明日は明日の風が吹く

60にしておひとりさまに。
この先、どんな人生になるのやら?

とっさに動けなかった (・・,)

2018-12-27 | ひとりごと

駅へ向かう道でのこと。

横断歩道で信号待ちをしていると、
向こう側で待つ人の中に、そばの柵にすがって片膝ついている女性がいた。
年のころは70代後半~80代前半ぐらいか。

あれ?気分が悪いのかな?

信号が青になり歩道を渡った私は、「大丈夫ですか?」と声をかけた。

「大丈夫です」
女性ははっきりとした声で答えて立ち上がり、歩道を渡り始めた。
が、どう見ても大丈夫じゃなさそうで気になり、振り向くと、
2,3歩歩道に入ったところで倒れていた。

大変だ! 歩いていた数人が駆け寄った。
信号待ちをしていた先頭の車からも男性が降りてきた。

女性は蒼白な顔で失神しているようだった。

その男性は女性に何度も「大丈夫ですか?」と声をかけ、
応答がないと見るや、同乗の女性に「救急車!」と叫んだ。
同時に、周りにいた私たちに「AED! AED!」と叫んだ。

私と、中学生ぐらいの娘を連れた女性は顔を見合わせ、
「どこにあるかなAED?」「この辺にはないですよね」
ほかの数人も顔を見合わせてキョロキョロするばかり^^;

もう一台の車からも男性が降りてきて、
先の男性と二人で、女性の体を少し脇へ寄せた。
先の男性は、「気道確保しないと」と言って、
女性が背負っていたデイパックを首の下に入れた。

通報した女性は、現状をてきぱきと伝えていた。

どこに行けばAEDが?・・・周りは道を挟んでマンション群、
面しているのは某企業の研修所の庭で、入り口はずいぶん向こうだ。
反対側は高速道路の高架、
その先にまた一つ信号を渡ればコンビニがあるが、AEDはある?
いっそ自分のマンションまで戻ろうか。時間かかるけど確実にある・・・

などと思案しているうちに、
男性は上着を脱いで腕まくりをした。心臓マッサージの準備?
その時、女性はうっすらと目を開けた。あぁよかった、目を開けた。
男性は「聞こえますか? 聞こえてたら左手握って」
と女性の手を取りながら声掛けをしていた。

よかった、どうやら意識が戻ったようだ。ひと安心。

最初に声をかけた私は救急車が来るまでここに留まるべきか?
あの男性がいればもう大丈夫だよね?
何もできなかった私がいてもしょうがないか。
あのとき声掛けだけじゃなくて一緒に歩道を渡っていたら、
そしてそのとき倒れられたら・・・
私はどうしていただろう・・・いろんなことを考えた。

結局、先を急いで私は駅へ向かったが、
救急救命の講習を受けたのに何も動けなかった自分が情けなく

それに比べて
あの男性は医療関係者だろうかと思ったり、
そうでなければきっと講習を受けた人だろう、
そして講習の成果をきっちり発揮した冷静さ的確さ、行動力・・・素晴らしいと思った。

何分間ぐらいの出来事だったろう。
その間に信号は何度も変わったはずだが、
数珠つなぎになった車の誰もクラクションを鳴らさなかった。
この国もまだまだ見捨てたもんじゃないな(おおげさ)。


うちに帰ってから考えた。

私にも何かできることがあったはず・・・。
せめてあの男性たち(先頭車の運転者)に代わって
見守りぐらいはできたんじゃないか。
そうすれば車はスムーズに流れたはず。

救急車が来るまで数分?せいぜい十数分?を惜しんで先を急ぐなんて。
やっぱり、あの場に留まるべきだった。

あぁ情けない