朝日新聞11月23日(火)の9面の記事
「キッシンジャー氏 米中緊張に強い警鐘」
とのタイトルの記事についての端的な感想が、タイトルそのものである。
この記事の小見出しにはこう書いてある。
「大量殺戮にならぬ競争関係を」
これだけで、キッシンジャー氏の言わんとしていることは理解できる。
つまり、米中核戦争だ。
しかも、キッシンジャー氏が恐れているのは、おそらくアメリカも保持しない極超音速兵器が飛翔体を発射したということである。
これは、朝日新聞の同じ面の記事によると、「極超音速兵器を迎撃するミサイル防衛システムを破壊するためのものとして発射されたとの見方がある」らしい。
これが事実だとするとアメリカは核ミサイル防衛システムが機能しないということを意味する。
中国は持っているのにアメリカは持っていない。
キッシンジャー氏のことを知らない若い人は、この記事つまりキッシンジャー氏の言説に納得するでしょう。
確かにそうだと。
しかし、朝日新聞の同記事の後半にあるように、キッシンジャー氏は「ニクソン政権の大統領補佐官として極秘訪中し、ニクソン大統領の1972年の電撃的な中国訪問の段取りをつけた」方である。
しかも同記事で書かれているように、
「歴代米政権は、将来的な民主化を期待して中国を国際経済体制に組み込む「関与政策」を続けてきたが、きっかけはニクソン訪中にさかのぼる。」
のだ。
つまりあなたは、この記事にあるように中国に騙された張本人ですよ。
ニクソン大統領の補佐官として。
あなたが、訪中したこともニクソン大統領が訪中したことも歴史の事実として同時代を生きてきた私は、危惧していました。
なぜか?
あなたがアジアに生まれていないからです。
ベトナム、フィリピン、シンガポール、タイ、マレーシア等々の一定程度の経済力を有するアジアの国で本当に中国を信用している国など一つもないのです。
同世代の友人もそうです。
東南アジアであった、華僑の元中国人でさえそうです。
誰一人、こころから中国共産党と今の中国を信用している人間はいません。
あなた(アメリカ)は、ソビエト連邦(今のロシア)の核を恐れるあまり、中国共産党と取引したことは皆知っています。
しかも、それが失敗だったことも、世界中の国々が知っています。
つまり、アメリカは中国に騙されたと。
だから、あなたが、「米中関係に強い警鐘」と言ったって、それを現実にしたのはあなたでしょうと世界中の国は思っているのですよ。
あなたが、「米中関係に強い緊張感」をもたらした張本人でしょうと。
ニクソン氏とあなたが、この緊張の原因をつくったのに、それを今さらあなたが言うのはおかしいでしょうと。
習近平の中国は笑っているでしょう。
毛沢東、歴代首相とともに。
「馬鹿だねー、アメリカなんてちょろいもんだ」
「今頃、『米中関係に強い警鐘』なんて言っている」
「もう手遅れだよ」
と。
朝日新聞の同記事の最後に、こう記載されている。
「ワシントンではキッシンジャー氏の歴史的偉業を否定的にとらえる見方も強まっている」
と。
私は、キッシンジャー氏が中国に笑われるのが本当に残念で仕方がない。
なぜなら、アメリカという国は信頼を重視する国だからだ。
具体的に言おう。
アメリカに入国するときの入国カードに手荷物等の持ち込み荷物を申告するとき、基本的に入国カードの記載を信頼するのがアメリカのスタンスなのだ。
アメリカは、いかに「自由意思による申告」つまり「信頼」を大事にしているかが分かる。
だが、事実と相違した時、アメリカは「厳罰」を下す。
自由意思による「信頼」を裏切ったからである。
キッシンジャー氏の「信頼」をだましたのだから、どんな「厳罰」をアメリカは中国に下すのだろうか?
それとも、中国の極超音速兵器が怖いので、密約により、太平洋を西と東で分け合ってしまうのだろうか?