美人画もいいけれど、風景画もやすらぎを与えてくれる。
民家を描いてきた向井潤吉の画は少年時代から好きであった。生まれも育ちも都会のごみゴミしたところであった自分がなぜこの人の画に惹かれるのかよく分らないのだが、この人の画を観るとほっとする。一見どこででも見受けられるような風景なのだが、いや、それだからこそこの人の画は日本人の「原風景」を描いていて、田舎育ち都会育ちにかかわりなく、心の故郷にもどったように思われるのではないか。
そうはいうものの、大きな画集も所持していても、なかなかそれを開くことはない。それが豆本にしたことでいつでも簡単に観られるようなったというわけである。豆本おろそかにすべからず。