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charity の訳語「慈愛」について [所感]

2016-01-04 22:23:18 | モルモン教関連
[caritas は agape のラテン語訳]

末日聖徒イエス・キリスト教会では、聖書(KJV)やモルモン書(モロナイ7:1など)に出てくる charity という語を「慈愛」と翻訳しているので、頻繁に耳にする。私の語感から言っても、辞書の記載から言ってもそれほど問題ないのであるが、少し気になっていたので多少調べてみた。

漢字の「慈」は「いつくしみ愛すること、なさけ、仁愛、柔らか、善い」などの意味がある。「愛」と熟語になっても、同様の意味が固定される。しかし、「いつくしみかわゆがること」(大字典)と言う意味も見出される。また、別の辞典によれば、「慈しむ」には「目下の者や弱い者に愛情を注ぐ」「かわいがって大事にする」と言う意味があることが分かる。(小学館、大辞泉)。

それから派生して、年上や何らかの力を持ったものが、年下のものや何かの点で力の劣ったものに対して抱く気持ちが込められている、と受け取られる可能性が出てくる。

そうであれば、単に「愛」「愛する」の方が問題がないことになる。ちなみに、KJVにcharity とある[コリント前13章、ヨハネ15:12, 13] のは、ギリシャ語アガペー → ラテン語聖書caritas を継いだものである。本来「神の愛」という高次元の術語であったが、charity がもっぱら「慈善」を指すようになったため、近現代の英語聖書では単に ‘love’ と訳出されている。

従って語義の変わってしまった charity やその翻訳としての「慈愛」に固執するのは、私にとっては幾分の違和感を否めない。単に「愛」で問題はないと思う。そこに高次元の愛を背後に感じながら読めばよいのである。

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2 コメント

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Unknown (教会員R)
2016-01-05 06:42:11
今年もよろしくお願いします。 聖書に使用されているギリシャ語の原文がアガペーであれば、日本語は「愛」でも構わないかも知れません。

ただし言葉は生き物ですから注意しないと厄介ですね。 また組織内でも一般語を使用しながら特殊な意味に摩り替わっている(LDSの完全、永遠のように)場合もあって一般人の誤解を産むなどしてややこしい問題が発生する。

カトリックさんはともかく、プロテスタントの教会では、「神の愛」とは「イエスキリスト本人」あるいは「キリストの贖罪」そのものを指すと聞いて驚いたことがあります。


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申年 ()
2016-01-05 09:09:48
申年と 言えども去らぬ 邪魔な豚

今年もお邪魔します。

チャリティーは日本語では「慈善」だと思います。

「慈善」と「慈愛」はちょっと違うような気がします。

個人的な語感としてですが、「愛」は直接的で、感情的、「善」は客観的で、理性的。
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