ツィメルマンのピアノリサイタルに行ってまいりました。当初12月6日(金)に予定されていて、体調不良(腰痛)のために延期になっていたものです。
私は6日だと都合が悪かったのですが、27日なら行けそうということで、急遽行くことに。
会場は三原芸術文化センター ポポロホール。ここは、以前練習室を利用したことがあるのですが、ホールは初めて。ちょっと時間があったので駅から歩いていったのですが、高架下をまっすぐと言われたにもかかわらず、おきまりの迷子。・・・でもちゃんとたどり着きました。
なんとこういうお庭 ↓
そして「クロークをご利用ください」という声かけ。クロークのあるホールなんて、久しぶり過ぎます(涙)。
ツィメルマンを聴くのはこれで3回目ですが、毎回、立て看板・プログラム・場内巡回のプラカードで、「携帯電源オフ・補聴器の確認」「写真撮影・録音の禁止」の注意を喚起されます。本日はまた開演前に<本人からのメッセージ>ということで、「無断録音をyoutubeにアップされ、現在訴訟を起こしている。本日は会場のみなさんの良識を信じております」という内容のアナウンスがありました。「ライブというのは、はかないものではあるけれども、その時間の演奏者と聴衆の強い結びつきあって成り立つものだ」という主張には全面的に賛同します。もとよりレコーダー持ち歩いておりませんし。
ポポロホールは 「1階853席、2階356席の全1,209席のホール。音響効果に優れたシューボックス(直方体)型と客席から舞台を見やすい囲み型の融合により、本格的な芸術空間を実現」というホールだそうで、椅子には木が使用されており、ウッディな印象。過去2回聴いたホールもそれぞれがそういう雰囲気の空間でした。ピアノも会場も厳選しておられるのだろうな、と思います。
そういえば、前回倉敷で聴いたときは、座面が斜め(お腹側が低い)になっているような特殊な椅子を使用されてましたが、今回は通常型のベンチ椅子でした。
プログラムはベートーヴェンの後期ソナタ、30番、31番、32番。
31番と32番の間に休憩があったにもかかわらず、ひとつづきのものとして記憶に残りました。ツィメルマンの弱音の美しさ多彩さは前回倉敷でショパンプログラムを聴いたときに非常に印象的だったのですが、今回はたとえば、30番のバリエーションのある部分、31番のフーガの始まりの音など、・・・・どこから音が鳴っているかというと、聴いている自分のなかからにじみ出てきているのではないか?と錯覚するような、顕在と潜在の意識の境目に共鳴するような不思議な感覚でした。
その感覚によって、自分のなかのただならぬものが呼び覚まされるような気はするのですが、でもそれは不愉快な感じではなく、あくまでもどこまで、穏やかでいいものである・・・という幸せな反応でした。
たしかに、こういうある種の「共鳴」みたいなものはライブでないとありえないことで、それは演奏者と聴衆がその場で一緒に作りあげていくものであると思います。だとすると、勝手に録音をされることは、演奏者の意図に背くものであることは容易に想像がつきます。
正直なことをいうと、もともとは私とくにファンというわけでもなかったのですが、回を重ねるごとに、どんどん引き込まれてしまってます。どうも前回も「行くのよそうか」と迷ったあげくに行ったようですし、今回も延期になったためにたまたま行けた、ということで、なにかのお導きでこういうことになったようです。
年末にまたひとつ不思議な感覚を得て、いい年越しができそうです。
<追記>これまでとひとつ変わったことがありました。ツィメルマンが、横長に製本した楽譜を自らめくりながら弾いていたことです。譜面台は寝た角度に近いくらい低く、またまったく気にならないタイミングでスマートにめくっていたので、楽譜を見ながら(というより置いて)弾いていたことすら、忘れておりました。