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ハリの焼き入れ・・その参

2015-02-16 18:49:30 | うんちく・小ネタ
焼き入れ炉を断熱性の高い物だけで囲うと、芯まで入りにくい??
やはり、耐火煉瓦(最近は耐火粘土を吹付け一体成型になる)は、石釜と一緒で輻射熱がある
温度も下がりにくいのが利点だ!
欠点は、年月が進むと崩れてくる
まあ、仕方ないことだが・・
ハリをどのように浸炭させるか・・
ルツボを使うのだが・・
ルツボ価格が、半端でなく高い
一般のルツボと異なり、砥石を作る工程と同じようにしてつくる
割れにくく丈夫だが、やはり一生物ではない
50回も使えば、良く使ったといえる
それまでにひび割れ、ハリに焼きむらが生じてくる
割れた個所から高温の炎が入り、温度ムラになるのだ
焼きムラは、テンパー(焼き戻し)の際でないと判らない
だからもこのハリは、このルツボを使ったと判るようにしないといけないのだ
高価なルツボは、補修しながら使っている・・まるで、窯元のようだ
ルツボの中にハリと炭を、ただ入れるだけではない
底に炭を入れ、ハリ、炭、ハリ、炭、ハリ、炭と交互に入れる
炭もハリの間に、しっかり隙間なく入れる必要がある
理由は、高温になったハリは、真っ赤になり上からの加重で変形するからだ
手を抜くと、曲がりの多いハリができる
炉内の温度は、電気炉でなく重油バナー炉なので、手前と奥とでは炎の当たりが異なる
炎は、直接ルツボに当たらないが、炎の先の奥側が温度が高い
その為、途中でルツボの入れ替えを行うのだ!
これが何というか・・熱い
二重三重と防護しているが、少しトロトロしていると・・熱いのなんの
最初頃は、どうしてもトロイので熱さで参る!
大昔は、防護服もなく
ヘルメットに防護面なんてものもなかった
正直、私の脛毛は殆どない
今では、耐熱性の生地のお蔭で熱くないが・・
さて、入れ替えた後は、炉内の温度を一定にする必要がある
そこで、『ムラし』という作業を二度に分けて行う
煙突のダンパーを半分、全部といった具合で閉めていく
バーナーは、適温になったら自動で止まり、下がったら着火する
デジタルで一度単位に制御できると言われたが、バーナーでも電気でも1度単位の制御は無理
3度程度の上昇がある
900℃で燃料カットしても、温度上昇中なので903℃くらいまで上がる
お盆・正月などの長期休業では、炉の温度がすぐに下がる
その為、温度の上昇スピードも遅くなるので、過浸炭になる場合が多い
過浸炭になると、鋼が鋳物のようになる??
固すぎてモロク、使てものにならない
その為、ルツボを入れる前に十分に余熱する・・パンの石釜も同じようだと聞いた
焼入れの温度管理は、難しいといわれるのも、その辺りだろう
充分に熱したルツボを取りだし、中の真っ赤になったハリと炭を水に投入する
真っ赤な炭が、はじけて飛ぶ様は、すこしヤバイが綺麗??
焼入水も、永年使い回した水でないといけない
新しい水を使うと、商物にならない
何か、ウナギのタレと同じようなものなのだろうか
その後、ハリと炭を仕分ける作業がある
この時期の水温は、10度くらい
冷たい水の中で、ハリと炭を仕分ける
砂金採りの要領で、炭とハリを分離するのだが
焼入れをしたハリは、硬すぎて少しの力でポキポキと折れる
水の中で作業するのも、その理由からだ
分離したと思っても、何個か炭が残ってしまう
そのまま焼き戻しの電気炉にいれると炭が燃え、その辺りのハリがダメになる
その為、乾燥炉にいれる
そうすると、パラパラと炭が落ちてくる
この乾燥炉は、非常に年代物の電気炉
昔の物は、モーターもそうだが、壊れにくい
頑丈にできている
最近の商品は、頑丈に作ると製造会社が潰れるので、ある程度使えば壊れる箇所を造っている
焼き戻し炉は、私が理想とする温度管理のできる炉を造ってもらった
温度計は、焼き入れ炉と同じようにデジタル制御
その温度計のメーカーの方が、わざわざ見に来られた
営業活動かな?と思ったら
「もし、中古で売る場合は、共産圏にいくことが無いように」
と、釘をさされた!
それほど、温度制御ができるのだ!
焼き戻しとは、硬い鋼に粘りを与える作業をいう
テンパーといって、これが一番難しい
他社は、熱したオイルの中に、ハリをメッシュベルトに載せていく作業のようだが
ベルトのスピード、オイルの温度で、ハリの硬さが異なってくる
幾ら温度管理がしっかりした炉でも、ハリの焼き入れ具合が少しづつ異なっている場合は・・
だから、テンパーが一番難しいと云われる
ハリの固さ、粘りをどのようにして診るのか
診ていては、判らない
一本取って、折る
折った際の音、指に跳ね返る衝撃で良否を判断する
わが社だけの方法と思っていたら、兵庫のハリ屋さんも同じようにしていた
太いハリは、折れないので、機械で硬さをみるのだが
鮎バリのように細いハリは、機械で測っていてはタイミングが遅れる
ビシッと折れて指に食い込むハリが、良い
そのおかげで私の指は、傷だらけ
まあ、わが仕事だから
それにしても、鮎バリは難しいね・・・・・

