信力建理事長
11月25日、中国広州市から、日本を視察し見聞を広めようという10人の一行が来阪し、大阪市福島区のあるレストランで中国に関心を持つ日本人のグループと交流した。これは教育事業で成功した信力建氏が暫く前から行なっている活動で、メディア、法曹界、経済界、大学教授などのリベラルな知識人が参加している。一行は9日間の日程で、観光旅行のようにではなく、各地で直接日本人と会って理解を深めたいというのが趣旨である。
参加者の中に楊恒均(ようこうきん)という、微博(ウェイボー、中国のツイッター)で一千二百万人のフォロウワーがいるという、著名な言論人がいた。彼は、「民主」とは何かを分かりやすく中国人に紹介している。彼がこの日、今中国は大変革の時代にある、残念ながら中国の民主化に日本の力を感じない、と言ったことに私は注目した。
同じことは、来日が五回目になる引率者信氏が「中国が文明化された国になれば、世界が幸せになる。それには日本も責任がある」と述べたことに通じる。このような視点に思い至っていなかった私は、彼らの広い視野と大人ぶりに新鮮な印象を受けた。信氏はまた、中国は世界を知らないし文明国になっていない、本当は世界の秩序の中にとけ込まなければならない、しかしそのような遅れた状態を見てただ困惑し、対抗しようとするのではなく、日本政府は中国にもっと開放的になるべきではないか、と語った。
中国人は保守的で閉鎖的な人が多い、それで中国の人々を世界に連れていくようにしている、と語る信氏はオープンで寛容の人(仏教、儒教の背景も併せ持つ、キリスト教徒)で、大変な篤志家である(一行の旅行、滞在の費用を負担している)。アジアはEUのようにまとまれるのか、今試練に直面している。ただ、遠大な予測としては、ゆくゆくは世界が一つの公民になってゆくと思う、と楽観的な見方(哲学)を披露した。
この会の途中で、微博から中国で人が裁判をへないで「労働教育(中国語では教養)」の場に拘留される制度が廃止されることになったというニュースが発表され、拍手が起こった。最近閉幕された三中全会についても楽観的に考えればよい、改革は前進していく、という見方が述べられた。
なお、この交流会は大阪在住の劉燕子女史の人脈と準備・連絡により実現したものである。
[付記]
中国における民間の力 現在中国で影響力を持ち始めている民間の力は、民営企業家と新しいオピニオン・リーダーたちが担っている。民営企業は2012年に967万企業、従業員1億人以上に達している。近年、GDP増加分の8割、全体の6割を占めるに至っている。最も活力に満ちた経済成長力の原動力となっている。信力建氏はそのひとり)。
公共性の高い社会問題に関して積極的に発言するなど、現代中国で最大の民間パワーとして民営企業は、新しいメディア「微博[ウェイボー]」と並ぶ双璧と見做されている。(主宰した劉燕子の解説より)
| Trackback ( 0 )
|
彼らのスタンスはと言えば、世界を自分の目で見て見聞を広めようとする目的で来ており、構成メンバーはいずれもリベラルな知識人で、中国が民主化され文明化されるよう(変わっていくよう)尽力しているオピニオンリーダーたちと言えます。日本に学ぼうとし(謙遜、友好的)、今の日中関係を憂いて民間レベルの交流で少しでも打開していきたいと望んでいることが、言葉や態度から感じられました。
彼らの存在・運動が民間セクターとして力を持ち始めていて、中国の変革、両国間係の改善に影響を与えていくよう私も期待しています。また、我々の側もメディアが伝えることや世論の流れを越えた状況把握と理解に努める必要があると思っています。