[Prophetic dream も事後預言として挿入される Thomas Moulson]
モルモン書に現われる事後預言(vaticinium ex eventu) については、すでにこのブログで触れたが (2015.10.07, IN10:4, 17について)、 モーサヤ3章8-10節にも出てくるので取り上げたい。ここでベニヤミン王は天使から知らされたこととして、救い主の名前がイエス・キリストと呼ばれ、その母がマリヤと呼ばれること、十字架につけられ三日目によみがえると民に語っている。
モルモン書 (1981年版) によれば、この預言は紀元前124年頃に書かれたと考えられる。ただ、考えて見ればモルモン教徒も認めているように、モルモン書は要約者モルモンと翻訳者ジョセフ・スミスの二人によって二度編集の手を経ている。
モルモン書について厳密な分析を試みたアール・M・ワンダーリは、モルモン書に記された預言についてその四分の一がモルモン書の文中で後に起こることを予言しており、40%がジョセフ・スミスが口述筆記するまでに起こった出来事に関して述べており、残り三分の一の大部分は世の終わりや伝統的なキリスト教終末論に依存した内容となっている。
そして、事後預言に特徴的な点は、記述が詳細で、そこに条件が課されることがないことである。例えば、第一ニーファイ10章では、救い主に先行して一人の預言者が登場し道を備えること、その人にとって後で来る方の履物のひもをとく値打ちもない、など具体的に詳細が語られる。無条件というのは、戒めを守ればこの地で栄える、などのような条件が課されないことを指している。
聖書では、申命記史家(申命記、ヨシュア記、士師記、サムエル記上下、列王記上下などの文書を編纂したと見なされている歴史家)による北王国の滅亡、イザヤ書(40章以降、第二イザヤとされる部分)に見えるバビロン捕囚の預言は事後預言と考えられる。関根正雄は「起こった後で同じことを預言の形で述べるもの」を事後預言と言うと説明している。また、新約ではエルサレムやその神殿の破壊についての預言が、新約聖書の生成時期を2世紀以降と見れば、事後預言ということになる。ダニエル書、黙示録など黙示文学にも、現に直面している苦境や迫害を予言の形で記述することがあるので事後預言的な要素があると考えられる。
参考
Earl M. Wunderli, “An Imperfect Book: What the Book of Mormon tells us about itself,” Signature Books, 2013
関根正雄「エゼキエル書」岩波文庫、1963年、p. 164.
2.全く関係の無い文書を引き合いに出して、これは後の出来事を予言しているのだと言うこじつけ解釈型。
モルモン書は1で、旧約と新約聖書の関係は2ですね。
期待に違わぬ興味深い記事ですね。
末日聖徒は比較的新しい宗教で直感解釈(でしたっけ?)のメンバーが多く、かつ新しい宗教心をもつメンバーに配慮しなければならないのは教会にとって苦労の多いことだと思います。
福音のテーマの論文にもどちらの立場の人が読んでも信仰が維持できやすいように書かれていると思います。
教会員Rさんも理解者。わたしはどっちつかづですが^^;
http://blog.goo.ne.jp/numano_2004/e/bcabaa1a1d488df0a6538f5566fbbdc9/?st=1
webさん紹介のLDS Church is True Blog
でも紹介されブッシュマンさんもこれを受け入れつつ信仰を維持する教会員がいることを好意的に思っているようですね。
いろいろあります。
>しなければならないのは教会にとって苦労
>の多いことだと思います。
苦労が多いのは教会員のほう。
教義はコロコロ変わるのに、教会には永遠に変わらない真理があると信じなければならない。使い道は知らされないのに収入の10%納めないといけない。古い教会員からは言うこときかないと背教だぞと脅されるらしいし、毒麦のような会員もいるらしい。おまけに信頼していた指導者の教えは単なる個人的見解に過ぎないのだと!
こんな教会、やめていかない人がいる方が不思議。
日本だけでなく世界でも宗教は減少傾向にあるようですね。
モルモンもwebさんの情報によると5万人も辞めたとか、他の宗教もかなり減少しているようです。
モルモンは近年では少ないながら昨年25万人の改宗者を得ましたが、実はこれ過去最高の宣教師を投入してのこと。
不思議でもなんでもない。モルモンは理の当然の宗教だと思います。
1980年を知っている世代には冷笑しか出ないけど。
教会幹部とかベスト尽くしてがんばってるんでしょうけどねぇぇ・・・指導者は無報酬の奉仕だと教えますが、中央幹部は、年収1600万円(1ドル百円換算)・七十人第一定員会・2006年の例がネットにはあるなぁぁ・・・まぁ、世の中、豊かな所豊かになって、富の偏在とかは避けられないんでしょうかね・・・
http://www.churchistrue.com/blog/lds-membership-statistics-april-2016/
一番下の棒グラフ
ここんとこ、黒人が神に呪われた結果という説の否定。ジョセフスミスが少なくても40人も奥さんがいたという発表。聖見者の石の公開とモルモン書の翻訳スタイルの説明の大幅変更。きわめつけが同性愛者の子のバプテスマは成人まで待てという指示と、何名もの破門と矢継ぎ早にショックがきましたからね。
イエスの信者たちが伝道の最終局面で急激に減ったように、幻想の部分は幻想でしかないと理解されるにつれて、辞める人が5万人も出たのもしょうがないのかも知れません。
教会が「真実」と教えていたことを、教会が「幻想」だったと認めたのよ。
ここんところ重要だから勘違いしないでね。
はい、そのように理解しています。
25万人-5万人=20万人
故ヒンクレー管長も教会は偉大な教会に成長しましたと言いつつも、多くの友を失いましたが、それ以上に多くの友を得ました。的なことを説教しています。