F-150ライトニングの希望小売価格は3万9974ドル(約435万円)から。航続距離は230マイル(約370km)で、大型バッテリーを搭載した場合は300マイル(約482km)の走行ができる。発売は22年春の予定だ。モーターは2台搭載。

 フォードのビル・フォード会長は「(F-150を含むピックアップトラックの)Fシリーズは44年間にわたり米国で最も売れているトラックだ。米国全土の労働のバックボーンであり、複数世代の顧客から信頼を集めるアイコンだ。それを新しい世代のために大きく変革させている」とコメントした。

 

 F-150ライトニングの発表に合わせてバイデン米大統領をミシガン州にある工場に招き、試乗してもらったことからも、フォードの力の入れ具合が分かる。「自動車業界の未来はEVにあり、後戻りすることはない」。こう述べたバイデン大統領は、「米国で車を造り、米国のサプライチェーンを構築していく」と強調した。30年代半ばに温暖化ガスの排出量を半減する目標を掲げるバイデン政権が、EVへの移行を促す姿勢をさらに鮮明にした格好だ。

 フォードはF-150ライトニングの発表とともに韓国SKイノベーションと車載電池の合弁会社を設立すると発表。米国に工場を新設し、EVに必要な電池を自国内で確保する戦略を打ち出した。

ミシガン州にあるフォードのEV工場を視察したバイデン米大統領(写真:AFP/アフロ)

 F-150を含むFシリーズはフォードにとって経営の根幹だ。米オートモーティブニュースによれば、米国におけるFシリーズの20年の販売台数は約80万台。フォードの北米地域における販売台数の約4割を占める。米国で根強い人気を誇るピックアップトラックは、小型車よりも利益率が高い。リーマン・ショック後に業績が悪化した時期を下支えしたのもFシリーズだった。