ロシアの主要都市では、インドで初めて発見された新型コロナウイルスのデルタ株の感染が増える中、死者が急増しており、当局は感染抑制に向け規制を強化している。
同国のコロナ対策本部によると、過去24時間に確認されたコロナ関連の死者は548人となり、2月以来の高水準を記録。モスクワで88人、サンクトペテルブルクで93人とそれぞれ過去最多となった。
モスクワのソビャニン市長は、新規感染のうち90%がより感染力が強いデルタ株によるものだとし、市の医療システムは「能力の限界に近づいている」と述べた。
<iframe id="RM1D3OP" width="0" height="0" frameborder="0" marginwidth="0" marginheight="0" scrolling="no" allowfullscreen=""></iframe>モスクワは今週、バーやレストランをワクチン接種済みか過去に感染して免疫を持つ市民のみに利用を限定する規制を導入。また、ワクチンを受けていない人は、緊急以外の病院での治療は拒否されることになる。
ナショナル・ジオグラフィーも、『コロナのデルタ株は「非常に危険」 警戒強める一方の専門家ら。伝播しやすいうえ、入院リスクはアルファ株の2倍という報告も』と解説している。そして、デルタ株は現在、世界70カ国に広がり、インド、英国、シンガポールにおいては最も優勢な株となっている。先週、英国での新たな感染例の90%以上がデルタ株となり、5月1日以降、新規感染者が急増した。この状況では、東京五輪、無観客開催でも、むづかしいかも。
2021年5月12日、家庭で行う新型コロナウイルスの迅速抗原検査を実演してみせる英国の小学生。英国の子供たちは、学校に通うための条件として、毎週この検査を2回受け、結果を所定のポータルサイトにアップロードすることが義務付けられている。(PHOTO ILLUSTRATION BY MATT CARDY/GETTY IMAGES)
米国のワクチン接種ペースが低下し、その他の国々がワクチン確保に苦心する中、3月にインドで初めて確認された新型コロナウイルスのデルタ株が、死者数を劇的に増やすのではないかと公衆衛生の専門家らが警戒を強めている。 デルタ株は現在、世界70カ国に広がり、インド、英国、シンガポールにおいては最も優勢な株となっている。先週、英国での新たな感染例の90%以上がデルタ株となり、5月1日以降、新規感染者が急増した。
デルタ株は英国で最初に発見されたアルファ株(従来株より約50%伝播しやすい)と比べて、さらに60%広まりやすいとされている。「これはスーパースプレッダー変異株であり、そこが厄介なのです」と語るのは、米スクリプス・トランスレーショナル研究所の創設者で所長のエリック・トポル氏が指摘するには。
<iframe id="google_ads_iframe_/54271731/NNG/teads_0" title="3rd party ad content" name="google_ads_iframe_/54271731/NNG/teads_0" width="1" height="1" frameborder="0" marginwidth="0" marginheight="0" scrolling="no" data-google-container-id="1" data-load-complete="true"></iframe> デルタ株は免疫系から逃れられる特徴を有しており、南アフリカで最初に報告された、これまで最悪の回避能力をもつと言われていたベータ株(B.1.351)を上回ると考えられるという。「そのうえ、これまでに確認されたものの中で最も伝播しやすいのです。これは非常に良くない組み合わせです」
デルタ株はなぜ恐ろしいのか
コロナやインフルエンザなどのウイルスは、RNAという分子に遺伝情報を記録しており、それが人間の細胞内で複製する際に生じるコピーエラーによって頻繁かつランダムに変異する。突然変異の中には、ウイルスが抗体を逃れるようにするものや、細胞に感染する能力を高めるものもあれば、何の利益ももたらさないものや、ウイルスを弱体化させてしまうこともある。
デルタ株から見て「成功の鍵」となるのが、新型コロナウイルスの周囲を覆うスパイクタンパク質に起きたいくつもの変異だ。これらのせいで、既存の抗体の一部が以前ほど強く結合できなくなったり、結合回数が減ったりすることがあると、ドイツ、ライプニッツ霊長類研究所の感染症生物学者マーカス・ホフマン氏は説明する。
ホフマン氏らは、デルタ株とその近縁であるカッパ株が、過去の感染やワクチン接種によって生成された抗体を回避することを、5月5日付けで査読前の論文を投稿するサーバー「bioRxiv」に発表している。論文によると、抗体治療薬の中には、バムラニビマブなどデルタ株を中和できないものもあったが、エテセビマブ、カシリビマブ、イムデビマブの効果は保たれていた。