狩野一信は幕末明治の狩野派の絵師、『五百羅漢図』は東京芝増上寺にある掛け軸。
昨日の『雪華図説』が豆本にしても手頃な作品とするなら、この『五百羅漢図』は豆本向きではない。元が大きな掛け軸のうえに、その図柄が精緻なので豆本ではその細密なところが表しきれないからである。しかしながら絵そのものは全図はめったにお目にかかれないもののようだし、本としても簡単に見られるものではないので、ともかくも豆本に作っておくことにしたわけである。
私が豆本を作る理由は、製本そのものが面白いというだけではなく中身が重要で、作り上げた内容が、貴重なもの、珍しいもので普通の本としても手に入りにくいもの、入手可能でも高価なものだと意欲が出てくるのであり、結果としてそれが一つのコレクションとなっているのである。したがって誰でもが作れるような旅行やペットの写真集などの豆本は作る気はしない。
そのかわり装丁などはありきたりのものなので、外観はごく平凡で同じようなものばかりである。