一生懸命に頂上を目指さなければならない忙しいはずの我が身に、今度は獣が立ちはだかりました。
下を見ながらひたすら登っていると、前方で「ドサッドサッ」と音がしました。顔を上げると、黒い塊が走っていきます。「とうとう来たか。熊が」と思わず両の平手でパンパンと音をたてました。音をたてて、熊を脅しているつもりですが、何の意味もありません。ただ、気が動転していただけです。スビタレらしい反応と思いませんか。よく見ると、熊ではなくてカモシカでした。しかし、丸々としていて熊のようでもあります。カモシカも「食欲の秋」でしょう。これからもっと食べて、冬越しの準備です。
カモシカは、最初はバッと逃げて、しばらくすると立ち止まりますので、そうっと逃げた方に進むと、いました。じっと私の方を見つめています。しかも殆ど動きません。カメラを向けて、連射モードで撮ります。何度も取れます。しかし、動きませんので、次第に飽きてしまいました。カモシカはモーともメーとも鳴きません。それでも、20枚ほどは撮れたようです。大分、時間を費やしてしまいました。これも、後で祟ることになります。