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文学や史跡で登場するマチを旅しながら、折々、紹介することを心がけています。

大久保洋子著『江戸の食・現代の食』

2013年11月16日 06時04分29秒 | Weblog
 江戸時代、日本的生活様式なるものが成立したのかと思う。
 江戸幕府が開かれ、日本が世界史につらなる一方、文化の拠点が京坂から江戸、担当者も公家・有力商人から、江戸の商工業者・庶民に移転したと、見てよいのではないか。

 日本的生活様式。
 それは衣食住にわたるが、とりわけ「食」の庶民化は、すこしずつ庶民が人間らしいまっとうな生活を営むことができた点で、注目してよい点であろう。

 『江戸の食・現代の食』。
 この本は、「酒と醤油」「調味料とだし」「鰻と泥鰌」「膳からちゃぶ台へ」「料理屋の誕生と日本料理の完成」「外国食材の流入と日本化」と、それぞれが江戸で普及する分岐点を示す。

 元祖ファーストフード。
 他方で、江戸にはじまり江戸で普及した、そば・すし・天ぷらは「元祖ファーストフード」として、一群を形成する。
 気が短く、仕事に忙しい江戸っ子のために、試行錯誤で誕生したファーストフード。天ぷらは今日にいう強力粉でコロモをつくらざるをえなかったから、「カラリとはあげられなかったはず」と想像する。

 食の大衆化。
 それはたいへんな努力。そのことが行のすみいずみにあふれ、コキミ良い。
 一言、要望しておくならば、いろいろな食の転換点をどこに画くするのか。
 多分、元禄・享保から化政期のあたりにゆきつくのであろうが、そこのところで著者のホンネを聞いてみたい。(日本放送出版協会 2013年)。
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