ハリの焼き入れ・・その弐

2015-01-30 17:59:30 | うんちく・小ネタ
シェカー炉の欠点は打撃音です。
町場の工場では、ご近所に・・
通常のハリならこの程度の焼き入れでも良いと思います
鮎バリをこの方法でされている工場が多いと思います。
熟練が要らない
メーターを見て判断すればOK・・
鮎バリは、別物と考えなくてはいけないのに・・・
温度計は、湿度が高いと正確な温度表示を示しません
特に高温になればなるほど数値の狂いは大きく、出来た品物は×
刀鍛冶の現場には、温度計なる物がありません
炉の温度は、刀の焼き色で判断します焼き入れの水は、手を浸ければ判ります
焼き色で判断するために、良い材料があります
それは、オキアミです
高価な極上品は、白っぽい
安い低級品は、赤っぽい
1000℃近くになると、色は白っぽくなります
温度が下がると徐々に赤みを増してきます
白っぽいオレンジが900℃
赤が860℃
赤黒が800℃かな
焼入れで使う温度が860℃~900℃です
マルトの鮎バリは、浸炭焼入れで焼入れをしています
浸炭とは、鉄に炭素を吹き込み鉄から鋼にすることです
線径0.4mm~1.5mm前後なので芯まで鋼になります
ハリに研ぎが利くハリになる訳です
30年くらい前は、炭屋さんに頼んで松炭を砕いたものを購入し、通しで選り分けて使っていました
炭の需要が少なくなって、砕く杵も壊れたと炭屋が言ってきました
破砕機を手造りして急場を凌ぎましたが、大変な労力と経費がかかりました
色々と探してみて、単価は高いがサイズが米粒程度のドイツ製の炭を購入することになりました
今でも使っていますが、高価でも再利用が可能なので、結果安上がりになりました
炉は、半地下炉です
最近の断熱材を使えば、半地下にする必要もなかったのですが、その当時としては省エネだったのです
半地下にすることで、土が保温と断熱の作用があったのです
また、レンガも耐熱煉瓦、断熱煉瓦、ふつうの煉瓦の組み合わせです
直接炎が当たる箇所には、断熱煉瓦を使い
煙突に逃げる熱気も炉の周りを温めながら煙突へ行くように工夫されています
断熱煉瓦は、軽くてすぐに壊れるので煙道の外側に配置します
その外側は、煉瓦で補強します
今の炉の事を考えれば、ややこしい造りです
続く・・・・

ハリの焼き入れ①

2015-01-23 17:23:40 | うんちく・小ネタ
創業明治9年から鮎懸鉤(アユカケバリ)を製造して、今年で138年になります
その間、日本を取り巻く環境は大きく変化してきました
大昔のハリの型には、人の名前が刻まれています
川漁師の希望に合ったハリを、造っていたのでしょう
その種類と数量は、尋常の数ではありません
それらの型の対象とするのは、鮎です
一つの魚種に対するハリの型の多さは、どの魚種にも負けない
こだわりの釣りと言われる所以です
鮎釣りに嵌ると、中々抜けられない
鮎釣り中毒に、皆さん掛かってしまうのでしょう
鮎バリ製造の長い歴史の中で、機械化が進み
ハリも連続して綺麗にできるようになりました
『鮎バリができるのなら、どのハリでも簡単にできる!』
と、言われたことがあります
確かに、軸が細い割にはふところが広い
型も色々の謂れがあって、地域と河川によって異なる
鮎釣りを理解していないと、その型の意味すら判らないと思う
ただ、一河川、二河川の釣行では、鮎釣りをしていても判らない
鮎釣り名人が、講演でハリの型の事を色々と言っているが、的を得た話をされる方は極少数
「鮎バリの命は、何と言っても焼きだ!」と言われる
細軸で、ハリ先が鮎の皮膚に食い込んで少ししなる
しなった反動で、ハリ先が戻って皮膚に食い込む
その後、鮎が逃げようとした反動で、ハリ先が身を貫く
そのしなりを生み出すのが焼き入れなのだ
ただ硬くするだけでなく、粘りも備わっていなければならない
マルト138年の歴史には、その秘めたる手法が伝えられている
現在、多くのハリ屋さんは、ハイカーボン鋼材の材料でハリを造っている
電気炉で熱して、焼入油に投入し、次に焼戻しを熱した油に入れ戻す(焼き戻し・テンパー)
『ハリを電気炉で熱して』と簡単に書いたが、その温度域を保って空気(酸素)に触れない状態で焼入油に入れる
なぜ空気に触れない状態が必要かと言えば、酸素と結合してハイカーボン鋼が脱炭するからだ
それも全体の表面が脱炭するので、その部分が柔らかくなる
ハリ先の先もハリの表面だから、ハリ先が柔らかいハリ・・ハリ先がすぐにダメになるハリとなる訳だ
窒素ガスを使った雰囲気炉だと、その心配は解消?される
今度は、ハリを炉の中に運ぶ方法が問題となってくる
当初は、メッシュベルトで連続して運ぶ方法だった
しかし、ステンレスメッシュを使っても焼き入れ温度が高温なので、ベルトの損傷が頻発に起こった
解消方法として、シェーカー炉が考え出された
これは、テーブルの上にハリを乗せ、テーブルの横を叩くとハリが移動することを利用したものだ
つづく・・・

