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文学や史跡で登場するマチを旅しながら、折々、紹介することを心がけています。

「トマリ tomar」=「日本語からアイヌ語に入った『泊地』の意味」(山田秀三説)

2021年12月23日 05時40分48秒 | 旅紀行
 「トマリ tomar」=「日本語からアイヌ語に入った『泊地』の意味」(山田秀三説)。

 今回は檜山郡江差町にある「泊」。
 江差市街と厚沢部 あっさぶ 川の中間にある「入江」が、と山田秀三氏は紹介する。国土地理院地図でみてみると、その名も「泊川」という河川が存在する。

 その名は古く『元禄郷帳』にも出てくるというから、17-18世紀の境界時期にさかのぼる。
 そこで山田氏は「トマリは日本語からアイヌ語に入った言葉で『泊地』の意味で地方の地名に残っているが」と、書く(『北海道の地名』 441p)。
 加えて檜山郡は「北海道の入り口に近い辺であるので、和人もアイヌも共通してトマリと呼んでいたところであろうか」と作業仮説を用意している。

 この「泊 トマリ (アイヌ語発音)tomar」の命名には、アイヌ民族の人々が河川から海岸線に接近してくる背景。
 そうした点を思いめぐらしておく点が需要ではないか。「タバコ」「コンブ」に加えて、「トマリ tomar」も本州交易圏に組み込まれてくる時期との重なりという点を視野におさめておく必要がありそうである。

 檜山郡江差町泊町。
 視点は近距離にある「泊漁港(檜山)」「道の駅 江差」「観音寺」「追分ソーランライン」や「北海道開発局函館開発建設部江差道路事務所」に注目する。

 その前に、アイヌ民族の生活の一部が海岸線に依拠する生業システムの変化、生活様式の変容に着目するということ。檜山郡なら海岸線に寄りつくマコンブの「拾い採藻漁業」や、海獣狩猟を導入した時代を視野におさめて地名を考察することが不可欠ではないか。
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