明日は明日の風が吹く

60にしておひとりさまに。
この先、どんな人生になるのやら?

NHKスペシャル 「老衰死」

2015-09-21 | ひとりごと

昨日放送された NHKスペシャル「老衰死」


都内の或る特養にて、
まさに今、自然のままに死にゆくかたに密着取材したものだった。

医学の進歩でなかなか死ねなくなった今、
延命治療せずに自然に死ぬとはどういうことか、
死にゆく人は苦痛を感じているのか、
その時、家族はどう感じるのかetc

興味深い内容だった。


老衰死の定義ははっきりしていないそうだが、

食欲があって食事をしても体重が増えない=細胞が栄養を吸収しない

やがて食事量が減り、だんだん食べ物を受けつけなくなり、
寝ている時間が増え…

というパターンだそうだ。


この施設の医師は元外科医で、
以前は病気を治し、患者を生かすことばかり考えていたが、
施設に来て老衰による死をみて、
今では延命治療に頼らない穏やかな死を迎えてもらう取り組みをしているという。



私は8年ほど老健で働いていたので、数人のかたの最期の時に居合わせた。
(老健も今は看取りが出来るようになった)

その時のことを思い出した。

自然に亡くなられるまでの1週間ほどが、ご家族にとっては気持ちを整理する時間、
大抵のご家族は覚悟は出来ておられたが、中には家族間で意見が割れることもあった。
一カ月以上も意識の無い状態が続いたかたもおられた。
お別れまでに時間があるので、ご本人の好きだった浴衣をご家族が持参され、
それを着て旅立ったかたもおられた。
遠方からの縁者のかたも間に合った。





私の父は慢性心不全で亡くなったが、
病院での最期だったので、どうしても治療が施された。
最後の数か月は中心静脈栄養で生かされ、
薬の副作用か、一晩で胃に穴が開き、
輸血をしても下血するという、ザルで水を汲んでいるような状態、
採血につぐ採血で、ヘモグロビンの値に本人も家族も一喜一憂し…

「なかなか簡単には死なせてもらえんな」

精神的にも辛かったことだろう。

最期の数日も呼吸苦があり、意識はないのに手足をバタバタさせていた。
医師は単なる筋肉の反射で、本人の意思によるものではないと言っていたが…。
施設で見た穏やかな死とは全然違って、ショックだった。




老衰死では、亡くなる数日前から本人は苦痛を感じていないという。

体のあらゆる機能が徐々に停止していくイメージ。
食べられなくなり、排泄できなくなり、痛いも辛いもなくなり、
意識がなくなり、呼吸できなくなり、眠りながら…
私もこんな死にかたをしたいものだが、
こればかりは自分の思い通りにならないから困ったものだ。


でもこの番組を見て、私は少しだけ死ぬのが怖くなくなった。



再放送…9月23日(水)0:10~(22日深夜)