田舎住まい

吸血鬼テーマーの怪奇伝記小説を書いています。

冬支度/堀こたつ

2008-09-29 18:03:39 | Weblog
9月29日 月曜日

●ホリ炬燵をかける季節になった。なにか今年は寒さが来るのが早いようだ。カミサンが掃除機をびゅんびゅん唸らせて年初来の埃をすいとっている。

●「埃ってどうしてこうもたまるのかな。マネーが溜まればいいのにな」

●甲斐甲斐しく働くカミサンにのほほんと声をかける。

●あなたって、こういう時はなんの役にも立たないのね。とはやさしい彼女はいわない。家事にかんするかぎり、わたしはなんの手伝いもしたことがない。娘たちはみな母親の味方だから、わたしにたいする評価はすこぶるわるい。

●去年はあまり卓上が乱雑としているので、ついに退去命令をくだされた。いちばん奥の部屋に蟄居させられた。

●ことしはそんなことが起きないようにこれでも卓上は整理したつもりだ。アスパラの箱をテープではりあわせて本立てを作った。

       

●これだとお金は1銭もかからない。これからもアスパラは飲み続けていくだろう。天井高く紙製の本棚を築き上げていくぞ。とはりきっている。

●そのうち、コタツの向こう側を通る小柄なカミサンがみられなくなりはしないか。それだけが心配なバカ亭主であります。

●「恋空」読んでいる。

●家から見える千手山公園の観覧車が、恋空のロケで使われた。わが「アサヤ塾」の女子生徒が夢中で読んでいるのを借りた。なかなか面白い。

●前からカミサンにラブロマンスを書いたらと、勧められていた。

●吸血鬼大好き人間のわたしには、ロマンスなど書けるものかと思ってきた。

●でも恋空をよんでいると、いいなぁ、こんな話も書けたらいいな、と心変わりした。

●とりあえず、「魔法iらんど」の「麻屋のブログ」でそれらしいものを書きだした。もちろん、そのまえからやはり同じ「魔法iらんど」で書いている「coelacanth3億8千年の孤独」そのまま書きつづけている。どうぞそちらも訪問してください。

●この「魔闘学園」がおわったら、どうしょう。吸血鬼の話は一休みして恋愛小説にしょうかな、などと迷っています。

●「愛は不滅よ」とカミサンが申しています!!

●「血吸血鬼は滅びても、愛は滅びないわ」

●そういうことでしょうね。ご高説かしこまってうけたまわっておきます。

●アスパラの本立ては、のちほどカミサンが写真に撮って載せてくれます。今夜は疲れているようだから無理かもしれません。



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魔闘学園  麻屋与志夫

2008-09-29 02:11:40 | Weblog
14
あれは狐火。 
狐の嫁入り。
死んだおばあちゃんがよくいっていた。 

石裂山の山腹をちいさな火が数珠にようにならんでもえている。
ああいう光りが並ぶのは山のお狐さまがお嫁にいくときなのだ。

シズカはおばあちゃんのことばを思い出した。

上久我に住むシズカから携帯が入った。
シズカはサッソク、アサヤ塾の連絡ネットに、
「バイクの集団が夜陰に乗じてめったに車などはいらない山道に消えていった」
と報告した。

「このさきは道がないの」
タカコのバックシートからシズカが飛び降りた。
ブナやくぬぎやニレの木の奥にただならぬ気配がする。
シズカもこの奥までははいったことがない。
月が白みかけている。
「三津夫」
車からとびだしたケイコが森の奥にむかってすごい脚力ではしりこんでいった。
輸血の効果があった。
すっかり元気をとりもどしている。
たくましい野生の生命力だ。  
犬のようにみえた。

15

頭がふらつく。
突進してくる吸血鬼の爪がしだいに三津夫のからだに深く突き刺さってくる。
避けられない。
このとき闇の底の下ばえをかきわけ、犬がとびこんできた。
「三津夫、ぶじだったのね」
「心配するな。これきしのあいて……」
「そうでもないみたいよ」
 三津夫にからだをこすりつけ。ケイコ――犬飼一族の長老の娘が変身したままの姿でいう。
「三津夫といっしょに戦えてシアワセ。ネネワカル。感じる? わたしと三津夫は遠いむかし、やはりこうして妖狐の部族と戦った」
「なにいちゃついてやがる」
あらたな黒装束の悪鬼がケイコのまえにすすみでた。
ケイコがすばやくうしろにまわりこむ。
悪鬼の首にかみつく。
ケイコの犬歯でかみくだかれた首筋から緑の血がどろりとしたたる。
腐った臭いがした。
「番長」
「三津夫」
「おにいちゃん」
いっせいに喚声がわきあがった。
ほの暗い樹の影をぬってスケットが到来した。
二荒タカコ率いるサンタマリアのGガールズ。
副番、番場の率いる鹿陵Gボーイズ。
「番長、三津夫さん。おくれてスゥマセン」
異口同音に硬派の声がほの暗い森にこだまする。

麻屋は玉藻と真剣をもって対峙する鹿未来のところにかけよった。
「そのかまえは、蘇ったときいている皐道場のお嬢ですね。総本家、草久の麻生から別れた、あなたのところとおなじ分家、麻屋です」

「これでわたしに敵対するものが勢揃いした。覚悟してかかっておいで」



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