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<経産大臣指定伝統的工芸品> 新潟 新潟漆器

2021-03-24 07:19:22 | 経済産業大臣指定伝統的工芸品

 「新潟漆器」

 Description / 特徴・産地

 新潟漆器とは?

 新潟漆器(にいがたしっき)は、新潟県新潟市周辺で作られている漆器です。
 新潟漆器の特徴は、「花塗」「石目塗」「錦塗」「磯草塗」「竹塗」などさまざまな塗りの技法があり、多種多様な作風を楽しめることです。
 「花塗」は、文様をつけないシンプルな美しさと光沢が魅力の技法です。「石目塗」は、石が持つざらざらした肌合いを表現しており、塗膜が硬く表面にキズがつきにくくなっています。「錦塗」は、麻ひもを束ねたタンポで色漆を重ね塗りし、そのあとに表面を研ぐことで現れる各漆層の不規則なまだら文様が特徴です。「磯草塗」も「錦塗」と同様に色漆を重ね塗りますが、板状のタンポを回転させるように漆を塗ることで、海草が波間でゆらゆら揺れているような文様を表現しています。「竹塗」は、竹の節や筋、煤けた感じなどを漆で表現した技法で、新潟漆器を代表する塗りです。
 そのほかにも、金磨塗(きんまぬり)、青銅塗(せいどうぬり)、青貝塗(あおかいぬり)、呂色塗(ろいろぬり)、紫檀塗(したんぬり)などの伝統的な技法、さらには新作塗りの「夕日塗」といった、さまざまな漆器を楽しむことができます。

 History / 歴史
 新潟漆器 - 歴史

 古くから物資の交易地だった新潟市は、海や陸から各地の文化が入ってくる土地であり、漆塗りの技術もそんな文化の一つです。
 新潟漆器の歴史は、江戸時代初期の1615年~1624年(元和年間)に秋田の「春慶塗(しゅんけいぬり)」が伝えられたことが始まりとされています。当時は盆や膳などの日用品作りが中心でした。
 1638年(寛永15年)に「椀店(わんだな)」という塗り物の専売地域が定められ、漆器づくりは保護されます。1764年~1771年(明和年間)に蒔絵(まきえ)の技法が伝わり、19世紀初「磯草塗」や「金磨塗」など新潟独自の塗りの技法が生まれました。
 新潟は北前船の寄港地であったことから、江戸・大坂をはじめとして日本各地に販路が広がり、江戸時代末期には新潟は日本有数の漆器の生産地となっていきます。そして、明治時代中期に「竹塗」の技法が伝えられ、新潟漆器を代表する技法の一つとなりました。
 新潟漆器の特徴である多彩な塗りは、いろいろな地方の技術を吸収し、さらに発展させた新潟の人々の努力の賜物です。

*https://kogeijapan.com/locale/ja_JP/niigatashikki/ より

 多彩な技法から生まれる豊かな表現力?新潟漆器
 本物の竹や石と見紛うばかりの質感、暗い水中で揺らぐ海藻の様子、見るものを幻惑する緻密な虫喰い模様、しっとりとした肌合いの表面に降り立つ柔らかな光。
 漆はその塗り方によって実に様々な表情を見せる。新潟では、江戸時代から多彩な技法を駆使した個性豊かな漆器が作り続けられている。
 漆器づくりの面白さに惹きつけられ職人となって5年目、期待の若手職人として活躍中の井村篤史さんにお話をうかがった。

 
 質感までもを表現する塗りの技
 井村さんが得意とするのは「竹塗」。「新潟漆器」を代表する技法のひとつだ。よく製作するという竹塗の箸を手にすると、その精巧な質感の再現に驚かされる。節や肌合いは竹そのものだが、形は角箸ならではのすらりと伸びた四角錐。竹では有り得ないはずの形のものが、竹の質感を持って存在する。その不思議さに思わず見入ってしまう。
 筋や節目など竹独特の質感は塗りの技法によって表現される。素材は栃や朴などの木地。そこに、下地用のぺーストを盛り付けて節や筋を作る。飴色が趣深い「煤竹」や爽やかな緑が清々しい「青竹」、そして斑点が面白みを生む「胡麻竹」などさまざまな竹の色合いは、調色した漆を丹念に塗り重ねて表現する。木地が竹に姿を変えていく光景は魔法のようで、見ているだけで胸が踊る。
 竹の風合があまりにリアルに表現されるため、漆で作られていることに気付かない人も多い。また、なぜ竹そのものを使わないのかと言う人もいる。「竹塗」は単なる再現の技ではない。実物では得ることのできない理想の竹の姿を創り出す技なのだ。