極意伝授の法則

2014-10-04 12:42:42 | うんちく・小ネタ
ラインの結束は、新しい素材のラインが出るたびに釣人を悩ませる。
自宅で仕掛けを造ってから、フィールドへ行く場合・・
現場のフィールドで結束を余儀なくされる場合・・
前者は、小道具も大道具?も使える。
しかし、後者は簡単な結束でないと中々難しい現実がある。
鮎の水中糸の結束では、金属(複合)ラインとつけ糸、新素材とつけ糸が、極細故に難しい
現場でトラブルと、手直しより交換がお勧め・・・(メーカー祈願)
しかし、釣人は簡単補修を望む!
で、天を仰ぐシーンが見られるという事になる。
ナイロンやフロロラインでは、結束の手間がかからない。
では何故、金属(複合)や新素材の極細ラインを使いたがるのか?
一番は、人より沢山釣りたいという欲望・・と、新しい素材だから釣れるという妄想。
どの河川でもすべて有効だという神話的・希望的妄想論!が、そうさせるのだろう。
ケースバイケースという事を、上手く使い分ける釣人がいる。
その少ない方々が、大会でも上位に入る。
ある雑誌が・・・『その方々が使った仕掛けがこうこうです』という情報を信じ、どの河川でも同じ仕掛けでチャレンジすると???
彼方此方の河川を経験すると理解できるが、マイリバーオンリーの釣人には理解ができにくいと思う。
同じ河川でもポイント移動すれば、仕掛けを切り替える選手は多い。
しかし、最終試合の使用した仕掛け紹介されると・・総て同じ仕掛けで行っていたと思われる。
記事掲載には、スポンサーへの配慮が見られ、スポンサー以外は商品名には、メーカー名は出ない。
あたり前と言えば当たり前だが、こうした配慮(好意)報道があることを念頭に読む解く必要がある。
新聞報道でも捏造報道や誘導報道が昨今問題になっている。
釣りの報道では、同じことでも問題になり難いのか????
そこは、読者が読み解いてもらいたいのだが・・・
記事には極意のように書かれていても、それは一部分の表現であって総てではない事を理解してもらいたい。
私は、「上手くなりたい」という問いかけを、大会役員としてよく受けることがある。
常に言う言葉は、「実際に名人の釣りを見なさい」と話す。
この言葉は、故佐古田修一JFT理事長から教わった言葉だ。
名人と一緒に釣りに行っても上手くなれない。
竿を置いて、名人の何気ない動きを注視することから始める。
釣り上げ方も大事だが、何故そのポイントを見限り移動するのか・・
何故、そのポイントを粘って釣るのか・・
穂先のブレ、オトリへの配慮・・色々と見て覚える事は多い。
『一見は百聞にしかず』
まさに、それが極意伝授の法則と思う。

河川での囮の保管方法

2009-09-29 18:07:20 | うんちく・小ネタ

2009untiku_004 翌日用に河川に囮を沈める場合、突然の大雨で囮缶ごと流されてしまった事がありませんか?

そんな時、重宝するのがペットボトルを使った簡易囮入れ

流されても囮缶よりは・・・

(しかし、紛失した場合は環境に良くないので、気象に注意するのは当然ですよ)

2009untiku_005

作り方は、簡単です

マジックで印を付けた箇所を切ったり、穴を開けたらOKです

囮鮎を入れる際は、フタを上に開けて入れます

ペットボトルの口を上流に向け、入口を下にして沈めます

その際、両側と後ろに石を置きズレしないようにします

両サイドの上に石を乗せたら完成です

マジックのマークは、撮影用に書いたので、実際は目検討で、カット・穴あけをして下さい

鮎の体が接触するところは、少し面(角)を取った方が良いと思います

2009untiku_006

今回、実際に使って「明日の囮はOK・・・と」

(「○○に囮を沈めたよ」と携帯に連絡があり、一抹の不安が・・・)

翌日引き上げに行き、囮缶に移し見たら、鮎のヌルヌルとした体液が全く無くなっていました

又、作るときドリルが無かったので氷を割る道具で穴を開けらしく、内側が大根スリのようにプラスチックが立っていました

また、一つに3匹を詰め込んだので、ストレスで尻尾が半分無くなったり、ヒレの根本が赤くタダレて、病気も発症していました

当然、囮として使えなかった・・・

2㍑のペットボトルなら最大18cmクラス2匹までが限度です

失敗談も今後の為になりますので、あえて書きました・・・・・

?このペットボトルを使った囮の保存方法は、京都のTテスターより実物を頂きました?

?また、公開OKというので、皆様に公開いたします?