ふむ道,小道,数多く

趣味いろいろ。2014/9に別ブログを合体したので、渾然一体となってしまいました(笑)

Shadowlands (7)

2006-11-07 00:14:31 | ナルニア・C.S.Lewis
Chapter 7:The Lord is my Shepherd, by Gum!
この章は一気にクライマックス? いろいろ興味深い事も書いてあり,読むのが楽しい章でした。

自宅に帰ったジョイを待っていたのはビルの暴力。彼らはついに離婚を決意します。その後ビルはレニーと結婚したそうですが,彼のその後の人生についてはこちら

すっかり"Anglomaniac"(=英国中毒。この言葉気に入ったので思わずメモ(笑))になっていたジョイは,息子2人と新天地を求めてロンドンへ。この章の名前は,離婚後彼女がビルに出した手紙の一文ですが,すみません,意味がわかりません。(汗) きっと聖書からの引用のダジャレ系だと思います。一家は最初はSurrey(ハリー・ポッターが育った所(笑)なので思わずメモ)に住みます。次男ダグラスはすぐにイギリスに解け込みますが,長男ディビッドはちょっと馴染めなかったようです。

ある日ジャックは一家を自宅に招きますが,この時のダグラスのジャックの第1印象がおかしかったので,また(笑)メモです。「8才で,王子様とかドラゴンとかについて描いている人に会ったら,鎧を着て剣を持っていると思ってたよ。でもジャックはそうでなかった。」ちょっとがっかり。でも,彼は廊下の箪笥を見つけます。「この箪笥ってもしかしてあの箪笥?」と聞くとジャックおじさんは「そうかもね!」ダグラスは,その後何年もその箪笥にはコートをかけられなかったのだそう。

ここで,1つ,Wikipediaでさえも指摘されてない,映画の「改変」を発見しました。(^^;) 映画ではダグラスは,ルイス兄弟に出会った時,いきなり「屋根裏部屋に連れてって」と言ってますが,これはもちろん,MN=The Magician's Nephew(魔術師のおい)を意識した物ですね。でも,実際にMNが出版されたのは,その後だったんですね。

ビルは離婚に際して仕送りを約束したのですが,やがて「予想通り」支払いが滞り出します。ジョイの一家はお金に困り,ジャックは自分の家の近くに住むよう提案。

毎日2人で会うようになった彼らについて,ウォーニーも「何が起きるかは時間の問題。」と言いますが,実はジョイもジャックも,1度結婚した男女は離れるべきでないという,宗教的な呪縛に囚われていたと言います。(はぁ,カトリックでなくてもそうなんですね) でも,誰の目にももう「カップル」だったそうで。折も折,ちょうどその頃,ジャックは"Surprised by Joy"(邦題「喜びのおとずれ」)を出版していて,もちろんオックスフォードでは大変な噂になっていたのだそうです。よく見ると,邦題も,また絶妙ですねぇ。(笑)

ジャックとジョイの「友情」が深まるにつれ,ジョイはジャックの著作にアドバイスできるようになります。Till we have Facesという本は,いわゆる「男女間の友情」を描いた話で,ジャックの最高傑作と言われるそうですが,ヒロインのモデル(中年で美人でない)はジョイと言われているそうです。

当時のジョイの暮らしぶりは,ビルからの仕送りも少なくなってますます苦しかったそうですが,ビルに宛てた手紙によれば,ダグはサッカーを楽しんでいる,ディビィはトールキン教授とルーン文字について文通している(!!),ウォーニーはビルの新しい小説を楽しんでいる,‥等等。とりあえずジョイと子供達はイギリスでの生活を楽しめたようです。

しかし,1956年,ビザの更新を拒否され,いよいよ国外追放の大ピンチ。

ここでジャックは,ジョイにイギリスの市民権を与えるという大義名分で,彼女と結婚。単に「市民権の為」だったのですが,周りの目が気になるので,ジャックはジョイの一家と一緒に住む事にします。

ところがここで大事件発生。ある日ジョイは電話に出ようとした途端に骨が折れて動けなくなり,病院に駆け込むと,悪性のガンで既に骨がボロボロと判るんですね。ジャックは,ここから見せかけだけの結婚だったつもりが,本物の愛だった事に気付くわけです。映画はこの辺り原作通りでない部分が多いですが,ジャックの心境の変化をうまく表現していると思います。


うっかり‥

2006-11-05 13:32:48 | ナルニア・C.S.Lewis
Shadowlandsの原作本にほだされて(しかも899円大安売り中だったので(爆)),ついうっかりコレ買ってしまいました。(汗) 引退間近の悪魔のおじさんが若い甥にあてて書いた,悪魔の心得,みたいな書簡集です。字が大きいのでちょっとほっとしましたが,最近,いろいろな原書に慣れてきたとはいえ,宗教関係は(たとえ日本語で読んでも)さっぱりです。(汗) しばらく積読本かな。(笑)

ただ,1つ,とっても注目すべき事がありました。
いつも洋書の最初のページに書かれている,"dedicated to"ですね,何と,

To J.R.R. Tolkien


となっているんですよ!(ホント!)


Shadowlands (6)

2006-11-03 10:31:53 | ナルニア・C.S.Lewis
Chapter 6:Surprised by Joy
さてようやく映画Shadowlandsの始まりに到達(笑)。本はもう半分以上進みましたが。

おそらく当時C.S.ルイス氏は,「魅力的な独身男性ランキング」の常連だったでしょうね。(笑) 実際,彼と結婚するんだと言い出し,ジャックが慌てて彼女の手紙を読むのを止めると,今度は結婚式の日取りまで決めて,自宅まで押しかけたファンもいたそうで。。(爆)

でも,変な人は置いといて(笑),彼はファンレターにはまめにお返事を書いたそうです。中にはほぼ一生文通した人も少なからず。。! うわぁ,優しい~~! ‥‥でも,一瞬,ハリポタ2巻に出てくる,某DADA教師を思い出してしまいましたが→そんで,よく考えてみると,アノ先生も『ファンタジー描き』だし,職業とか,ほとんど『お仲間』だったりするし(^o^;;;;;) 

いやそれにしても,ホントにそういう作家がいるとは,実は思っていませんでした。イギリスでは普通なのかな。(笑) (‥ま,まさか,J.K.ローリング氏,これを読んであのキャラクタを作ったのかっ???) 作家と文通。。。なかなかおしゃれですねぇ~。

‥その文通相手の中に,1人,際立った人がおりました。それはもちろん,ジョイです。残念ながら,手紙は残ってないそうですが(まめだけど,『取っておく』人ではないみたい),ジャックのお兄さんウォーニーまで感心させたそうです。ジョイはまた,ジャックから,きちんとした,それも大変知性の高い彼女のツボにちゃんとハマるような,返事を受け取って,とても嬉しかった模様。

その頃彼は,何の因果か,偶然にしては出来過ぎ,Surprised by Joy(喜びのおとずれ)という,おそらくナルニア以外では1番有名な本を書いておりました。

当時,The Kilnsには,例のあの人,じゃなくて(汗),Moore夫人が一緒に住んでおりましたが,何と,偶然にも,1951年1月,彼女はインフルエンザで亡くなってしまいます。30年位一緒に住んでいたそうです。どうやらこれてちょっとした事ですぐ割り込まれていらいらするような環境から逃れられたそうです。

そんな時ジャックの前にジョイが現れました。ジョイの従姉妹レニーが暴力を振るう夫から逃げてきてジョイ夫妻と暮らすようになり,夫婦関係に悩むジョイは,レニーにちょっと夫と子供を預けて,イギリスを訪問していたのでした。

ジャックとジョイは瞬く間に友達になったそう。ジョイの知性がやはり最高学府のドン,ジャックを捕らえたんですね。また長い間色気も素っ気もなかったジョイは,おしゃれなレニーに出会った事で,ちょっと女らしくきれいになっていました。彼らはクリスマスも一緒に過ごしました。(ウォーニーも)

ただ,ジャックの友達,例えばトールキンは,男同士で遊ぶのが大好きで,女性とか所帯臭さとかを一切オックスフォードの友達との集まりに出さなかったのですが,ジャックはあちこちにジョイと一緒に出現し,お友達を「裏切る」ような形になって参りました。

ここでジョイは夫ビルからの手紙を受け取ります。それはなんと,彼はレニーと真剣に愛し合っている,という物でした。彼女は驚いてジャックにアドバイスを求めます。ジャックは離婚を勧め,ジョイはアメリカに帰る事になります。。。


Shadowlands (5)

2006-11-03 00:46:19 | ナルニア・C.S.Lewis
Chapter 5:And God Came In
ジョイの共産党での仕事は,同人誌?New Massesのまとめ(どうも私のボキャ貧でうまく表現できません,違ったらゴメン)で,あまり面白い物ではありませんでしたが,彼女は書く事にかけては才能を持っていました。1939年,彼女はチャンスを得て,ハリウッドにやってきます。当時のハリウッドは1つの黄金時代だったそうで,MGMなんか週に1回は映画をリリースしていたらしいです。「チップス先生さようなら」とか「ハックルベリー・フィンの冒険」「オズの魔法使い」「風と共に去りぬ」等。。。(このタイトルの選び方,いかにもシブリー氏の好みっぽいな(笑))

ジョイは脚本家になる事を夢見て原稿を提供するのですが,全然成功しません。まあ,今もハリウッドの体質は変ってないと思いますが,彼女のような真面目な物書きには,向いてなかったんですね。

失意のままニューヨークに戻ってNew Massesの仕事に戻った彼女は,しかし,今度はそこでハリウッドでの経験を生かして,映画の超辛口レビューで大好評を博します。人生って面白いですねぇ。(笑) でもマルクス兄弟の映画は皆好きだったそうで。(汗)

1940年に出版されたジョイの小説,Anyaも大好評。彼女は「アメリカ作家連盟?(League of American Writers」に加盟。この組織は,帝国主義,ファシズム,狂信的な愛国心,マイノリティへの迫害,ブルジョア的思考,などなどへの抵抗をする組織だそうです。

‥‥10年前に読んでいたら,読み流す所でしたが,1940年頃と言えば,まだアラバマ物語もカッコーも出版される前。当時のアメリカでこんな事をするには,相当勇気と覚悟が必要だったでしょうねえ。

この頃,ジョイは共産党で戦争反対の詩を描いていた,ビル・グレシャムに出会います。彼はとても知的でハンサムな人だったそうですが,両親の離婚等が原因で,ひどく情緒不安定で,精神が異常正常のすれすれで,一時自殺も考えた事もあるような人。一体どうしてそういう人と結婚したかというと,何か野性的な所とか,守ってあげたいとか。。。。う~~む,ジョイのようなしっかりした人がハマるタイプですね。。。(汗)

彼らの結婚生活は,貧困と,彼の飲酒癖と放浪壁に悩まされます。ジョイは少しでも状況を改善しようと,子供(ディビッドとダグラス)を持ちますが,ビルは2人の赤ん坊に執筆活動を乱され,浮気に走ります。そんな時,ジョイはC.S.ルイスの本に出会います。特に悪魔のおじさんと若い悪魔の話,The Screwtape Lettersは彼女のイマジネーションを刺激。

そんな折,ジョイは「神を見ちゃい」ます。それはビルがニューヨークに出かけ,ボロボロの精神状態に陥り,彼女に電話で助けを求めた時。夫を心配するあまり,彼女は部屋に誰かいたような気がしたそうです。ようやくビルは無事に帰ってきますが,その話があってから,夫婦は共産党の仕事をキッパリやめ,キリスト教に改宗。少し安定した夫は,小説Nightmare Alleyを書き上げ,映画化され,彼らはちょっと小金持ちに。でも彼の精神の安定は続かず,浮気しまくり。今や敬虔なクリスチャンになったジョイを苦しめます。


Shadowlands (4)

2006-10-29 19:26:54 | ナルニア・C.S.Lewis
4章は「Forbidden Joy」
ジャックと結婚する事になる,ジョイという女性のお話です。
ジョイは1915年,ニューヨーク生まれ,今回初めて知ったのですが,両親は,お父さんはポーランドから,お母さんはウクライナから,家族でアメリカに移民してきたユダヤ人で,ジョイはアメリカで生まれた最初の世代になります。で,これも今回初めて知ったのですが,彼女のお爺さんは,説教中に肺炎で亡くなったというほどの敬虔なユダヤ教信者だったのですが,お父さんの代で,ユダヤ教を捨て,無神論者になってしまいます。また,当時,こういうユダヤ系家族はごく普通だったようです。

無神論者って,本来とてもまじめな宗教の信者なのに,ある日神を信じられなくなって辞めてしまった人と,元々宗教的バックグラウンドもなく育った人達(私も含め多分多くの日本人みたいな)と,2種類に分かれますが,ジョイの親の代は前者,ジョイ自身は後者だったと言います。

そーいえば,ニューヨーク出身の有名なユダヤ系アメリカ人と言うと,きっと一杯いるけど,ふと思い出したのは,1960年代に活躍したサイモン&ガーファンクル。彼らは,えーと,2人とも,1941年生まれですか。これはジョイの子供世代に当りますねぇ。なるほど。彼らの歌は,ユダヤ系という事を全然連想させない,全くアメリカっぽい歌だと思ったのですが,親の代にそういう事情があったんですね。これもなかなか勉強に。。

ジョイが育った当時のアメリカは,大恐慌の真っ只中でしたので,彼女の家も経済的に大変で,電車賃もろくにもらえなかったそうですが,動物大好きな彼女は,よく何時間もかけて歩いて動物園に出掛けたのだそうです。夜にナイショで出掛けた事もあるとか。(当時は治安大丈夫だったのでしょうかね?)

ジョイのお父さんはとても厳格で,ジョイと,4つ下の弟ハワードをしょっちゅう殴っていたそうです。(汗) お母さんはとっても神経質で,友達との付き合いを制限されたとか。またジョイは貧血持ちで病弱でした。で,彼女は無類の読書好き。小さい時にいろいろな本を読破し,中にはジャックの愛読書だったという,ジョージ・マクドナルドの,Phantastes(右)という本も。(こ,この挿絵ちょっと心霊写真ぽくて怖いなあ~(笑))

彼女はそのお陰でいわゆる「○ビ・○ブ・○ガネ」(ネットでこの言葉をフルに書くのは気が引けます(汗))という,モテない女の子の典型に。しかし彼女の知性は素晴らしく,I.Q.は150だったそう。弟さんも高いI.Q.を持っていて,後にマンハッタンで高名な精神科医になったそうです。頭の良い家系なんですね。後でオックスフォードのドンと言われた男を虜にしたのは,きっとこの知性と,眼鏡の後ろに隠れた,ウクライナ系の美貌ですね!

彼女は反抗期になると,親を言い負かす程頭の良い子になり,同級生は彼女を「Forbidden Joy」と呼んで,彼女の親との戦いの話を聞いてました。

ジョイは大学(コロンビア大学)を卒業すると,ホントは物書きになりたかったのに,親の意向でまず先生になりますが,ほどなく,彼女はバセドウ病を病んでしまいます。この時の治療のために放射線を使った事が,後のガンの原因になったとか。。。

しかし,高校時代に目の前で飛び降り自殺を見てしまったり,当時のアメリカは希望とは程遠い国で,また大変な読書家であった事から,無意識のうちに結構キリスト教の影響も受け,そんな彼女が思ったのは,「人を助けたい!」 しかし知性が高い彼女がまず目指したのは,‥共産主義だったそうです。

彼女は教師を辞め,物書きに専念するとともに,共産主義にも専念していきます。
ところで,当時彼女が描いた話とは,バプテスト派の男性と結婚しようとしたユダヤ系の女性の話(結婚式の当日に彼女の家族が駆けつけてこっぴどく叱られ,男性の家族に冷笑された)とか,アメリカに希望を求めたロシアのユダヤ系女性とか,何か,後の彼女の運命を予言しているようです。


エクステンデッド・エディション出ますよ~~

2006-10-28 00:17:24 | ナルニア・C.S.Lewis

巷でちっとも噂になってないので,ちょっと心配になってしまいましたが,「ナルニア国物語 第1章:ライオンと魔女」エクステンデッド・エディション日本版出ますよ~~!
私は通常版を英国版で買ったのですが,LOTRの時と同じように,エクステンデッド・エディションは,ちょっと高いけど,日本版にする事にしました。駅でお母さんがルーシーを抱きしめるシーンがきっと入っているだろうと期待しております!

追記:「※2007年1月末までの期間限定出荷。(ただし、在庫がなくなり次第、出荷は終了致します。) 」なんて書いてあるので,買う気のある人は,お早めに!


Shadowlands 感想(3)

2006-10-27 22:13:21 | ナルニア・C.S.Lewis
(げっ,前に書いた時から1ヶ月経ったのね(汗))
今日は3章「The Middle-Aged Moralist」です。この本に興味を持つのは,C.S.ルイスかトールキンのファンという方が殆どだと思いますが,そういう皆様に取って最も興味深い章ではないかと思います。しかし,それにしても,難しかったぜ! キリスト教の話なんぞは,別にキリスト教徒でなくても簡単に読めるご都合主義のDa Vinci Codeとは全然違いまっせ。

3章の最初のページに,1942年にBBCのラジオに出演して,キリスト教徒の信じるべき物について熱く語るC.S.ルイスの様子が語られます。その「熱さ」は半端ではなかったようで,"bombard"(爆撃する)みたいだったそうです。(笑)映画Shadowlandsでは,講演会で"bombard"するジャックの姿が観れますよ。(これがホントに熱いのよね,写真で見る,あの穏やかな風貌からはと~ても想像できません(笑))

で,彼は特にキリストの高潔さに感銘を受けたようです??

‥いや,ついついトールキンを思い出してしまって。。LOTRには,「素晴らしい自己犠牲」の話が一杯ありますが,ジャックの影響も少なからずあったのでしょうねぇ。。

ちょっと脇に逸れてしまいました(汗)

彼がキリスト教に戻ってきたきっかけは,1929年,彼の父親が亡くなった事だったそうです。(お母さんが亡くなってキリスト教を捨て,お父さんが亡くなって戻ってくる‥‥)

ジャックはその頃オックスフォード郊外に家を購入。The Kilns(窯)と呼ばれるその家は,映画Shadowlandsに出てきますね~。(ホントにレンガ等を焼く窯があったそうな)で,すっかり落ち着いた彼の学園生活はその後どんどん充実。友達を増やし,学生達に慕われ,

‥ただ,あまり格好に構わない人だったそうですよ。つぎはぎのスーツに潰れた帽子はトレードマークになったそうです。教室で臆面もなく学生に時計を借り,脱線も計算のうちの講義は45分きっかり,質問も待たずにさっさと教室を退室。(あ~いるいる,こういう教授(爆)) そんな彼が特に大好きだったのは,アレゴリー趣味ばっちりな,中世の愛の詩だったそうです。

そしてたくさんの友達の中に「例のあの人」(笑)がおりました。リーズ大学から戻ってきたトールキンと,最初は,アイスランドの小説の朗読会で知り合ったのだそうです。彼らは意気投合して,ご存知,Inklingsというグループを作り,毎週火曜の午前中にEagle and Childというパブで,木曜の夕方にはジャックの研究室に集まったのだそうです。

しかしジャックは,Inklingsのメンバーの中では,とっても宗教的なファンタジーを描く,チャールズ・ウィリアムズという人に1番影響を受けたのだそうですよ。1945年に突然ウィリアムズが亡くなった時には,とても悲しんだそうな。

さて,ますます宗教的創作に意欲を燃やすジャックですが,まずはキリスト教を理解しない日本人には「超~難しい」と言われるSF3部作。そして,少しずつ有名になって参ります。彼は次第に,マニアックなキリスト教徒達の人気者になっていきます。でも,トールキン等,お友達は,ちょっと行き過ぎでないの?と心配するようになります。

そんな折,1940年,彼はついに決定版,「Screwtape」という本を出します。年老いて引退する悪魔と,これから仕事を始める若い悪魔のお話だそうですが??,これが,アメリカではある女生徒がこれを持っていた為に退学になったなど,物議を醸すような(現代でいうとハリポタみたいな?),彼の今までの人生で1番のベストセラーになったのだそうです。そして1945年には「Miracles」を出版。

しかし彼に,いよいよ,本当の「ミラクル」が起きる日がやってきます。

彼は,今までの自分のラジオ講義や著作での表現は,わざとらしくて,イマイチ感を感じていましたが,ここで彼は,「おとぎ話」を描いてみよう,と思い付きます。おとぎ話なら,自分の言いたい事が何気に描けそうだ! そして,例の「16才の時に頭に浮かんだ,『Faunが傘差して荷物を持って雪道を歩いている』の絵を,話にしてみよう。」を思い付くわけです。(アノ話だって十分わざとらし‥‥,し~~~~っ;)

そしてできたのが,LWW,(The Lion, the Witch and the Wardrobe)。Aslanは,ジャックの憧れキリストの姿を,わかりやすく表現した物でした。

彼はこれをトールキンに読み聞かせたのですが,反応は,イマイチ。トールキンは,話をきちんと作るより,あからさまに何かの効果を狙ったような描き方が気に入らなかったようです。

トールキンにフラれたジャックは,誰か本をチェックしてくれる人を探します。最初に出会ったのは,当時学生だったRoger Lancelyn Greenという人でした。後にマートン校の図書館長になる彼は,LWWのお話を聞いて,心配そうにしているジャックに,「これは素晴らしいです。畏敬の念すら感じますよ。」と言います。

で,本は瞬く間に大成功。また,ジャックはトールキンのFarmer Giles of Hamの挿絵が気に入り,それを描いたPauline Baynesに本の挿絵を頼みました。


Shadowlands 感想(2)

2006-09-29 01:09:54 | ナルニア・C.S.Lewis
2章は大学時代のお話です。この章もまたまた盛りだくさんです。Kirkpatrick先生の薦めもあり,ジャックはオックスフォード大学へ進学。数学がニガテだったようですが,とりあえず合格。ところがここで第1次大戦。日本で「戦争」と言うと第2次大戦を指しますが,イギリスでは「The Great War」と言えば,第1次大戦です。ともあれ,彼は大学に通いながら戦争に参加する準備をします。(ウォーニーは既に前線で戦っていました) で,ここで彼はPaddy Mooreという友達を得ます。彼は,オックスフォードでお母さんと妹と一緒に暮らしていました。ジャックは何故か当時40代だったそのお母さんととても仲良しになります。

ジャックのお父さんとの関係は,お母さんが亡くなって以来,ちょっとぎくしゃくしていたのだそうです。手紙を送っていたようなので,特に仲が悪かったのではないようですが,何と言いますが,お父さんは,頭が悪いわけではないとの事ですが,何かとても物事を理解しにくい人,だったようです。という事なので,Paddyのお母さんとの不思議な付き合いについては一切言わなかったそうです。出征の日,ジャックはお父さんにやや遠回しな表現でその事を知らせますが,結局お父さんは状況を理解してくれず,見送りには来なかったそうです。

戦争にはPaddyと一緒に行き,ジャックは幸か不幸か体調を崩して病院行き,そしてPaddyは帰ってきませんでした。その為,ジャックは彼のお母さんとその後長く付き合う事になります。

戦争後,ジャックは手始めに書いた小説で小さな成功を収めたそうです。大学ではよい成績を修め,そして教職ゲットサバイバルに生き残り,いよいよ教鞭を取る事に。

この頃,ジャックは教会に通う環境で育ったにも関わらず,無神論者だったのだそうです。しかし,ある時突然,キリスト教の教えに目覚め,熱心な,というか,熱狂的な信者に変わります。何でも,元々「自己犠牲話」が大好きだった彼は,キリストの話だけはホンモノだ~!と思い込み,一気にのめり込んで行ったとか。

当時の彼の友達は,何故かキリスト教と深く関わる人達ばかり。そしてその中には,もちろん,リーズ大学から,アングロ=サクソン言語の教授として選ばれ,オックスフォードに戻ってきたあのおっさん(笑)も混じっておりましたよ。ジャックは,おっさんと,神話からキリスト教に至る歴史について心置きなく語り尽くしたそうです。

ウォーニーは当時を振り返り,この頃のジャックの変化は,小さな時の,宗教を強制された事によって陥った病気からの,ゆっくりした快方,と,言っているそうです。。

。。。う~ん,だから,難しいって言ったでしょ(笑)


Shadowlands 感想(1)

2006-09-26 02:02:18 | ナルニア・C.S.Lewis
‥しかしとりあえず読んだ分は感想書いておきましょう。
著者は,ブライアン・シブリー。ご存知の方も多いと思いますが,BBCラジオドラマ版のLOTR,ナルニア,ゴーメンガーストを手がけた人です。その他LOTR映画関係,ナルニア関係,ディズニー絡みの著書多数。公式サイトリンクしちゃったけどいいかな;なかなか素敵なオジサマです。実はまめにブログも書いていらっしゃるようなので,英語の勉強に,どうぞ!

で,このように,子供向け,でもないけど,若い人向けの本の関係著作が多いので,易しいかな~と思ったら,甘~い!(笑) 結構難しいんです。

以下,本の内容に触れます。

まず,プロローグは,ジョイの葬式から。喪主は,ちょっと風変わりな4人の男達,年取った兄弟と,若い兄弟,皆ジョイを愛していた,という所から始まります。

1章は,C.S.ルイスの子供時代の話。この辺りは映画には出てきませんが,いろいろ勉強になります。ルイス一家はアイルランド人で,これは有名ですが,ジャックの本名はClive Staplesですが,決して本名で呼ばれた事がない事,兄はWarren Hamiltonと言いますが,ウォーニーと呼ばれていました。2人は仲良しでいつも自宅の屋根裏部屋で一緒に想像の世界を楽しんでいたのだそう。しかしお母さんが40代でガンで亡くなり,彼は魔法を信じなくなったのだとか。学校にはなかなか馴染めず何度か転校しましたが(何でも小学校の先生が超恐ろしい先生で,結局精神病院に行ったとか。。(汗)),ある時Kirkpatrickという先生に出会いそこから勉強が大好きになったのだそうです。で,何かどっかで見たようなスペルだなあと思っていたら,この先生が,Digory Kirk教授のモデルだったのだそう。

イギリスの学校の先生というのは,ハリポタ読んで以来ずっと思っているのですが,いい先生にしろ悪い先生にしろ,とてもユニークな存在ですねぇ。。(まあトールキンもC.S.ルイスもその範疇ですが(笑))

またある時,お隣のアーサーという少年をお見舞いに行った事がきっかけで,一生の友達になったのだそうです。余談ですが,西洋にはご近所さんが病気になると,子供がお見舞いに行って話し相手をする,という習慣があったのですね。そういう話を若草物語とかアラバマ物語で見た覚えがあります。

という事でまだ1章しか読めていませんが,なかなか盛りだくさんでした。


Shadowlands本

2006-09-24 14:46:14 | ナルニア・C.S.Lewis
英国版ですがDVDを買って以来,ちょっとマイブームになっているShadowlands。ブライアン・シブリー著の原作本も買ってみました。170ページぽっきり。(え~と,amazonのページには何故か96ページと書かれていますが,間違いです(汗))

コレ位の本は週末に軽く読める位になりたいねぇ~と思いましたが,せいぜい17ページだなっ;(笑) 読み終わる事ができたら感想を書きたいと思います。

ちなみに,背表紙は,ゆったりくつろぐジャックとジョイです。本物のジャックは映画のジャックに超そっくり。アンソニー・ホプキンズいい仕事しましたね~。編み物をしているジョイは40代で亡くなっているので,この写真は40代のはずで,年齢より年取って見えますが,リラックスした感じがいいですね。

まだAliceも途中なんですが(汗)‥

追記:あっ,ちなみに,週末に軽く読める(笑)日本語版が欲しい方は,こちら永遠の愛に生きて(中尾 セツ子訳)からどーぞっ!

もう1つ追記:いろいろ調べると出てくるもんで,Shadowlandsにはさらにもう1つ原作がある事がわかりました。こちらは,ジョイの息子ダグラスが描いた,子供時代の話。この表紙の写真が,上に説明したのと同じものですので,興味のある方は拡大してご覧を!

こちらは,上の本を読み終わったら考えてみようかな。


Run!Run!Run!