 変塗(かわりぬり)の宝庫
 「竹塗」をはじめとして新潟漆器には様々な塗の種類がある。石のような質感を持った「石目塗」や波に揺れる海藻を思わせる「磯草塗」、不定形の緻密な文様が金色に煌めく「錦塗」、滑らかな表面が落ち着いた光沢を湛える「花塗」、その他にも新潟漆器には優に百を超える技法がある。表現力豊かなこれらの塗は「変塗」と総称される。多彩な技法から様々な製品が創り出される新潟漆器は「変塗の宝庫」と呼ばれている。
 新潟漆器の中には日本各地の漆器の技法を見ることができるという。江戸時代、新潟は諸国の物産を乗せて廻る船が集まる海運の拠点だった。物資や文化と共に新潟には全国各地の漆器がもたらされた。それらをもとに新潟の職人たちは独自の技法や表現を生みだし、個性豊かな漆器を作り出したのだ。
 現在でも新潟の職人たちは、昔からの長い歴史と伝統に支えられた技を守る一方で、先人たちと同様に日々技法に工夫を重ねながら作品を作り続けている。

 組み合わせで広がる漆の表現
 新潟漆器では異なる種類の塗を併用した作品を見かけることが多い。こうした塗を井村さんは「合わせ塗」と呼ぶ。どんな塗を組み合わせるかは職人の感性と技術次第。そこに作り手にとっての面白さや楽しさ、そして難しさがある。
 「塗りの組み合わせを考える時が一番楽しい」と井村さんは目を輝かせる。彼が塗の組み合わせを考える時、中心となるのは「竹塗」だ。「竹塗」に他の塗を合わせることで様々な表現が生まれる。それが面白いのだという。そんな「合わせ塗」の面白さが、漆器職人への道を歩ませた。最初は単なる手伝いのつもりだった。それがいつしか本業となった。「面白さにハマったんですね」と井村さんは爽やかな笑顔をみせる。


 伝統の技法を現代的なデザインに活かす
 井村さんは、自分自身が作り手になるまで、他の一般的な若者と同様あまり漆器に関心をもっていなかったという。だからこそ、若者の目線で「普段に使いたいと思うような漆器」を作ることを意識している。漆器の仕事を始めたばかりの頃には、今風な色使いの作品を作ったこともあった。しかし、自分の作った今風の作品よりも、40年以上職人をしている父親が作った伝統的な技法の作品の方がお客さんの反応が良かった。「意識しすぎて漆っぽさがなくなっていたんですね」と当時の作品を振り返る。
 以前は「親父は伝統、自分は若い人向き」と無意識のうちに分けて考えていたという。職人となって5年、父親の勝さんと共に仕事をしているうちに、最近は考え方が変ってきた。勝さんの手から生まれる作品には漆ならではの魅力が満ちている。その魅力の源は伝統の技法と職人の技だ。技は一朝一夕で身につけられるものではない。あらためて父の仕事に感心したという。
 「伝統の技法を使って、漆の魅力を活かした今風のものを作ること」それが現在の井村さんの目標だ。


 職人プロフィール

 井村篤史 (いむらあつし)

 昭和49年、新潟生まれ
 会社勤めを経験した後、父親である漆器職人井村勝さんの仕事の手伝いを始める。その後、本格的に職人の道へ。同じ仕事をするようになってからは、勝さんとは職人同士として話が弾むようになったという。作品づくりのかたわらにイベントや展示会での実演など「新潟漆器」の広報活動でも活躍中。新潟市漆器同業組合が市民向けに開講した「漆の講座」では、実技アシスタントとして参加。明るい人柄で漆器づくりの楽しさを伝えている。

 こぼれ話

 ヌリドン参上

 新潟漆器には、その魅力を広く伝えるべく誕生したキャラクターがいる。その名は「ヌリドン」。ヌリドンは、新潟漆器の広報担当として、東西南北、日本中のあらゆるところに出かけていき、時には実演までしてしまう。地元、新潟では、すでに小学生の間では人気者だ。実は、このヌリドン、モデルはインタビューに登場した井村さんだという。

 ■名前:ヌリドン(ぬりどん)
 ■生年月日:不詳
 ■職業:新潟漆器の職人及び広報担当
 ■住所:新潟県
 ■性格:温和・勤勉・頑固(一度思いこんだらてこでも動かない)・一見無愛想だが親切・義理堅い・意外と新物好き
 ■ライフワーク:新潟漆器の特徴を分かり易くみんなに理解してもらうことと、新しい新潟漆器の可能性を模索しつつ、生活の中に浸透させていくこと。

*https://kougeihin.jp/craft/0510/ より


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