折り本を作ってはみたものの、これが意外に難しい。写真では分らないが、折り重なった本体が、プロの作った扇や経本のようにきっちり揃わないのである。
折ってある紙を何枚か重ねて貼り合わせていくやり方の折り本ならば、化粧裁ちをすることも出来るからいいのだが、この鳥獣戯画のような場合にはそのやりかたは出来ない。
ロールペーパーのような長い紙に連続して印刷するわけにはいかないから、まず何枚かに分れたものを継ぎ合わせて一続きの画にするわけだが、この場合機械的に繋いでいくのではなく図柄に影響のないようなところを選んで継ぎ目をめだたないようにする。たとえば顔の真ん中に継ぎ目が来ないようにするわけである。
出来上がった長い絵は巻物なら問題ないが、これを折り本にする場合、型紙をあてて一定の長さで蛇腹折りにするのだが、これがうまくゆかないのである。かなり丁寧慎重におっても継ぎ目の貼り合わせ部分の厚い所に折り目が当ったりして、折り目がそろわないからだらしない形に折れてしまうのである。単に白紙を折ったようなものなら、水などを含ませて修正などできるようだが、印刷されたものではそれは出来ない。もちろん化粧裁ちもできないから、そのまま表紙を付けるしかない。
これが折り本を作る際の、ネックになつている。