰久さんの「青い空」という小説が詳しく描いていました。安政地震の瓦版を見ていると、地震の原因に陰陽の易の思想で説明していることが多く、易経とか神仏思想や儒教を勉強すると時代背景を知る手がかりになりそうです。もっと勉強します!
返信する
今日は,歴史秘話ヒストリア!「神と仏のゴチャマゼ千年 謎解き!ニッポンの信仰心」です! (ATSU)
2018-05-30 11:41:59
こんにちは!
雪花さま,いつもありがとうございます。

もともと,私は,人に読んでもらおうという気がなく,
歴史関係のことをまとめるのにちょうどいいかな?と思って書き始め,今日で,1134日・・・のようです。
紙に書くより,後で読み返すのに便利かなあ?と思ったもので。
それが,雪花さんのようにコメントをくださる方ができて,いろんなことを教えてもらえて,勉強になっています。
でも,・・・もしかして,NHKの古文書の先生も読んでいたかもしれないなんて,ビックリです。

さて,今日の歴史秘話ヒストリアは「神と仏のゴチャマゼ千年 謎解き!ニッポンの信仰心」:神仏習合です!
私は神社もお寺も大好きです。
雪花さんの家が神社なのですか?
古文書がいっぱいありそうですね。
私は今,ゆっくりマイペースで,播磨地域の安政地震に関する古文書がどこにあるのかさがしています。
その前に,もっとしっかり古文書が読めるようにならないといけませんね。

ではまたお越しください。

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Unknown (雪花)
2018-05-29 16:42:37
ブログ読みました。うちは神社なので仏教のことはよくわかりませんが、勉強になりました。こういう本に取り組まれるATSUさんすばらしいです。

古文書講座応用コース8回目が戻ってきました。
課題2は解説を読んでもよくわかりませんでした。
もっと勉強しないとと思いました。

そのあなたの声に同じ講座を受講しているかたとブログで知り合いましたと、書きましたら、関西の方のなら私も読んでいますと、書いてありました。添削方でしょうか。
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