樹木の伐採用に作られた「道」が終わりました。出発点から上を見上げた時は、道の直ぐ上に頂上があるように見えました。でも、これからは全く道がありません。何となく獣道らしきところの藪を掻き分けて進みます。種々の草木が実を付けていました。中でも、ムラサキシノブ(紫式部)の紫色が鮮やかでした。庭の紫式部とは格段の差があります。
チゴユリも実を付け、葉は枯れています。
今、振り返って考えますと、ここまでが秋空での天国気分でした。
藪を掻き分けながら直登したのですが、下から見て頂上と思った場所の上の方にまだまだ「山」が続いています。頂上らしく見えたのは、単なる一つの尾根だったようです。尾根の藪は続いています。やがて、大きな家ほどの岩が現れました。まだ見覚えがありました。約40年前に雪上に頭を出していた変わった形の大岩でした。その時の記念写真もあります。
名前は「烏帽子岩」。昔の武士が頭に被った「烏帽子」に似ています。40年前と比べて、周囲の樹木が岩を覆い隠すように成長しています。反対側に出ようと岩の左側を潜ったその時、強烈な頭への一撃がありました。「こら、40年も無沙汰していたな。スビタレ」と叱られたのか、「よく忘れずに来てくれたな」と褒められたのかは分かりません。岩の尖った部分が、脳天を叩いていました。暫くの間は動けない状態でした。岩は、とても硬い流紋岩です。