日本のLDS会員は、末日聖典合本の巻末にある「聖句ガイド」に福音や聖典に関する答えや説明を求めることが多い。(実際は聖句ガイドの中の「項目リスト」のことを指している)。
系譜から言えば、1985年米本部で出版された聖書(英文)の「項目別ガイド」(Topical Guide) - - 項目別にまとめたコンコーダンス[ 語句の説明はない] - - を継ぐもので、それに数行の短い説明が加わっている。しかし、本質的にはコンコーダンス[語句索引]である。
上記1985年の末日聖徒版聖書(英文)は、以前用いていた英国ケンブリッジ大学出版から出されていた聖書(末日聖徒用に製本、配布された)を新たに末日聖徒版の装いで出したものである。ケンブリッジ版には聖書辞典の要約版とコンコーダンスがついていた。’85年のLDS版聖書は、重要項目に絞ったコンコーダンスとLDS版に改訂した聖書辞典、JST訳一部を載せている。(私は1965年にケンブリッジ版聖書を東京の伝道本部から購入し、現在も使用している。)
そして、日本語の末日聖典合本(1995, 2005年) は、聖書辞典を割愛し「項目別ガイド」(Topical Guide) を継ぐ形で、短い説明を加えた「項目リスト」を置いている。これは先行する英文聖書2種の聖書辞典とは程遠いものに終っている。しかし、一部兼ねさせようとする試みも見られる。例、「神殿」、「福音書対観表」、「ヘブライ語」などはやや長い説明となっている。
コンコーダンスを主体とした「項目リスト」は、挙げられた聖句を実際に参照して、文脈に添った意味をくみ取るよう意図されたものである。数行に凝縮された解説は、便利で手っ取り速いけれども意を尽くせなかったり、言葉足らずになっている可能性がある。
[付記]
[画像は研究者向けケンブリッジ聖書] ケンブリッジ版聖書の聖書辞典と’85年LDS版聖書の聖書辞典を比較してみたところ、LDS版は末日聖徒用に改訂されているが、用いられている文章も内容提示も多くがケンブ リッジ版を借用していることが分かった。アベル、エルサレム、アロンなど、90%、あるいはほぼ全体が同文である。デカポリス、ヨナタンなどは全く同一であった。詩篇は分量が約半分に短縮されているが、内容はほぼ踏襲されている。
これで感じたことは、外部のしっかりした、権威ある解説書を活用しても、聖書を理解する上で何ら問題はないということである。
そして聖句ガイド上で、ねたみが罪であるという断定的な説明と、「私はねたむ神である」という聖句が同時に紹介されていたりしますので、もう少し親切な説明が欲しいと思うところです。
関東では軒並み40℃越え!!
暑中お見舞い申し上げます。
いつもながら貴重な研究。目から鱗です。
そういえば聖句ガイドの意義ってなんだろうと考えさせられました。
https://www.lds.org/scriptures/gs/introduction.html?lang=jpn
『聖句ガイド』は,『聖書』や『モルモン書』,『教義と聖約』,『高価な真珠』にある教義や原則,人物,地名の中から主要なものを選んで,その意味を解説したものである。また,各項目について学習ができるように,聖句のおもな参照箇所も付記した。この『聖句ガイド』は,個人や家族による聖典の学習に役立てることができる。
ーーー
最近は聖典の参照もスマホやタブレットが多くなりましたね。
聖句ガイドだけでなくネットの参照も簡便になりました。
それだけに、わかったような気になり聖典本文をゆっくり味わって読むことが少なくなった気がします。反省。