日々 是 変化ナリ ~ DAYS OF STRUGGLE ~
このプラットフォーム上で思いついた企画を実行、仮説・検証を行う場。基本ロジック=整理・ソートすることで面白さが増大・拡大
 



現在の世界への影響があまりに大きく、今後も全く余談を許さないサブプライム問題。
サブプライムローンはなぜこれほどに世界的な金融危機を招いたのか。
これを非常にわかりやすく読ませる。

著者は、慶應大学院経営管理研究学科の准教(≒助教授)で、自分も投資を実際にしていたという 小幡 績氏。


冒頭で学生向けに作者が作った3つの問題の答えを紹介するところから、一気に惹きこまれてしまう。
その3つの答えがあまりにシンプルで強力だからだ!

第1章~2章で、サブプライムローンが証券化というマジックによって、リスクが分割小口化されていくことで変質してしまい実態が空洞化することを、
そしてその結果起こる状態を「リスクテイクバブル」と名付け、そのバブル形成についてシンプルに語る。

次の3章「リスクテイクバブルのメカニズム」がまたおもしろい。
なぜ、欧米の投資銀行やヘッジファンドなど世界一流の投資家=「プロ」である運用者がこのバブルに殺到したかのメカニズムを語る。
投資機会を求めてさまよう資本を運用しなければならない「プロ」は、そこに飛び込まざるえない運命にあるのだ(ぞっ!)

第4章~6章はバブルの実態を時系列で追いかける。
上海発世界同時株安から始まり、バブル崩壊1発めのサブプライムショック、そしてバブル崩壊2の世界同時暴落スパイラル。

最後の第7章、8章は全体のまとめ。
ここで恐怖の言葉が登場する。
それは、「レバレッジ」。
理論的に正しい利益追求を行うために、規模を何十倍にもして利ざやを稼ぐ。
お金を借金してカジノにいくようなことを平気でやっているわけだ。
認識はしていたがあらためてこうして読むと、いかにバカバカしいかよく理解できる。
個人的には21世紀型 バブル~崩壊の本質はここにあると思っている。

金融工学とノーベル賞経済学者という理論的、数学的説得力、そして過去の高いリターンとおいう実績にサポートされ、リスクテイクバブルはふくれあがっていって破裂した。
本で最後に提示される言葉、「キャンサーキャピタリズム」(癌資本主義)に思わず恐怖しない読者はいないだろう。


全く余談だがこういう本を読んでいると、ある映画の登場人物をすぐ思い出してしまう。
それは「フィッシャーキング」という映画で、その中のワキ役なのだが証券取引場の外にいる年配の浮浪者。
線のつながっていない電話の受話器に向かって、ずっと叫び続ける。
Buy! buy! buy! Sell! sell! sell!

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