田舎住まい

吸血鬼テーマーの怪奇伝記小説を書いています。

魔闘学園/吸血鬼浜辺の少女外伝 麻屋与志夫

2008-09-05 21:34:19 | Weblog
 制止が間に合わなかった。
 タカコが教室に飛び出していく。
「あれ!」
「そう、おれだ。首筋噛むのをわすれていたからな」
 モニターに映っていた。
 Aタイプだ。
「よくも、あたしをだましたわね。金もらってないよ。こっちはチャラにしたわけじゃないからね」
「それにしてても、三津夫の声をまねるとはな。よくしらべているんだ」
「おれたちは、コンピュターを使えないとおもっていたのか」
 教室の椅子と机がずずっと四隅になだれた。
「闘いかたを学べ」
「なにいってるんだよ。オッチャン」
「ここは教室だ。学べ」
 Aタイプ。        
 Bタイプのようには、ハデニ実体をみせない。
 すぐには、メタモルフオゼしない。
 人にまじって、化けたままで生きている。
 だが彼らは人間ではない。
 したたかなヤツ。              
「おまえには、会っている。おれたちの意識は通底しているのだ。ひとりの固体としての体験はおれたちみんなの共有の体験となって記憶されている」
「厚木基地で会った傭兵Aか」
「おう、あのときの若者か。老いたな」
「人間だからな」
「いまからでも、遅くはないぞ。不老のボデイにかえてやろうか」
「ことわる」
「噛んでやろうか」
 牙がおそってきた。
 首筋をねらってくる。
 鈎爪がおそってくる。
 麻屋の胸のウイスキー入れをひっかいた。
 金属音がした。    
「おれとの遭遇を思いだし、あれから酒浸りの生活かよ」
「そう思うか。ここには吸血鬼バリヤをはった。はいってこられるのか」
「バレていたのか」
 Aが煙となる。
 消えた。
「ホログラフみたいなものだ。アサヤ塾の敷地にはいまのところは入ってこられないようだ。結界を張り巡らしてあるからな」
「なんだか、いまごろになってふるえてきたよ。どうしょうオッチャン」
「どうもこうもない。ビビルナ。恐怖はやっらの餌になる」
 Aが消えた。
 教室は静かだ。
 時計の音だけがしていた。
 吸血鬼の侵攻。
 いまのところは、局地戦だ。
 吸血鬼の存在をいちはやくキャッチする能力のあるものが攻められている。
 わたしが吸血鬼を呼んでいるのかもしれない。
 麻屋はそう思って、自分を責めた。
 わたしたちの街は吸血鬼に攻めこまれている。                  
 吸血鬼はこの町をfarmにする気だ。
 学生が日夜Hな妄想に襲われている。
 吸血鬼が身近にいる証拠なのだ。

 気配に満ちみちている。
「どうして、それに気づいてくれないのだ」

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魔闘学園  麻屋与志夫

2008-09-05 05:19:19 | Weblog
 どこかで、メールの着メロがなった。
「あたしんじゃない」
 タカコが自分の携帯を片手にあたりをキョロキョロみまわす。
 麻屋が苦笑しながら黒板の脇のチーヨクボックスをひねる。
 それが、キーになっているのをしって、タカコはおどいいている。
 黒板が反転した。
 ひとひとりが通れる。
「なにこれ? 黒板のうしろが秘密の指令室になってる」 
 さすが、ゲーム世代。
 隠し部屋とはいわなかった。
 メールがとどいていた。
 さきほど、タカコの携帯をかりて、問い合わせたことにたいする返事だ。
「100インチのデスプレーだ。すごいだろう」
「またゲーム感覚かよ」
 画面に打ち出される文字も写真も、タカコのことば支持するようなものだった。
「スレイヤー復活ですか。せんぱい、お元気でしたか」
 さっそく、こちらも話しだす。
「出世したんだってな」
 どうせ、あれいらい監視はつけられていたのだろう。
 こちらも、古き友の情報は集めている。

 厚木基地での同僚。
 高宮健の上半身。
 高宮とは、ともにVの死体を処理した仲間だ。 
「Vセクション。日本支部長です」
 内閣情報部Vセクション。
 宇宙からの帰化亜人間であるバアンパイァを追跡調査してきた部署だ。
「あっ、こいつだ」
 何枚か送られてきた顔写真にタカコが河原であいてしたオトコが映っていた。
「なんで、はやくいわなかったんだ」
「センセイには、はずかしいよ」

「ばか、噛まれなかったか」
 Aタイプだった。 

 さきほど「リリス」の裏路地で遭遇した。
 麻屋が対決して緑の粘塊としたのはBタイプだ。
 自己顕示欲が強い。
 すぐに鬼化してみせる。
 牙をむく。
「湾岸のときからでは、進化してるようだ」
「そういうこです。この日のくるのを待っていました。いっしょに闘いましょう。助っ人をおくりますか」 
「いや、いまのところはなんとかひとりでやってみる」

 教室から振動がつたわってきた。

「やはりきたか」
「つけられていたの」
「タカコ。タカコ」
 教室で三津夫の声がした。
「アニキだ」
「よせ」

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