「具だくさん味噌汁」
主な伝承地域 県内全域(特に長野市周辺、松本市)
主な使用食材 旬のもの(冬の例:小麦粉、じゃがいも、大根、人参、ごぼう、ちくわ、ねぎ)
歴史・由来・関連行事
「具だくさん味噌汁」は、旬の野菜、肉、魚などがたくさん入った具だくさんの汁物のこと。「味噌は医者いらず」といわれるほど栄養豊富で、1日1杯のみそ汁は、今と変わらず昔も1日の活力源だった。大根、人参、里芋、ねぎ、油揚げなどをいれて、具だくさんにすることでお腹も満たされ、野菜の栄養を効率よくとることができる。小麦がとれる地域では、以前から「すいとん」もよく食べられている。小麦粉の生地をひっぱってちぎることから、長野市・須坂市周辺ではすいとんのことを「ひんのべ・とっちゃなげ」とも呼ばれている。粉のこね方や硬さ・形もさまざまで、人それぞれのこだわりがある。また、よもぎやかぼちゃなどのペーストを練りこむとハイカラ料理になる。長野県で気を付けていることは旬の野菜や食材が基本であり、何を入れても良いということではない。冬の旬は根のもの(大根・ごぼう・人参・じゃがいもなど)。
最近は、具だくさんみそ汁がさまざまな健康効果が期待できると注目されている。その中のひとつに「減塩」があり、一般的な味噌汁では、1杯あたりの味噌の量は12g、食塩量は1.5gとなるが、具だくさんみそ汁にすると具材のうま味が加わるため味噌の量は10g、汁の量も減り食塩量は1.2gまで減らすことができる。また、リコピン、ポリフェノール、イソフラボンなどのファイトケミカルを大量にとるのには、具だくさんみそ汁は最適だといわれており、健康長寿者が多いといわれる長野県では、その秘訣は「具だくさんみそ汁」にもあると考えられている。
食習の機会や時季
日常食として食べられている。特に冬の寒い日は、体の中から温まる汁ものとしてよくつくられ、すいとんは主食の代わりとしても食べられている。
飲食方法
根菜、きのこ、肉、魚、いろいろな具を入れることでバランスがとれる。具だくさんにすることで、野菜をたくさん食べることができ、お椀一杯で主菜・副菜・副副菜がとれている。
保存・継承の取組(伝承者の概要、保存会、SNSの活用、商品化等現代的な取組等について)
今も各家庭でつくられている。最近は、フリーズドライの味噌汁などが販売されており、手軽に食べることができる。松本市では、2019年から栄養バランスを意識した食生活を推進するための「具だくさんみそ汁運動」が実施されている。長野市周辺の北信地域では「自家用信州味噌づくりを守る運動」が静かなブームで広がっている。発酵食品の代表格は味噌、信州の味噌生産量は全国の4割以上。消費量も全国一位で、昔から「米と味噌さえあれば生きていける」といって味噌を大事にしてきた。信州では味噌についてのことわざは15を超える。代表的なことわざは、(ア)味噌汁の具は箸の転ばないほどいれろ、(イ)味噌汁一杯三里の力、(ウ)味噌を買う家は蔵が建たない、(エ)味噌の味が変わると凶事が起きる、(オ)焼いた味噌は殿様の味、(カ)味噌汁は煮えばながうまいなど、ことわざを通して子供たちに和食を伝承する活動が広がっている。
*https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/search_menu/menu/gu_dakusan_miso_shiru_nagano.html より
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