先日、メールでこのブログに載せている絵を「トレース」とおっしゃる方がいました。
えーと、トレースならもっと楽だし簡単なんですが・・・・・。
スケッチしたものを下絵にカラーやモノクロで色を付けていくのですが、gooブログで使えるJAVAのお絵かきツールでは「トレース」することはできませんので、今日は、たかがブログの挿絵といえども少しは技術がいることを少し説明いたしましょう。
冒頭画像は、パソコン画面に直接描き入れた下書き。
殴り書きみたいですが、実はこの段階が一番難しいのです。
元画像を参考に何度も線を描き直した結果がこれ。
モノクロの場合は、A4の紙にスケッチすることから始めるときもあります。
ブログ開設当初はこのスケッチを細部まで仕上げてから載せていました。
今日は映画「軍閥」から、加山雄三氏の顔を描いてみることにしましょう。
この映画はカラーなので、モノクロではなくカラーに挑戦です。
ツールの使い始めは色の混ぜ方などが分からなかったため、カラーの映画もモノクロで描いていましたが、
マンガに色を付けたりする段階で徐々に学習していきました。
「沈みゆく戦時徴用船」の挿絵制作で、画家の描いた油絵を模写するという暴挙に出たときに
技術は当社比で飛躍的にアップしたように思います。
参考画像はスチール写真ではなく、DVDを見てこれ!と思ったところを静止させ、
それを見ながら描いています。
最初はざっくりとそれらしい色を乗せるだけです。
もうどうなってしまうか不安な出だしですね。
カラーの人物が難しいのは、肌色のバリエーションがパレットに無いからです。
色を作るようにその都度調整したり、下地にピンクや灰色を入れて上から水彩でぼかすとか、
この辺りはまだまだ研究途上。
「肌色」というのは古今東西の画家の最初にして最終の課題でしたから、これもまたむべなるかな。
後何作か描けばもう少しましになる気もしますが。
鼻と唇のあたりから描き込み始めているのがおわかりでしょうか。
よりによってサンプルに髭の濃い顔を選んでしまって後悔しました。
ちばてつや氏の描く白根少佐のように斜線ですんでしまえばいいのですが・・
今回、ぼかしから始めてみましたが、あまり髭面に見えなかったので、水彩筆の一番細いペンで線を描くように髭を描きこんでみました。なんとかそれらしく見えてきましたね。
そして、海軍関係者を描くのに本当に困るのが、ネイビー使用第三種のカーキがJAVAのパレットに無いこと。
陸軍のカーキなら濃淡が揃っているのですが、海軍のカーキは陸軍のより青みを帯びているのです。
やはりエリス中尉はこちらのブルーカーキとでもいう色の方が好きですね。
しかし、本当に出しにくい色です。
この帽子の色は苦心惨憺して、カーキの上にブルーとグレーを重ねて作りました。
首から上はそれらしくなってきました。
が、この首部分の陰影にまた一苦労。
細かい鉛筆の線でデッサンするように影を付けてから、それをぼかし機能で伸ばしてみましたが、あまりうまくいかないので、既定の色を作っては乗せ、濃くしていっては乗せの繰り返しでかげをつけてみました。
着ているシャツのベージュを作るのが難しく、いったん全部白くしてしまったりした経過がこの段階にあります。
ブログに載せる程度なら、まあまあ許せる出来に近付いてきました。
搭乗員の飛行眼鏡とか、瞳の中の光は、「消す」というコマンドで点を乗せる感じで出すのですが、
これはいつも「最後の楽しみ」として取っておきます。
これを入れて画面が締まるのがとても楽しみ。
画竜点睛といいますが、まさにこの作業のことかもしれません。
この後は、画面とにらめっこで細部を点検。
一度アップしても何回でも手を入れられるのはこの手法のありがたいところ。
サインを入れて一度完成させてみました。
加山雄三に見えますか?
そうでもないぞ、とおっしゃる方、この加山さんは度付きの眼鏡をかけているので、あまりそう見えないんですよ。
などと言ってみる。
モノクロの画像は、最初のスケッチをの段階をA4の紙に鉛筆で描き、その上からフェルトペンでアウトラインを濃く描いたものをスキャナでクロップします。
これはもともとが小さい画像が多いためで、クロップ終了が本日の最初の画像の段階にあたります。
クロップしたものは直接今日のように画面にデッサンしたものより画面が小さい。
モノクロだと画面が小さくても表現しやすいからですね。
またいつか今度はモノクロ画像制作過程を説明します。