-畑沢通信-

 尾花沢市「畑沢」地区について、情報の発信と収集を行います。思い出話、現況、自然、歴史、行事、今後の希望等々です。

地名 タイラ(「平」の意味だと思います。)

2014-10-16 17:42:09 | 思い出

 この地名は字名にも出てきませんが、思い出多いところです。等高線が書かれている畑沢の地図を見ると、真ん中を水田、畑、集落がある平地が南北に伸びており、その東西を山がサンドイッチしています。山となっている所は、元々、傾斜がきついために耕作地にならないで「山」になっているのですが、その「山」の中でも、比較的傾斜が緩やかになっている場所が所々にあります。南から申しますと、石切り場があった「ローデン」、背中炙り峠に登る坂下からの斜面、大平山の北斜面の寶沢、そして中畑沢の「タイラ(平)」です。この「タイラ」とい地名は、中畑沢だけに通用する地名かもしれません。国土地理院の地図を見るとその地形が良く分かります。大平山(814m)から北へ尾根が下がり、清水畑の東側で再び高くなってピーク(442m)になり、その北側は緩やかで広大な地形が広がっていてタイラになります。中畑沢からそこに至るには、屏沢から急な斜面を登るのが一般的です。スビタレと言われていたころの私は、タイラの意味が分かりませんでしたが、スビタレでも成長するもので、地図を見るようになって初めて意味が分かりました。タイラはそのまま「平」の意味だったのです。

 この場所は伐採されやすかったようで、今も写真のように伐採されて雪景色はすっきりくっきりです。スビタレ時代も伐採されていました。なだらかな斜面が長く続いていますので、スキーには最高の滑降場所です。いつものスキー遊びは、家が建っている周囲で小さな斜面を見つけて滑っていましたが、時々、リーダー(所謂「ガキ大将」)が別な所を目指すことがありました。その最たるものが、このタイラです。雪がない時期は、上述のとおり屏沢の奥から登っていきますが、スキーの時期は沢に入らないで直登しました。かなりきつい傾斜ですので、蟹の横歩きと同じ形になります。スキーを横にして進むのですから、登る速度は実に遅くなります。途中でノウサギに出あったこともありました。ガキ集団は盛り上がりました。しかし、そんないい時ばかりではなくて、登っている途中で天候が変わり、猛吹雪に遭遇したこともありました。小学生のガキながら、ちょっとした冒険でした。

 きつい斜面を登り切っても、滑降する斜面を踏み固めなければなりません。そして、ある程度の高さになると、滑降できます。順番に滑ります。いつものコースと比べてかなり長い距離になりますので、スピードは格段に速くなりました。今でもその時のことを覚えています。そのスピードに驚いて、足がすくんでいました。私たちが履いていたスキーは、通称「パチンコ」というもので。ゴム長靴がスキー靴です。スキー金具は、つま先だけがスキー板に固定されているだけで、踵はフリー状態です。従いまして、体重を後ろに掛けていないと、前につんのめってしまいます。正に曲芸のような滑り方でした。本当は「テールマーク」という滑り方があったはずですが、畑沢にはその滑り方が伝わっていませんでした。

 この写真は、一昨年の4月です。今でも毎年のようにスキーを履いて登っています。今でもガキなんです。そしてガキの夢は、ここからそのまま南へ登って大平山へ行ってみることです。その時は、「かた雪」であることが必要です。最近は春先の天候も昔と大分、様変わりしてしまいました。ちゃんとした「かた雪」になりません。