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「霊」(spirit)と「魂・霊魂」(soul)について

2018-10-25 10:10:51 | キリスト教

 この二語は大変似ているが、それでいて異なった概念で用いられることがあり、しばしばとらえ難い。旧約聖書(ヘブライ語)、新約聖書(ギリシア語)、英語、日本語にまたがって翻訳され、また訳された言語、例えば日本語に元の意味も残っているからである。

ここではキリスト教徒の概念にそって、簡略化して図解してみたいと思う。

1 「霊」(spirit)

旧約聖書 創世 1:2 「神のが水のおもてをおおっていた。」

    the Spirit of God moved upon the face of the waters.

        ヘブライ語 רוּחַ ルーアフ (息、空気、風、霊、魂、命、心、知性などの意)

    (ヘブライ語聖書) ↓ 

              ↓ 

    ギリシャ語 πνεῦμα プネウマ (風、息、人の見えない非物質的部分、聖霊など)

    (七十人訳)    ↓

              ↓

        英語、日本語 spirit,  霊 

 

2  「魂・霊魂」(soul)

旧約聖書 創世 2:7 「主なる神は・・命の息を吹き入れられた。

そこで人は生きたとなった。」

The Lord God breathed into him the breath of life,

and the man became a living soul.

ヘブライ語 נֶ֫פֶשׁ ネフェシュ (息、命、息・命を与えられた霊、魂、心など)

(ヘブライ語聖書)↓

                         ↓

ギリシャ語 Ψυχή プシュケー (息、命の息、魂[soul]、個性を持つ存在など) 

(七十人訳)    ↓

            ↓   

英語、日本語 soul, 者、人   

 

1と2のヘブライ語ルーアフ、ネフェシュ、ギリシャ語のプネウマ、プシュケーには元来「息、風、霊」などの意味が基層にあって、かなり同義が共有されている。しかし、創世2:7の表現などから、敢えて違いに目をとめれば、「霊に命が与えられて地上を生きる者(存在)となった」、「霊という(普通は)見えないものに息(命)が与えられて、次の段階の存在者となった」ということだろうか。

 

3  英語圏・キリスト教文化における理解

 ネットの画像ページに便利な図解があったので借用させていただきたいと思う。

  

 上の同心円で中心に「霊」、その外側に「魂、霊魂」と訳してみた soul がきている。一番外側に肉体(or からだ)が置かれている。「霊」は「人の内奥にある核」で「神を感じる部分」、「魂・霊魂」は「心(知性)、意思、感情」を持ち、body は外側の物質的器(うつわ)としている。次の2つの図も参考になるので添えた。(二番目の人を描いた図では soul が中心になっているが、頭脳に霊、心(臓)に soul を配しているのに共感を覚えた。)

そして、ジョセフ・スミスはさらに「霊」を構成する要素として「インテリジェンス」が先在したという概念を啓示によって導入した。

 

 

参考:

・Hebrew Publishing Co., “Book of Torah, Nabiim and Ketubim”

・Lancelot C.L. Brenton, “The Septuaginta” 1980

・Benjamin Davies ed., “A Compendious and Complete HEBREW AND CHALDEE LEXICON to the Old Testament” 1957

・W.E.Vine, “Expository Dictionary of New Testament Words” 1982  



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3 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
難しいですね。 (落伍者)
2018-10-26 12:37:27
 これは大変難しい概念です。
見えないものは捉えにくいですね。
 そもそも命とはなんぞやということで、人間を活かしている力はどこにあるのでしょう。
 霊の中に備わっている力なのか、魂の中に含まれているのか?
死んでみないとわからないことなのでしょうね。

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日本語的解釈 ()
2018-10-26 13:45:37
「魂」は「鬼」って字が入ってまして、「鬼」は本来、生物の死後肉体から離れる目に見えないもの、みたいな意味らしい。

ですから、魂と肉体はワンセット。

「霊」は「雨」の下に「巫」(巫女)雨は「天」に通じていて、天から降りて来るもの、ま、神由来のものかな?


私の大胆な(どこがやねん)仮説によると。

神により創られ、天から降りてきた「霊」が物質と合体し生物の中に存在する「魂」となる。

神は、霊を肉体の中に閉じ込めて、その生命を「無限」のものから、「有限」のものにした。

それは、限りあるからこそ知ることのできる、命の尊さを知るため。


しかしながら、どうも最近は有限の生命の大切さを理解しない人たちが増えてしまったようで、困ったもんですな~

NJさんも、有限の命をこめて、「大阪弁講座」頑張ってください。
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日本語的解釈 歓迎 (NJ)
2018-10-26 23:29:46
豚さんがしばしば見せる正確にして、大胆な分析(と描写)のひとつですね。コメントありがとうございます。

はい、有限の命をつくづく感じるこの頃です。
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