背炙り峠には、自動車の落下を防ぐために、白いガードレールが各所に設置されています。実に、これでもかこれでもかという感じに沢山あります。
ところが、背炙り峠の道路は元々、簡易な舗装道路ですから、路肩にはガードレールの支柱を保持するほどの強度がありません。従って、折角のガードレールも大量の積雪による圧力によって、ねじ倒されたり押し曲げたりしてしまいます。そうなると、また同じようなものを設置します。そんなイタチごっこを毎年やっていますので、「専門家」でない私でも「せめて、積雪地帯に合ったガードレールか、ガードレールに代って樹木を育成したらいいのに」と思います。
山形県の道路では、この白くて幅の広いガードレールが大変にお好きなようで、とにかく多く用いられています。もう30年以上も前になりますが、北海道の山岳地帯をドライブした時に、別の形のガードレールを見たことがあります。そこではワイヤーが使われていました。ワイヤーは表面積が小さいので、雪から受ける圧力は幅の広いレールよりは、ぐっと小さくなります。当然、耐久性は格段に向上するので、長い目で見れば経済的なはずです。しかも、修繕工事の必要性もなくなりますので、交通安全性も向上します。
昔、ガードレールについて、「専門家」からこんな話を聞いたことがあります。「ガードレールを幅広く白くすることによって、ドライバーに目立つので、交通安全上、そのようなガードレールにしなければならない」。非専門家の私でも、確かに目立つことは分かります。しかし、それほどまでに目立たせなければならないのでしょうか。その理屈だと、どこの道路でも両脇に幅の広い白いガードレールを設置しなければなりません。世の中はそのようになっていません。北海道のようにワイヤーを使うと、交通事故が増えているのでしょうか。
「専門家」というのは変な理屈でも通してしまうので、とても偉いと思います。