文章が中心の書物はほとんどが縦長の本だが、画集とか写真集のようなものは横長のものも多くなるのは当然のことであって、豆本とて同じである。
写真は縦長・横長それぞれのゲラ刷りで裏も同様である。これを八つ折りにして綴じたのち、裁断して一丁16ページとなる。もちろん縦長と横長とで折り方は異なるが、2段目(と4段目)は上下が逆になっている。
ところで、木目のように紙にも繊維の流れの紙の目があって、普通は長辺に平行して流れがある。そして本を作る場合には、流れが本の背と平行になるようにするのが原則であるといわれる。従って縦長本・横長本に関係なく紙目は縦にならなくてはいけないのだが、私の豆本の場合、縦長本は横目となって失格である。
しかしこれを原則通りに作るとなると、あり合わせの用紙を用いた場合には自分で裁断し直さなければならぬうえにかなりの無駄も出る。しかも版も新たに作らねばならない。さもなければ紙の専門店に横目の紙を特注して裁断してもらうということになる。それも普通紙ならともかく、両面スーパーファイ紙では無理である。
というわけで縦長本の場合、私は欠陥本をあえて作っている次第である。
もっとも縦長本がすべて欠陥なのではなく、用紙を半分にしてサイズを一つ下げれば、OKなのではあるが・・・。