アンティークマン

 裸にて生まれてきたに何不足。

表の顔はタブマンさん!

2016年05月09日 | Weblog
 「米国には酒屋がない」これは、アンティークマンの名作。法務省関係の機関誌(全国版)で、のべ半年にわたって連載され好評を博しました(自己評価で~す)。学校関係管理職の研究大会でも講演させていただきました。ちろん、法務省関係の団体でも講演させていただきました。好評だったかって?管理職の研究大会では、評価のアンケートの記載事項を送っていただきましたが、自分で言うのもなんですが楽しんでいただけたと思います。講演はおもしろくなければね。法務省関係者からは、口頭で評価をいただきましたがぁ、「すっごく良かったです!みんなそう言ってます」…まあ、こちらも努力しましたからねえ。
 そこまで自慢するかって?あ、あのね、自慢しても私の状況になんの得もありません。自慢する気はなどありません。単なる話のマクラです。

 酒屋がない米国で暮らしていた時の不便は、「スーパーで100ドル札を出すと、100ドル札は検査にかけられ、私は、容疑者として顔写真を撮られる」…大変な騒ぎでした。できるだけ小額紙幣で支払うようにしておりましたが、持ち合わせがなくやむなく100ドル札を使うことがままありました。

 あれから30年。今なお、米国で買い物をして100ドル札を出すと、店員に嫌な顔をされるのだという。どうしてそんなに100ドル札が嫌われるのかって?
 ニセ札ですよ。100ドル札のニセ札が出回っていたわけで、今でもそうらしい…30年以上も、高額紙幣のニセ札が流通している状態が変わらないというのが不思議。そんなわけですから、今も、「ニセ札検査機」や、「使った人物の顔写真撮影機」は存在するのでしょう。そういう機器を取り入れられない店では、「紙の厚みや色の濃淡を入念にチェックする」…失礼ながら、店員さんのチェックでニセ札を見つけられるとは思えません。どうしてかって?そんなこと書けませんよ。私は、米国がドイツと同じぐらい好きですから、敵に回したくない。

 これまでが、マクラ。前置き、長っ!
 100ドル札などの高額紙幣は、庶民には敬遠されるわけでして、最も使い勝手が良いのが20ドル札。なぬ?何を書きたいかもう解ったって?…はいはい、ニュースでやってましたからね…。しかし、中身は私のほうが深いっ!

 米国は、4年後に「20ドル紙幣のデザインを刷新する」という。その紙幣の肖像に、奴隷解放運動指導者のハリエット・タブマンを採用することに決めた。これは、衝撃的ニュースですよ。黒人女性が初めて、米国紙幣の「顔」になるのですから。

 ハリエット・タブマンを知らない?知らなくて、当然です!一部では有名ですがね。約200年前、奴隷のもとに生まれた彼女は、「鉄道の車掌」として知られました。車掌さんが、どうして米国で多く使われている紙幣の顔になるのかって?
 これが、車掌とはいっても、JRのような鉄道の車掌ではなかったわけで…。
 奴隷の逃亡を手助けする「地下鉄道」という名の秘密組織に属し、「乗客」の黒人を目的地に送る役を担った。これは凄いですよ。約200年前の黒人女性が…!奴隷解放版の杉原千畝?…比較するような問題ではありませんがね。
 タブマンさんは、「白人に懸賞金をかけられた」という。それでも恐れずに活動を続けた。南北戦争では北軍のスパイとなり、奴隷解放に身をささげた。このタブマンさんが、100ドル札の顔ではなく、20ドル札の顔になる…米国、やるじゃないか!
 100ドル札の顔のほうが偉いんじゃないかって?米国では小額紙幣の肖像ほど権威があるんですよ。1ドルは初代大統領のワシントン。20ドルは5番目に権威がある。その下の、50ドル札の顔は誰かって?北軍を率いたグラント将軍!あの、グラント将軍より上の権威を認められた。

 えっ?とって代わられる今の20ドル札の顔は誰なんだって?そ、それがぁ、「弱損」じゃなくて、「ジャクソン元大統領」なんですけどね。なぜ、弱損などと揶揄したのかって?
 タブマンさんは、奴隷解放に命をかけた。ジャクソン元大統領は、「元奴隷主」。米国ってホントおもしろい。オチまでつけています。どんなオチかって?現20ドル札のジャクソン元大統領は・・・20ドル札の裏面へ回る!