アンティークマン

 裸にて生まれてきたに何不足。

石に口漱ぎ流れに枕す

2016年05月07日 | Weblog
ここんとこ、「夏目漱石」の名前を目にする機会が多い。なぜ今夏目漱石?
 「熊本地震」の関係か?漱石は、旧制五高、現在の熊本大学で教鞭を執っていたから。それと、今年は漱石没後100年、来年は生誕150年に当たる…そんなわけで夏目漱石なのでしょう。

 「叩かれて昼の蚊を吐く木魚哉」…漱石の句です。漱石そのものを表現しています。
 「牛になる事はどうしても必要です」…これは、手紙に書かれていたもの(久米正雄、芥川龍之介に宛てた手紙)。
 木魚の句と、手紙の「牛(胃が4つ)」には、胃潰瘍、吐血に悩む漱石の姿が見てとれます。
 「そんなの初耳だ。漱石の研究者でもないのにそんな勝手なことを言うな」って?あ、あのね、漱石の作品は全て読みましたし、俳句、書簡集も読んでいます。研究者が言ったとか言わなかったとかは関係ない。一通りは読んでいる私が、勝手な評論をしても許されるかと。漱石は他人のような気がしないのです。

 解りやすい句としては、「腸に春滴るや粥の味(はらわたにはるしたたるやかゆのあじ)」があります。
胃潰瘍、はげしい吐血…生死の境をさまよう漱石。「もうダメか…」そのときのあまりにもささやかな食事。はらわたを通ってゆく「お粥」。この粥に、「まだ生きられるかも」という勇気をもらった。

 英語教育について、漱石が語ったものが残されています…
 「一字一字をゆるがせにせず、読みやすき本を熟読して、単語、熟語、発音、揚音、綴字などを知る一挙両得の法を用い、難本を見るを措(お)かざるべからず」
 これは、漱石が五高(現熊本大学)時代(明治30年ころ)に、旧制佐賀中(現佐賀西高)などで英語の授業を参観したり講演したりの中で語ったことだという。
 日本の英語教育、明治から行われていたわけで…文部科学省が全国の公立中・高校の英語力調査結果を公表しました。
 高校3年生のうち、「英検準2級程度以上(または、教員がそれに相当すると判断した生徒)は、34.3%だった。(日本国政府は、2017年度までに、50%にしたい。目指すのは自由ですが、達成は難しそう)

 漱石、没後100年。今なお日本に影響を及ぼしている。そりゃないだろうって?次のような影響ですよ。
 影響その1・・・英語教育、きちんとやれよっ!
 影響その2・・・胃潰瘍予防の為に、ピロリ菌を除去しろよっ!
 影響その3・・・千円札!お世話になってるでしょっ!