田舎住まい

吸血鬼テーマーの怪奇伝記小説を書いています。

大麻汚染

2008-09-08 22:01:03 | Weblog
9月8日 月曜日
大麻 
●角界が大麻汚染で揺れている。理事長北の湖親方が辞任。あいつぐ大麻吸引、所持、疑惑。もうどうしょうもないところまで来ている感じだ。だが、わたしはまったく個人的な思い出にのめり込んでいる。

●かれこれ60年も前のことである。記憶があいまいなので間違ったらごめんなさい。
栃木県の県庁の農務課から麻商組合に呼び出しがきた。終戦直後のことである。

●GHQからお偉いさんがくる。というのだ。わたしは英会話の勉強を始めていた。神の国。大日本帝国を打ち破ったアメリカという国について知りたかった。父のお供をして県庁にいった。

●アームストロングとい強そうな名前だが、女性の係官だった。いいわたされたことは予想だにしないことだった。

●青天の霹靂とはああいう驚きのためにある表現だ。

●日光街道の両サイドで大麻の栽培はまかりならぬ。というのだ。その理由がさらなる驚きを大麻取扱い業者にもたらした。

●日光に観光のために往還するGIが大麻タバコをすっては困るから……というのだ。

●このときわが鹿沼の何百年とつづいている大麻商ははじめて、マリファナという言葉を学ぶことになる。学んだところで、栽培を禁止されては農家も業者も死活問題だ。

●署名運動もした。われわれ日本人は、成熟した大麻の茎から繊維をとっている。そのために大麻を栽培しているのだと陳情した。なんとか禁止令は解かれた。

●大麻の繊維を商うなどということは、いまは過去のものとなった。大麻吸引だけがいまも健在だ。悪いことは外からやってくる。そして長続きする。

●あれから通訳とか塾の英語講師でずっと生活をさせてもらっているのだが、こと大麻のことを考えるとどうもアメリカがすきになれない。お世話になった、仲のいい友達も大勢いるのに、あのとき、大麻の葉をタバコとして吸うと知らされたときのショックを思い起こすと複雑な感情になる。

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魔闘学園/吸血鬼浜辺の少女外伝  麻屋与志夫

2008-09-08 08:13:20 | Weblog
 屋上には、黒い森があった。
 それも屋上庭園なとどいうナマハンカなものではない。
 黒々とした樹木がはてしなくつづいている。
 遠近法のマジック……?
「なんだよ、これは。ここの屋上はこんなにひろかったのかよ」
「霧が深いから視界がきかないスょ。でも異常ですね。このコンクーリートの床、やわらかすぎますよ」
 三津夫のほうが武よりリアルに現状を分析している。
「コンクリの床がなみうっているス」
「らしいな。それに水もない川なのに橋がある。あれは昔の御成橋だ。改築される前の、鉄骨のピアつきの橋だ」
「屋上に黒川が流れている。水がなくても……川があるだけでも……それだけでも、おかしいと思わないスか」

 これは、疑似体験の世界だ。
 バーチャルリアリテイだ。
 こういうことになると。
 わずかな世代のちがいだが。
 三津夫や番場のほうがすなおにうけいれる。
 現実と非現実という対立した感覚はあまりない。
 アンビリイバブルなものに感性を刺激されてエキサイトしている。
 武はつしていけない。

 旧御成橋。
 京都の宮廷から礼弊使が日光の東照宮に参勤するときに渡った。
 由緒ある橋だ。
 改築されてから数年たっている。
「移築した話しは聞いていない」
 ふたりは、不気味にうねる床をふみしめながら、橋にさしかかった。
 橋を渡れば街に入る。
 街の風景がゆがんでいる。
 街の全景がきみょうにねじれている。
 橋もたわんでいる。
 これはもう、ROMチップのつくりだした古きよき鹿沼だ。
「御成り。玉藻の前さま御成り」

 橋を渡る。
 三津夫に聞けている声が武には聞こえていない。
 彼の表情には変化がない。
(玉藻の前。
 玉藻、玉藻。
 どこかでたしかにきいたことがある。
 こんなことなら。
 もっとマジに社会科の勉強をしておけばよかった)
 暗い。
 道路の感触がおかしい。
 発泡スチロールのうえを歩いているようだ。


「どうした。三津夫」
「せんぱいには、なにも聞こえないんスか」
「なにかきこえるのか」

「おれたちのことを感じているやつがいるぞ」
「おれたちの姿がそのまま真向こうからみえるのかもしいれない」
「おどしてみるか」
「おどしてみるか」
 ふたつの影がささやき交わしている。

 御成橋をわたりきった。
 街の古い家並みがみえてきた。
 しかし、どれくらいむかしなのか。
 茅葺きや板葺きのやねだ。
 だが、まちがいなく縮尺された鹿沼の街並だ。
 古きよき時代の鹿沼のミニチュアだ。
「これって、テーマパークですよ。ほら『むかしの鹿沼な生活展』なんてのをやっる準備をしていたのですよ。それにしてもおおがかりだな」
 番場がめずらしくうがった解釈をする。
 そうとわかると元気がでたのか、どんどん橋をぬけて街にはいっていく。
 小人国にまぎれこんだ、ガリバーの気分でいるようだ。
(それは、ちがう。番場、油断するな。なにも番場、危険を感じないのか)
 三津夫の不安はたかまる。

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