![](https://blogimg.goo.ne.jp/thumbnail/73/aa/bf06b7dd5d8d5555e804e9e1c88ff1a9_s.jpg)
5月21日、BYUウィンドシンフォニーの大阪公演(大阪国際交流センター)を聴いた関西の知人が、感想と批評(専門的)を書いていたので、許可を得てここに転載させていただくことにした。(以下転載)
「演奏される曲目は、当日リストの中から司会者が順次明かにするという変った趣向でした。末尾に演奏順の曲名と作曲者/編曲者名をプログラムから転記しますが、おそらく皆さんはアンコール1曲目のThe Stars and Stripes Forever(星条旗よ永遠なれ) 以外、ほとんどご存じないと思います。ポップスやクラシックなどをアレンジしたものはDance of the Jestersだけで、あとは吹奏楽のオリジナル曲でした。
吹奏楽と言っても、形態は様々です。ご承知のとおり、もともとは軍楽隊が行進のために演奏したり、ファンファーレを吹いたりすることから始まったのですが、今ではこれはマーチングバンドと呼ばれています。そして演奏しながら様々なフォーメーションを展開するドリルを行うバンドもあります。また、大学の吹奏楽団は、これも元々は応援団に属していて、体育会系のクラブの試合の応援をやっていたのですが、大分以前から、オーケストラのようにステージに並んで、高い芸術性を追求する演奏が主流になってきました。要するに、オーケストラ=管弦楽団から弦楽器だけがない編成で演奏するスタイルです。これをマーチングバンドと区別するために、名称をWind Symphonyとする楽団も多くなっています。もちろん、どちらの形態でも優れた演奏ができるバンドもあります。BYUのWind Symphonyとは、そういう意味と理解しています。
全般的な印象。特徴は“圧倒的カリフォルニア・サウンド”、”明るくパワフル、アップテンポ”です。別にカリフォルニアは関係ないのですが、明るく素直で、ノリのいいサウンドを指して、昔そういう言葉があったと思います。吹奏楽団の代表的なサウンドの種類としては、私の独断ですが、1つがイギリスのロイヤルマリンズバンドで、いぶし銀のような渋いまろやかなサウンド、2つがフランスのギャルド・リピュブリケーヌで、明るくおしゃれなサウンド、3つがアメリカのイーストマン・ウィンドアンサンブルで、明るくパワフルなサウンドです。やはりBYUはアメリカの楽団、それもイーストマンの上を行くパワフルさを感じました。
メンバーの演奏は、全員とてもハイレベルでプロ級と言っても良いと思います。さらに加えて、優秀なソロ奏者を擁しています。日本の高校や大学の演奏はたまに聴く機会がありますが、それらと比べて、やっぱりアメリカの学生吹奏楽のレベルは高いという印象です。BYUが飛びぬけて高いのかも知れませんが、ハイスクールでもバンドが非常に盛んと聞いているので、大学でも優秀な奏者がたくさん集まるのだと思います。日本の学生の吹奏楽もかなりのレベルだと思いますが、特にパワフルさでは足元に及びません。
パートでは、ホルンが特筆でしょう。大体どの楽団でもアマチュアの場合、ホルンが穴になることが多いですが、ミスもなく、この日は特に2曲のOvertureで、曲に素晴らしい広がりを醸していました。冒頭、Overtureから、圧倒的な明るくパワフルなサウンドで始まり、大半の曲はこれがベースで、このまま最後まで突っ走るのか、静かな曲はないのかと思いましたが、後半の2曲目にクワイヤが入る曲がでてきました。吹奏楽では時々口笛やハミング、掛け声をメンバーに要求されることはありましたが、きちんとしたコーラスは初めて聴きました。このAdoram us te, Christeはとても感動的でした。楽器のソロも、アップテンポな曲がかなり多かったと思います。非常に高いテクニックを持った奏者なので、早いパッセージが十分こなせるのは分かりますが、素晴らしい音色も持っているのに、個人的にはもう少し音色にゆっくり浸れる選曲が欲しかった、と思うのは国民性の違いでしょうか。
アンコールの星条旗では、聴衆も手拍子で会場が一体となって盛り上がりました。そしてアンコール2曲目、楽器は登場せず、全員が聖歌隊となって見事な演奏が行われました。透き通ったアカペラの和音。彼らが素晴らしい耳を持っている証拠でしょう。コーラスが専門のメンバーではないだけに、余計美しく聞こえました。エンディングにふさわしい、演奏者も聴衆も一体となった感動的な霊的空間を創りあげてくれました。BYUウィンドシンフォニーのメンバーの皆さん、指揮者、BYU関係者の方々に感謝します。」(以上転載)
プログラム
-前半-
American Overture for Band [Joseph Wilcox Jenkins]
Arirang and Akatonbo [Chang Su Koh]
The Melody Shop[Karl King]
Guisg and erie [Faustinet Maurice Jeanjean/Carl S. Hammer]
Congodel Fuego Nuevo [Arturo Marquez/Oliver Nickel]
The Cowboys Overture[John Williams]
-後半-
Pineapple Poll [Arther Sullivan/Chrles Mackerras]
Adoram us te, Christe [Quirino Gasparini/Timothy Mahr]
Fantastic Polka[Arthur Pryor/Andrew Glover]
Saxophobia[Rudy Wiedoeft]
A Song for Japan
Symphony No.3 The Tragic §4[James Barnes]
Dance of the Jesters[Peter Tchaikovsky/Ray Cramer]
-アンコール-
The Stars and Stripes Forever [John Philip Sousa]
Choir
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます