日系オンラインが中国は2020年台湾を武力統一する可能性があると報じていた。
米国系大手ホテルチェーン・マリオットインターナショナルは、台湾を「国扱い」したことを中国に謝罪した(写真:AP/アフロ)
習近平政権がいよいよ台湾統一にむけた攻勢を強化してきた。たとえば、年明けから中国に進出する外資系企業に対する“踏み絵”を踏ませている。マリオットホテル、米デルタ空港、スペインのアパレル大手ZARAなど、中国に大きな市場をもつ外資系企業に対し、台湾、香港、チベットを「国扱い」していることに対して、謝罪を要求し、今後国扱いさせないことを確約させているのだ。台湾と中国の統一世論を国際社会に誘導させようというのが狙いだが、巨大市場を失いたくない中国進出企業は次々と、中国の狙いどおり、謝罪し、「中国の分裂を支持しない」ことを表明。年初に香港英字紙サウスチャイナモーニングポスト上で、華人政治評論家の鄧聿文が、中国に2020年に武力統一を実現する計画があることを指摘しているが、その目標にむかって、国際環境を整えに入っているという見方もある。
また解放軍の台湾に対する圧力自体も高まっている。2017年、中国戦闘機が台湾海峡の中間線を越えてきたのは少なくとも20回、2016年の8回の倍以上。また今年になって、中国の民間航空局は、台湾との事前協議なしに、一方的に台湾海峡の中間線より7.8キロしか離れていない民間航空路線の使用を開始、これは明らかに台湾に対する威嚇でもある。昨年は、台湾人NGO職員李明哲が政府転覆容疑で逮捕された事件もあった。
これまで曖昧模糊としてきた台湾統一のタイムスケジュールは、第19回党大会の“新時代”目標の一つとして“祖国統一”の実現が打ち出されたことではっきりしてきた。習近平の計画では2050年ごろまでに中華民族の偉大なる復興を実現するということだが、そのためには遅くとも、次の台湾総統選が行われる2020年までに台湾をコントロール下に置かねばならない。台湾統一以前に、“復興”などありえないからだ、という。
さらに、習近平政権は武力統一計画を進めるつもりだという。その要因は、台湾独立派のパワーが以前より高まってきたこと。この数年、経済を切り札に台湾人を取り込もうとしてきたが、むしろ両岸関係は悪化し、台湾人の中国に対するアイデンティティはむしろ淡化の傾向にある。また、たとえ国民党が再び政権に返り咲いたとしても、中台統一を指導するだけの力量はなく、中国人自身が台湾に対する武力統一を望みはじめたこと。政権は表面上、平和統一をスローガンとしているが、事実上、すでにこの理念は放棄している、と指摘している。
2020年というのは、中国が二つの100年計画の一つ「小康社会の全面的実現」目標の期限である建党100周年の2021年より一年前であり、もしこの時点で台湾統一が実現できれば、習近平政権にとっては長期独裁を全党および人民に納得させるだけの効果を持つ歴史的偉業となる。さらに、今は中国に比較的融和的にみえる米トランプ政権だが、昨年末に中国とロシアに対する定義を「戦略的ライバル」とする国家安全戦略を公布し、台湾との緊密関係を維持する姿勢を改めて打ち出したことを受けて、中国としては武力を使ってでも早期に台湾統一計画を実現する必要がある、と考えたかもしれない。
執政党としての正統性や軍の求心力がゆらぐ習近平政権が、そのパワーを回復するために“手ごろな戦争”を行う可能性はかねてから指摘されていたが、米国が北朝鮮問題で中国の協力を要請しているうちに、台湾統一を一気に進めるという考えは十分にありえる。そもそも、北朝鮮の核武装自体、江沢民政権が関与していたと見られているが、その動機は米国と台湾問題で駆け引きに使うためであったという説がある。こうした武力統一論を盛り上げることで、台湾を威嚇する一方で、国際世論の圧力を利用して台湾に“無血開城”させようということかもしれない。
さらには、台湾が“平和統一”であれ“無血開城”であれ“武力統一”であれ、中国の一部となってしまうと、次に脅かされるのが日本の領土、尖閣であり沖縄である、という事は忘れてはならないだろう。価値観を共有する台湾の“民主主義国家”としての存在が、日本の安全保障に不可欠であるということも忘れるべきではないと説く。
尖閣諸島の監視も今までは海上警察が行っていたのが、解放軍の責任となり、潜水艦、ステルス戦闘機、軍艦で監視を行っているし、南沙諸島の岩礁を軍事基地化したのを見ても、武力攻勢はともかく、台湾併合を行うのではなかろうか?